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解体
下弦の月生まれだからなのか
この季節の、欠けていく、収縮していく、眠りに落ちていくという感じに
気持ちがとても馴染む。
生まれた日の月齢からパーソナリティを診断することを
「ルーネーション占星術」というのだそう。
(以下のサイトに計算方法が掲載されていますがちょっと面倒なので
自動で算出してくれるサイトを使われるのがおすすめです)
占星術では、先日の11月20日に
社会を変容させるエネルギーを持つ天体
(冥王星)が大きな転換点を迎えた。
冥王星のテーマは「破壊と再生」。
初めてその意味を聞いたときは
なんだか恐ろしい星だなと感じたのを覚えている。
創造と再生の方が、なんとなくいいことのように感じるから。
どの地域の神話にも必ずといっていいほど破壊神がいる。
インドのシヴァ神、カーリーなど(インドは破壊神多めの印象)
日本だと神々の荒々しい側面を指す荒魂にあたるのだろうか。
言葉だけ見ると私はつい
ジャイアンっぽいイメージを持ってしまう。
人間関係が破局すること、大切にしていた食器を割ってしまうこと
夢が破れてしまうこと、事故で車が大破すること、
災害で街が壊れてしまうこと、…などなど
別のところから自分ではどうしようもない力が強烈に加わった結果
大切にしていたものがバラバラにされて元に戻せない
ということのように感じる。
実際、冥王星も社会の在り方、ひいては個人に
後戻りできない変化をもたらし
その過程である種の破壊も引き起こすと言われている。
(ちなみに前回冥王星が大きく移動したのは2008年
リーマンショックが起きた年です)
そういわれるとますます
ジャイアンに怯えるのび太のように
「何で冥王星来るんだよ、来なくていいよ…」という気分になったりする。
(周期的なものなので致し方ないのですが)
こうして「破壊」を忌避しがちな私が
「破壊っていいかも」と少しパラダイム変換できたのが
『解体キングダム』という番組を見てから。
巨大な建築物を解体するには
ダイナマイトを仕掛けてぶっ壊すというイメージしかなかったけれど
この番組を見て、非常に高い技術と知識を用いて
行われていることにとても感動した。
技術的な細かいことはわからないけれど
古びたものが解体されて更地になっていく姿を見ると
閉じ込められていたところから
外に出て空気を吸ったときのようなすがすがしさを感じる。
また「破壊」が「創造」より劣るとか
子供が積み木を崩して遊ぶような
頭を使わなくてもできることだという印象も変わるなと思う。
破壊することで初めて新しい、時代に合った建物を建てることができる。
ミミズや微生物が土壌の中で行っているのも破壊であり解体で
それを経ることで土はまた
新しい種を受け入れる準備を整えることと似ているとも思う。
個人的なことで言うと
新しいことにトライするためにこれまでやっていた何かを辞めるとか
新しい服を買うためにクローゼットの中のものを捨てるとか。
ちなみに私は知人の間では「荷物が多い女」と言われている。
というのも、あれもこれも必要な気がして色々持ち歩いてしまうため。
つまり何も捨てることができないために
常にすべてをしょいこんでいるということになる。
そんなメンタルがスケジュールにも表れていて
常に忙しくて目を回しているのは
既存のものをやめるという決断ができないためといえる。
下弦の月生まれなのに…
本当に必要なものだけ残して
そうではないものを捨てる、やめる、壊すという選択をすることは
決して冷酷というわけではなく
行き詰ったものをリセットし
新しいものを受け入れること
新しいものを生み出すスペースを作るということだと思う。
これからどんなものが解体されて
どんなものが新しく生まれるんだろう。
私は「荷物が軽い女」になれるように
とりあえず年末に向けて断捨離をやろうと思う。
カバー写真:UnsplashのVal Vesaが撮影した写真