世代間リレー
世代間コミュニケーションギャップについて
先日、会社でセミナーを受けさせてもらい
色々な気づきがあったのでこちらでシェアしようと思います。
よく「Z世代は扱いづらい」などと言いますが
まずはこの世代の定義についてです。
1960年から70年代の
高度経済成長期に生まれた世代をY世代と言うそうです。
この世代は「成長するのが当たり前」という感覚であり
「がんばること」で評価されてきました。
スポ根マンガが流行った世代でもあります。
1970年から1982年頃に生まれた世代は
皆さんご存知の通り「ロスト・ジェネレーション世代」と呼ばれ
これはバブル崩壊直後に就職活動を余儀なくされた世代です。
その次がX世代、1980年代バブル崩壊後に育った世代です。
生涯のほとんどを「失われた30年」の中で過ごしました。
「裏切られた世代」というようなタイトルがついており
がんばっても意味がないと感じており
心を病んだり、体を壊すくらいなら
責任ある立場に立ちたくないというように感じています。
そして1995年から東日本大震災頃までに生まれた世代が
Z世代と言われています。
Y世代、X世代と大きく異なるのが
インターネット(デジタル)ネイティブということで
生まれた時からインターネットがあるというところです。
インターネットを通して
たくさんの価値観に触れて育ってきたという特徴があるそうです。
インターネットが存在しない時代というのは
価値観というのは場所
(都会に住むか、田舎に住むか
関東圏なのか、関西圏なのか、などの住む場所)
に影響されたものですし
メディアが大きく取り上げるものに
みんなが飛びつくというような状態でした。
松田聖子さんが流行っていたら
みんなが聖子ちゃんみたいな髪型をしていたというような感じです。
Z世代というのは
物心がついた頃からインターネットを通して
世界中の様々な人を見てきたため
「みんなと同じ」というよりも
「自分を持っている」ということを大事にします。
「私は○○派」というような感じです。
このことによりいくつかの特徴があるのですが
ここでは7つご紹介します。
1つ目は、ブランド品よりも
「自分らしいか」ということを重視すること。
2つ目は、指示されたことは理解するけれど
従うかどうかはは自分で決めるというところです。
(これはちょっと面白いなと感じました)
3つ目は、多感な時期に東日本大震災を経験しているということで
社会課題への貢献意識が強いという特徴もあるそうです。
4つ目は、倍速消費
タイムパフォーマンスを重視するというところです。
彼らの時間間隔というのは、Y世代の3倍と言われているそうです。
ですのでY世代の人が「3年ほどで結果を出そう」というと
Z世代にとっては「9年もかけるのか」というような感覚になるそうです。
5つ目が、4つ目とも関係するのですが
オンタイムコミュニケーションということで
彼らの時間間隔はとても短いので
すぐにレスポンスをしないと
「無視されている」というふうに感じてしまうということです。
6つ目は、プライバシー意識が強いこと。
7つ目は、これは意外だったのですが
安定や停滞を嫌うという特徴があるそうです。
これはX世代と大きく異なるところかなと思います。
Z世代が会社を辞める理由というのは
「ここにいても無駄」「この人に言っても無駄」
というケースが多いそうです。
Z世代は「これ」というものがあると
非常にパワフルで幸せに生きられるという傾向があるそうです。
そして「これ」というものが見つかったら
寝食を厭わずに働くという特徴もあるそうです。
そのため、自分が熱意を傾けられるものを
見つけられた人とそうではない人というのに
大きく二極化しているとのことでした。
Z世代にとって
ユニークである、独自性がある、「変わってるね」と言われることに
その人自身のブランド価値があると考えるそうです。
これは確かに私自身もSNSを少しかじっているせいもあり
「わかるな」感じることがあります。
SNSの中ではその他大勢に埋もれるというのは
存在としての「死」に等しいからです。
Z世代が「自分軸を持ちたい」と考えることは
いわゆるマズローの欲求ピラミッドの上位である
「自己実現欲求」があるというよりも
どちらかというともっと
「生き残るため」という感覚があるのではないでしょうか。
そのため自分の内側に軸をうまく育てられず
外側に求めるということになりますと
自分が心から望まないことにエネルギーを注ぐことになります。
「映えるから」という理由だけで
身の丈に合わない旅行をしたりレストランに行ったり
イベントに行ったりボランティアをしたりというふうにです。
もちろんそれがきっかけで、新しい出会いや
本当に自分が好きなものに出会えればいいのですけれども
人との比較により精神を
すり減らしてしまっている人が多いことも事実です。
Z世代の次はα世代と呼ばれるそうで
東日本大震災頃から現代までに生まれた子どもたちを指します。
α世代はZ世代とよく似ているのですが
Z世代よりもよりメタバースやSNSなど
バーチャル空間に対する親和性が高いと言われています。
また「スーパーキッズ」
(スポーツなどに出会ってから1年、2年など非常に短期間で
周囲があっと驚くような結果を出してしまうという子どもたちです)
が多いとされ
これは親があまり
「あれをやれ」とか「これをやれ」とか言わない世代なので
親の価値観の影響を受けにくく
自分独自の世界をとことん突き詰めることができるから
と言われています。
世界はすでにZ世代が多数派とのことで
日本でも労働人口の過半数がZ世代になっているそうです。
なのでそのセミナーではもし
「Z世代が扱いづらい」というふうに感じたら
逆に自分の方が「扱いづらい人だ」と思われている可能性がありますよ
と言われました。
私も気をつけなくちゃなと感じます。
私と夫は結構年が離れており
夫はY世代でありロストジェネレーション世代にあたります。
高校時代はちょうど
「ビー・バップ・ハイスクール」が流行っていたそうで
ツッパリ、リーゼント、校内をバイクで走り回り
近所の神社や河原で喧嘩をする日々とのことでした。
番長みたいな生徒がいて
それよりもさらに怖い先生が竹刀を持って校内を闊歩していたそうです。
卒業アルバムを見せてもらったら
本当に「ビー・バップ・ハイスクール」そのもので
男の子たちはみな両手をズボンのポケットに突っ込んで
カメラを睨みつけていました。
(令和の男の子たちならカメラを向けたら
指先でハートマークを作ってくれると思います)
とにかくみんなそんな感じなので
写真を見ながら大笑いしてしまいました。
みなさん今では会社で責任ある立場についたり
いいお父さんになったりしているそうです。
ふと彼らは何に対してそんなに
反抗していたのだろうかというふうに感じました。
当時の彼らに聞けば
「価値観を押しつけてくるウザい社会や大人たち」
というふうに答えたとは思います。
ただこんなふうに思いっきり殴りつけても
簡単に壊れないくらいの、その当時は
強固な社会があったのだとも言えると思います。
盗んだバイクで走り出しても
校内の窓ガラスを全部割っていったとしても
自分たちを囲い込む社会の力の方が強いというふうに
感じていたのではないでしょうか。
しかしその強固さというのは
実のところ幻だったというのが
その後の時代でわかります。
壁と思っていたものを越えた時
急にストーンと崖になっていたというようなイメージです。
そして日本が坂道をずるずる落ちていく中で育ったのが
X世代(私自身もX世代)です。
高校生の頃は大抵の子が
安室奈美恵さんか浜崎あゆみさんのどちらかに憧れていた
というような感じでした。
ロスト・ジェネレーション世代が苦しむのを見て
「社会は何も保障してくれない」
「正しい生き方を提示してくれない」というのを
嫌というほどわかったはずなのですが
それでもなかなか「勝ち組、負け組」という幻想から抜け出せず
そこに苦しんできた世代だなと感じます。
(私自身もタワーマンションに憧れた時期がありました)
これだけ古い価値観が崩壊してもなお心のどこかで
「勝ち、負け」やそれらを判断する「何かの存在」がある
というふうに信じていると言えます。
おそらくZ世代というのは
この幻の「存在」が下す勝ち負けの概念から逃れて
もがきながらも自分で
自分の価値を見つけ出そうとしているのではないかなと感じます。
これらの世代間の違いをギャップの面だけで語るのは
もったいないかなというふうに感じます。
私は「世代間リレー」という言葉の方が好きだなと感じました。
Y世代が社会に抗って
X世代が勝ち組、負け組の中で揺れ動き
Z世代が自分軸を見つけ出そうとしている
この世代間の流れがあっての、今があるのだと思います。
自分の世代が見つけられなかった答えを
次の世代の人が教えてくれるかもしれません。
そしてもし彼らが答えを見つけられたのだとしたら
そこには必ず自分たちの世代
さらにその前の世代があったからこそだと言えると思います。
以前女性向け雑誌に「妹たちへ」というコラムがあり
このタイトルがすごく素敵だなと感じていました。
一つ下のジェネレーションを
少し年の離れた弟、妹と言われると確かにしっくりきますし
弟だ妹だと思うと「頼りないな」と感じたとしても
どこか自分とは違う
新しい空気の中で生きている感じがするなと思います。
そして下の世代の子たちが自由気ままに生きているように見えたとしたら
自分もそう生きていいよ、ということだと思います。