ハロウィーン×ゴスペルを深掘り
ハロウィーンとゴスペルについて考える
「ハロウィーンってキリスト教のイベントなの?」という声をよく耳にします。もしそうであれば、キリスト教の「福音」が語源であるゴスペルは、ハロウィーンと関係がありそうですね。実はその起源には複雑な背景があります。私が知る限りでは、以下のようなポイントがあります。
古代ケルト人の宗教儀式が起源と言われている
一部にカトリックの影響がある
プロテスタントは基本的にこの祭りとは関係がない
起源が古代ケルト人の宗教儀式ということから、ハロウィーン自体は元々キリスト教とは直接関係のない祭りです。そのため、キリスト教の「福音」(ゴスペルの語源)を伝える音楽としては、ハロウィーンをテーマにした楽曲は見当たりません。ただし、カトリックは一部関係している、また、日本ではハロウィーンとゴスペルを融合させたライブイベントが見られることもあるなど、ゴスペルとの関係が全くないわけではなさそうです。
具体的にはどのような関係があるのか、起源や語源を絡めて、ハロウィーンとゴスペルについて深掘りしてみましょう。
ハロウィーンの起源「サウィン祭」
ハロウィーンの起源は、古代ケルト人の祭り「サウィン祭」に遡ります。サウィンは「夏の終わり」を意味し、ケルト暦での新年が11月1日であることから、10月31日は夏の終わりを祝う重要な夜とされていました。この祭りの主な目的は次の通りです。
収穫を祝うこと
悪霊を追い払うこと
ここで「悪霊を追い払う」について補足します。この時期には現世と異界の境界が薄れ、死者の霊や精霊、そして悪霊が現世にやってくると信じられていました。悪霊は人間に悪さをするため、人間自身が悪霊に仮装し、ターゲットにされないようにしていました。これがハロウィーンに仮装する理由です。
日本に置き換えると、サウィン祭は大晦日とお盆が重なる行事のようなものですね。
ハロウィーンの語源「諸聖人の日」
ハロウィーンの名前の由来は、カトリックの「諸聖人の日」にあります。「All Hallows Eve(諸聖人の日の前夜)」が短縮されて「Halloween」となったのです。「Hallows」は「聖なる」という意味で、諸聖人の日は聖人(聖母マリアなど)を記念する日です。この日が11月1日で、前夜の10月31日はサウィン祭と重なります。なお、カトリックは聖人を崇敬しますが、プロテスタントは一般的に聖人を特別視しません。
ハロウィーンに見られる仮装やお化けの要素は、キリスト教の「ゴスペル」とは直接関係しません。しかし、「諸聖人の日」という視点では、カトリックのゴスペルともつながりがあります。例えば、映画「天使にラブソングを」で歌われる「Hail Holy Queen」は、聖母マリアを讃える曲です。これはカトリックの修道院を舞台にしているため、歌われるゴスペルの内容もカトリックに基づいています。
聖人に対するプロテスタントの捉え方
カトリックが聖人を崇敬するのに対し、プロテスタントは聖人を一人の人間として捉え、その神との関係に重きを置きます。例えば、カトリックのゴスペル「Hail Holy Queen」は聖母マリアを讃えていますが、プロテスタントのゴスペルは聖人個人に焦点を当てることは少ないです。例えば、Donald Lawrenceの「Oh Peter」は、聖人ペテロ個人についてではなく、神様がペテロに語りかけるシーンを歌っています。
ハロウィーン×ゴスペルの是非
今までの情報を踏まえると、ハロウィーンとゴスペルは、語源からすると関係があるようにも見えるし、起源や仮装などの内容からすると相反するようにも見えます。現在でも、キリスト教国でハロウィーンが祝われたりイベントが開催されたりしますが、一方でキリスト教の宗派や信徒個人によってはハロウィーンを拒絶することもあります。ハロウィーンとゴスペルを掛け合わせることは賛否両論あり、万人が納得する答えはないと思います。
その中で、私個人はアリだと思っています。その理由は以下の通りです。
日本でのゴスペルに触れる機会が限られているため、きっかけづくりになる
ハロウィーンの起源や語源を絡めて、悪霊や聖人について考えるきっかけになる
2項について、「聖人×ゴスペル」は既に2曲紹介しました。「悪霊×ゴスペル」については、Dante Boweの「Demons」などがあります。サウィン祭のように仮装など人間の力で悪霊に対処するのではなく、イエス・キリストが悪霊から助けてくださるという内容です。おなじ悪霊でも、宗教や文化が違うと捉え方も変わりますね。
一つの文化や宗教を深掘りするのも面白いですが、違う文化や宗教と比較すると、異なる視点で捉えられます。ハロウィーンとゴスペルを見比べることで、新しい発見があるかもしれませんね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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