祭の力
先日、能登半島中部にある穴水町に行ってきました。
どんな雰囲気なのだろうとかと
ちょっと緊張しながら行ったのですが
道路はきれいに舗装しなおされていて
特に問題なく着くことができました。
ただ、アスファルトを流したての場所の多さに
いかに道路の破損がひどかったのかというのを感じたりしました。
休日だけれどトラックの行き来が多く
また、家屋の解体や修理は後回しになっているのか
そのままになってしまっている場所や
ブルーシートをかけられたままという場所も見受けられました。
名古屋の災害支援チームや音楽グループの方々が中心となって
開催された音楽祭に参加してきました。
穴水町にゴスペルチームが新たに発足したということで
そのおひろめもありました。
その地域の方々が歌っておられることに何ともいえず感動しました。
「歌の力」というものがあるとしたら
(この言葉は、某国営放送の年末歌合戦の
キャッチフレーズに使われたりするから
どこかチープに思えて、ちょっと斜に構えて受け取ってる言葉ですが)
ゴスペルに限らず、その人自身が心の中で、あるいは声に出すことで
本来の力を発揮するものだと思います。
それが大勢であれば、なおさら大きくエネルギーが動く感じがします。
もちろん、それで壊れた家が元に戻るわけでも
大切な人が戻ってくるわけでもないのですが。
会場の同じ敷地内には仮説住宅があり
人の気も知らず騒がしくしていることを
快く思っていない方々もいらっしゃるだろうなと思います。
また、皆で集まって楽しもうという雰囲気は
中能登あたりまで戻ってきてはいるけれど
それよりさらに先、奥能登は
なかなかまだそんな雰囲気ではないということを
あちこち訪ね歩いておられる方から伺いました。
それでも
復興だけでも大変なはずなのに
祭りをしよう、皆で集まろうという企画が
能登のあちこちで行われているそうです。
避難して慣れたコミュニティーから引き離され
住み慣れない土地で仮住まいをしていると
なかなか周囲とつながろうという気が失せて
引きこもってしまう方々が多いらしく
そういう人たちを元気づけたり
つながりを構築するためだそうです。
雪が降り始めると集まりがやりにくくなってしまうので
皆が動きやすいうちにと
企画する方々自身も被災者にもかかわらず
一生懸命活動しておられることに頭が下がります。
コロナのときも思いましたが
大変なときほど集まらないといけない
一人でいてはいけない、いさせてはいけないのだと感じます。
(基本的に単独行動が好きな私ですが、強くそう思います。
これからの時代に求められるスキルの一つに、もしかしたら
「祭」を創り出せる力というのもあるかもしれません。)
能登の方々が温かく、つながりを感じられる
年末が迎えられたらと願っています。
カバー写真:Vinod Kumar MavillaによるPixabayからの画像