自閉症、その素晴らしい世界
こんにちは。エアコンを3台交換した、なかだいらです。
このnoteでは長男ナオ、次男リョウが発達障害の診断を受けた流れ、その後バリ島で育て直しを行った体験の記録を、本人の許可を取ったうえでつづっていきます。
バリ島へ行ったのが2009年。まずはそれまでの日記を出していきます。
2007/3/1「自閉症、その素晴らしい世界」
見たひといないかなぁ?
昨日の夜、教育テレビで放送された「ボクの生きる"自閉症の世界"」。
たまたまお布団を敷きながら見ていた番組が、思いもかけず衝撃的でした。
養護学校中学部に通う自閉症の男の子(東田直樹君)の特集。
手のひらをパチパチ叩いたりぴょんぴょん飛び跳ねたり。
絵本を目の前で左右に揺らして眺めたり。
会話は難しく、オウム返しや衝動的な行動など、決して軽度とは言えない自閉症の男の子なんだけれど、小学5年生までは普通学級で過ごしていました。
担任の先生は子供たちに自由なテーマで日記を書かせることを思いつくのだけれど、当然のように、その男の子がノートに何か書くことができるなんて思ってもいなかった。
ところが。
「僕はひととうまく関わることができません。自分の思いがうまく相手に伝わらないと泣いてしまったり、大きな声を出してしまったりします。みんなと同じようにすることができません。どうして自分だけこんな風になってしまうのか不思議で、とても悲しいです」
私の記憶なのでこの通りの文章ではないけれど、ノートに何ページも自分の思いを綴ってあったの。
彼の中にはちゃんと自分の思いや考え、認識などが広がっていたのです。会話はできないけれど、文字という形で表現することができるって、気づいてくれるひとがいて本当に良かったと思う。
なかなか集中はできないけれど、キーボードで文章や詩を書くことができて、それも本当に素晴らしい詩を生み出せる。
普段の会話もアルファベットを並べた文字盤を指で指しながらすることができる。親の忍耐強い日々がうかがえる手作りの文字盤。
絵本を揺らして見るとビデオを見ているように見えること、自閉症の僕たちは飛び跳ねることで足の位置を、手を叩くことで手の位置を再確認できて安心できること、そういう言葉が指先で一文字一文字綴られる。
本当に衝撃的な番組でした。
私は会話ができなかったり、理解しにくい行動を取る自閉症のひとたちは私たちと全く違う感覚を持っていると思っていたので、そこから生まれる認識や思考も当然違うと思ってた。
自閉症のひとにも個別差があるとは思うけれど、今回の彼のように内側に広がるものがあるのに、それをひとに伝える方法が見つけられないで苦しんでいるひともいるんじゃないのかな、と考えさせられました。
あと補足。
いつも思っていることなんだけれど、自閉症のひとや聾のひとなど障害があるひとたちを「かわいそうだから助けてあげたい」という考えには違和感があります。
自閉症や聾のひとたちが持つ感覚って、本当に本当に素晴らしいと思うし、それを知りたいと思う。教えてもらいたいことがいっぱいある。
私たちには足りないものをたくさん持っていると思うし、触れ合うことで気づかされることも多い。
でも、個性的すぎて生きづらい点が多々あって、その生きづらさの中で周囲が改善できることは改善して行きたいと思ってる。「かわいそうだから助けてあげたい」のとは違う。
だから、手話を習うことも「聾のひとたちのために手話を習う」のではなくて、私のために手話を習って聾のひとたちと話がしたいの。本当は聾じゃないひとたちも日常生活に手話をもっと取り入れて、途切れてしまいそうなニュアンス、言葉では伝わらない微妙な何かを思い出していきたい。
前に聾のひとが「手話通訳は聾のために存在するのではなくて、手話をまだ使えないみなさんのために存在するのですよ」と冗談めかして言っていた言葉も印象的でした。ほんと、そうだよなって思う。
耳が聞こえないひとは話ができないから、身振り手振りで話している。
それが手話、ではない。
聾じゃないひとたちは音声を第一言語として使用しているけれど、聾者は手話を第一言語にしているだけ。聾は聾の文化を持ち尊重される存在である。
私はまだ手話を完全に理解できないから、私のために手話通訳に同席してもらう。
うーん。文章がめちゃくちゃになってきちゃったけど、私と他者はただ「違う」というだけで、できないひと、かわいそうなひと、とは違うと思うんだ。そのひとがそのひととして、できることがいっぱいあって、それは尊重すべきこと。
そのひとの存在や個性が"障害者"なのではなくて、何か困っていることがある=障害なのだということ。
私は自閉症や聾や、その他たくさんのみんなに頭があがらないということ。そのくらいみんな素晴らしいということ。
つづく
次回は「ニート・フリーター親セミナー」について。
■当時をふりかえって補足 2021.10.5
人生最良の書として、ひとに1冊だけ本を勧めるとしたら、東田直樹君の「自閉症の僕が跳びはねる理由」をお勧めしたい。
この本は世界30カ国以上で出版され、現在117万部を超える世界的ベストセラーになりました。映画化もされました。いま東田直樹君は作家として、多くのひとに自閉症の世界を伝えています。(オフィシャルサイトはこちら)
私は重度の自閉症のひとが内側に豊かな言葉を持っていると思っていなかったので、番組を見たときは心底驚いたと同時に、浅はかな自分をとても恥ずかしく思いました。そして、なんて繊細で豊かで美しい世界を生きているのだろうと、感動したのです。本質と繋がって生きている。そう思った出来事でした。
彼らがそのままで暮らしやすい社会になったらいいのにな。
「自閉症」って呼び方も、もっと素敵な言葉で表せたらいいのにな。
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