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【バテンカイトス 終わらない翼と失われた海】でRPGの面白さを再確認した【プレイ感想雑記】

バテンカイトスは2003年にGCで発売されたRPG。開発元はゼノブレイドなんかのモノリスソフト。今年Switch版がリマスターとして発売されている。


【作品の概要】

かつて存在したとされる海と大地が伝説となって人々の間で語り継がれていた時代。
人々は空高くに浮かぶ大陸の上で生活をしていた。そのためか、長い年月を経た今、人々の背中には“こころ の翼”と呼ばれる羽が生えるようになっていた。
けれども、平穏かに思えた世界は、ある邪悪な計画を発端として徐々に秩序を乱し始める。
少年カラスは、育ての親と弟を殺した仇を倒すため・・・ 少女シェラは、世界を危機から救うため・・・
別々の想いを抱えて旅する二人が出会ったとき、物語は静かに幕を開ける

公式資料より

そんなわけで復讐の旅の中、主人公カラスは少女シェラと出会い、空に浮かぶ大陸を舞台に、仲間との出会い。様々な想いと裏切り、そして祈りが交錯する中で世界の命運を賭けた戦いに身を投じていくこととなる。



「世界を守るため、巨悪との激突」と端的に述べてしまうとRPGにおいては王道的に思えるが、このバテンカイトスは海が失われ大陸が浮遊し人々が翼を授かったという独自の設定や終盤に至るまでの展開、そして詳しくは後述するが世界の物質を司る存在「マグナス」により、非常に個性的な魅力に溢れた作品となっている。そこに前述のような王道的な展開が加わることによってRPGとしてのツボを抑えながらバテンカイトスにしかない味付けで冒険ができる。

浮遊大陸を巡る旅へ

【好きだったとこ】

・固有の設定マグナス
バテンカイトスの世界にはマグナスというカードが存在する。一撃で説明するとジョジョ四部のエニグマである。この世界のあらゆる物質はマグナスというカードに閉じ込めることが可能、物の運搬や武器の携帯などこの世界では最も重要なインフラとしてマグナスが活用されている。そして冒険の鍵となるマグナス、エンドマグナス。バラバラになった古の邪神の体の部位が5枚のカードに封印され、五つの大陸にそれぞれに封印されている。(つまりエクゾディア)主人公カラスは邪神復活を目論む帝国とエンドマグナスを巡り戦うのだ。


どこで見たような

・楽しすぎるマグナスバトル
ターン制のコマンドバトルではあるものの前述のマグナスの存在によって凄まじく戦術的で中毒性のあるバトルが本作の大きな魅力である。
マグナスに封印された武器、防具、回復アイテム、その他アイテムなどから数十枚のデッキを作り、バトル開始とともに配られたカードをしようしてバトルする。一枚使用すると一枚ドローできる仕組みだ。

こんな感じ


つまり、戦う、道具、逃げるといったコマンドが全てデッキに収められたマグナスとドローしたカードによって決定される。デッキ構築力、必要なカードを引いて見せる運、引いたカードでコンボを決めるアドリブ力など刺激的な魅力に満ちた戦略的なバトルとなっている。キャラ固有の必殺技カードなんかもあって派手な演出も楽しい。

集めたカードでデッキ構築


コンボを決めて必殺技を放て


また、マグナスは時間経過で変化するものも多い。具体的には回復アイテムだった魚が腐って毒属性の状態異常攻撃アイテムに、炎の剣から魔力が失われただの剣に、回復アイテムの桃から桃太郎が生まれて攻撃アイテムにと多種多様。気がついたらデッキのカードが変わっていてそれが逆転の一手(敗北の一手)になることも稀にある。
慣れるまでは難しいが癖になる戦闘システムだった。

・主人公カラスのキャラクター
いいキャラしすぎ。復讐が旅の目的であるため、打算的であったりスカしてたりと主人公像としてはかなり珍しいダークヒーロー的な側面を持っているのがなんというか小物感が拭切れていないし、根はいいやつなんだろうなというのが滲み出続けている。なんというかとても人間臭いキャラで好感が持てる。あと心の翼が生まれつき片方しかないので片翼を機械の翼で補っている、二刀の使い手で長剣と逆手に握ったダガーなんかの厨二心をくすぐるキャラデザも刺さった。

宿敵に引導を渡す言葉もセンスが変だぞ


なんなら序盤はなあなあで冒険に同行する


カッコいいぜカラス

・プレイヤーの存在
プレイヤーは主人公カラスを操作して…ではなく、主人公カラスについた精霊という設定であり、他のキャラクターの目には見えない存在であるもののカラスの選択に意見したり戦闘を精霊魔法で補助したりと活躍する。
そして、プレイヤー=主人公カラスでないことからプレイヤー自身も一人の他者としてカラスの過去や本意などに向き合っていくこととなり、精霊としてゲームに参加する没入感と主人公=プレイヤーではないからこその俯瞰した視点で得られるゲーム体験や演出。そしてそれを利用したシナリオ展開は衝撃的なもののも多かった。

主人公=プレイヤーではないため重要な選択も説得という形になる

・ゲームバランス
RPGの醍醐味である新しい装備や上がったレベルでより強敵に挑戦する。の繰り返しがストレスなくテンポよく展開され続けていた。
特にレベルアップのシステム。戦闘終了後に経験値が入るのではなく貯めた経験値を拠点である教会で一気にレベルアップさせることができる。

目に見えてステータスがのびるのでカタルシスが堪らない

徐々にレベルを上げる場合と比べて複数のレベルを一気に上げるとステータスにボーナスがつくため、まだいけるまだいけるとしっかり貯めて強くなったときの快感は格別である。バトルに使うマグナスのカードも新しい街、ダンジョンでは必ず複数枚入手できるようになっておりデッキをいじって強くする楽しさもレベルアップとは別で楽しみ続けることができる。

中盤、店売り装備最強が豚バラになる。なんで?

そして何よりはそれらを試す場の提供である。街→ダンジョン→街→ダンジョンの流れを徹底しており。レベルアップや新たなカードで強くなって試したいという気持ちをすぐに解放することができる。ダンジョンには必ず強敵であるボスが設置されているしそれを超えた新たな街ではレベルアップや新しいカードの入手が可能だ。一見当たり前に思えるこのRPGの醍醐味をしっかりと提供してくれるゲームは意外と少ないので大満足ポイントだった。


デッキに詰め込んだ豚バラでボスに挑め!

・ビジュアル
騎士の国、機械化された帝国、大樹を崇める緑あふれた大陸など個性的な世界を見事に表現した街やワールドマップのビジュアルも世界観没頭できる良い点だ。


ショップ一つとっても街ごとに異なる背景である

【人を選ぶ要素】

・戦闘
マグナスバトル、雑にプレイすることもできるが楽しもうと思ったらかなり複雑。特に序盤はカード枚数が少ない上にコンボなども狙いにくいのでイマイチカードバトルのたのしさが掴みづらいかもしれない。

・テンポ
戦闘がなげぇ!雑魚戦に数分かかることもザラである。というのも終盤に近づくにつれ、敵も味方も一回の行動で複数枚のカードを使用するわけでその行動にリアクションする防御カードを使って今度はこっちの攻撃でこれとこれでコンボして…とくそ時間がかかる。もちろん戦闘自体が楽しいのと桜庭統氏による戦闘曲によって退屈はしないのだがあまりに長い。連続でエンカウントするとうんざりしてしまうこともある。またデッキ構築も最終的に仲間6人に対して一人60枚のデッキを弄ることになるので合計360枚近いカードの構築を繰り返すことになるので苦手な人は無理だろうなと(カード好きは楽しめると思う、実際俺は楽しかった)この辺はいい感じの配分で勝手にデッキ組んでくれるおすすめ構築的な機能があればと思った。
一応、リマスターにあたって戦闘倍速、敵ワンパン、エンカウントキャンセル、移動倍速などが追加されたのでその辺りを駆使しして自分なりのテンポでプレイするといいだろう。
この辺のなげぇけど楽しい戦闘はしっかりゼノブレイドにも引き継がれてるなと思う。

【感じたこと】

やっぱRPGって面白いなと。王道の熱くなれる展開、プレイヤーを唸らせる独自の設定や急展開、中毒性のある戦闘、魅力的なキャラ、強くなって強敵に挑むという攻略のカタルシス。その他諸々とRPGに求めるエッセンスが全て詰まっていた作品。非常に楽しめた。

みんないいキャラしてんだよな
仲間もRPGの醍醐味

プレイ時間は35時間ぐらい。今のゲームにありがちな長いムービーや広すぎるワールドマップ、数多くのサブイベなんてものはない。しかし、その分本編がしっかりと充実しているし逆に言えば本筋に集中しながら気を散らさずゲームを走り切ることができるギュギュッと詰まった良作。間違いなく大作RPGだけどコンパクトに遊ぶことができるのはいいことだなと。RPG好きで未プレイの方、ゼノブレイド好きな方、お勧めです。
続編の評判も高いのようなのでそのうち遊びます。
それでは。


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