クリスマスゴスペルソング「Joy to the World」の深掘り - 2.歌詞① -
ホイットニー・ヒューストンのゴスペルソング「Joy to the World」の歌詞について深堀していこうと思います。
まずは、ホイットニー・ヒューストンの冒頭ソロ、その中でも前半の部分を見ていきます。
【今回深堀する歌詞】
Joy to the world
the Lord is come
Let earth receive her King
一つずつ、ゆっくり見ていきましょう。
歌詞の和訳
Joy to the world
喜びを世界中に
the Lord is come
主が来られた
Let earth receive her King
全地よ 王を迎えよう
主(=王、神様)が地上に来られたので、全地、全世界で喜ぼう!迎えよう!という内容ですね。
歌詞の背景「なぜそんなに喜ぶのか?」
長年待ち望まれていたヒーローが誕生したから
喜ぶ理由は「the Lord」が来られたから。では、この「the Lord」とは何か?それは主イエス・キリスト。長年待ち望まれていた救い主である。どれくらい待ち望まれていたかと言うと…なんと1000年以上!日本でイメージすると、聖徳太子のころから代々待ち望んでいたヒーローが誕生した感じかな。数十年、両親から受け継いだ願いがかなっただけでも嬉しいのに、1000年以上とはそりゃ喜ばしい!
ちなみに、クリスマスはキリストの誕生を祝う日。だから、クリスマスシーズンに歌われたり、耳にすることが多かったりします。
罪を赦す神様の愛が示されたから
ヒーローである救い主は、何から救ってくれるのか?それは、私たちの「罪」。神様から見て、清廉潔白な人は一人もいない。どんなに清く生きようと頑張っても、誰もが罪を持っている。その罪の罰を本来は私たちが受けるところを、キリストが十字架にかかることで代わりに受けてくれた。だから、私たちの罪は赦された。自分の力ではどうしようもないこと成し遂げ、他人には言えない過去を赦してくださるお方が誕生した!そこに喜びを感じるのです。
ただし、文化や思想に儒教の影響が強い日本では、そもそも「神様」の存在にピンとこないかもしれない。そこで、誤解を恐れずに例えるなら「神様の愛」は「親から子供への愛」です。私たち子供は何が正しいかわからず、時にはものを壊したり、人を傷つけたりする。そんな時、親が子供の代わりに弁償し、謝罪し、子供が赦される。子供がどんな状態でも、愛をもって接し、向き合ってくれる。そんな親のようなかけがえのない存在が誕生し、私に寄り添ってくれる。そこに感謝と喜びが生まれるのです!
歌詞の英語解説
ゴスペルは時に、現在ではあまり使われなくなった古い英語が使われたりします。日本でいう「我」「汝」みたいな感じですかね。今回の歌詞でも見慣れない表現があるので、見ていきましょう。
the Lord is comeは現在完了
the Lord is comeの文法は「be動詞+自動詞の過去分詞形」で、現在完了を表している。今回だとthe Lord "has" comeとほぼ同じ意味になります。古風な表現で、現在はあまり使われません。
ただしニュアンスとして、下記の違いがあるようです。
the Loed has come:主が「来た」ことに重点が置かれる
the Lord is come:来たことによって「主が今ここにいる」という事実に重点が置かれる。
また、キリストは「自分の意志で地上に来た」というよりも「父に使わされた」という形なので、「the Lord is come」の方が意味合いはピッタリかもしれませんね。
Let earth receive her Kingの「her」は「earth」の代名詞
いきなり「her」が出てきたので、キリストは女性だったの!?と思う方もいらっしゃったかもしれませんが、キリストは男性です。
ではこの「her」は何を指しているかと言うと、「earth」です。「地球は女性なのか?」となってしまいますが、他にもShipやcarなども女性代名詞が使われることがあるそうです。ただしこちらも古い表現なので、使用頻度は少なくなっているようです。
今回はここまで。歌詞前半部分の意味と、英文法について深堀してみました。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?