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達人の動き
最近YouTubeのおすすめに
阿波踊りの達人の踊りというのがあがってきました。
阿波踊りはいつか実際に
現地に足を運んで見てみたいお祭りの一つなのですが
本当に素敵な踊りだなと感じました。
おいくつなのかご高齢の男性なのですが
能の翁の面のような表情されているのも相まって
どこか神がかっているというふうに感じました。
軽やかに優雅に踊っておられるのですが
全く力みがなくて淀みなく流れるような手さばきをされている一方で
中腰なのに体が全くブレず頭が上下していないので
すごく体幹がしっかりしておられるんだなと感じました。
足の運びも地面の上を滑るようで
表現する語彙が見つからないほどでした。
今年のパリオリンピックで「無課金おじさん」が話題になったと思います。
これは射撃のトルコ代表ユスフ・ディケチ選手のことです。
50代の素敵なおじさまなのですが
どうして「無課金」と言われたかというと
他の選手たちがスコープなどいろいろな装備を身につけている中
このディケチ選手というのは
「ちょっとコンビニ行ってくる」風なTシャツ姿で
装備は耳栓のみというラフな格好で
銀メダルをかっさらっていったためでした。
耳栓は射撃の音で鼓膜がやられることを防ぐために必須なので
これだけはつけていたようなんですけれども
これも飛行機に乗ったらもらえるアメニティなのではないか
というふうな噂があります。
それくらい非常にリラックスしているように見えるのですが
一方で、いつ撃っていつ撃ち終わったのかが分からないくらいに
全く体幹がブレていないというところがすごいなと感じました。
達人の域に来ると、傍から見ると自然体で
非常にくつろいでいるようにすら見えてしまいます。
しかし、ただブラブラしているのではなく
その動きに全く無駄な動きがないのだなということを感じました。
これは体幹がしっかりと定まっているということが
理由なのだろうと思います。
以前コンテンポラリーダンスをしている方が
「精神性の高い人は足音を立てない」と話しておられました。
お腹の力が抜けていると上げた足が重力に任せて落ちてくるので
ドスドスドスドスというような足音になってしまいます。
これは気を抜いて、どこかへ意識を散らしたまま歩いていると
こういうふうになってしまうとのことです。
また長野まゆみさんの小説で
(どの小説かちょっと忘れてしまったんですけれども)
ある登場人物がお皿を洗っているときの音が
とても静かだというような描写がありました。
これは物が自分の手から離れるまで
ずっと意識を向け続けているからということです。
例えばちょっとコップを置くときに
置き終わるまでそこに意識を向けているだけで
非常にエレガントに見えます。
また音はあまり立てないというのは周囲の気遣いでもあります。
私は、と言いますと
足音は「ドスドスしてるね」と
そのコンテンポラリーダンスの先生から注意されましたし(笑)
お皿はガチャガチャ洗いますし
キーボードを打つ音がうるさいと言われますし
独り言を言ったりもするので
無意識に立てている音がうるさい人ということだと思います。
生き方がちょっとした動きに現れてしまうというのは
なかなかに恐ろしいことだなと思います。
なぜなら見る人が見れば
その人のいろんなことがわかってしまうためです。
こういう動きというのは一朝一夕で身につくものではありませんし
疲れてるし、忙しいと、そんなこと構ってられないよと思ってしまいます。
エレガントでいるには意外と精神力と筋力が大切なのだなと感じます。
ただ美しい動きを見るとやっぱり素敵だなというふうに思うので
良いお手本を見て気をつけていきたいなと思いました。