【シンフォニック=レイン】得るためには失われなければならない。もう失っているというのに【プレイ感想】
神ゲー。正確には良ゲーくらいだけど俺にブッ刺さりまくったゲーム。なのでしっかり紹介したいけど遊んでから2ヶ月くらい空いちゃったな。
ちなみにネタバレ注意
あらすじ
・舞台は雨の降り止むことない音楽の街ピオーヴァ。主人公クリスは山を隔てた遠い街から音楽学校に通うためピオーヴァに転居し三年。卒業の年を迎えた。
・クリスは楽器奏者、内気な彼は卒業発表の歌唱を務めるパートナーを見つけられないまま、彼にだけ見える音の妖精フォーニと細々と練習を続けていた。
・クリスは故郷に恋人アリエッタ(アル)を残していた。彼女は忙しい仕事の合間を縫って週に一度の手紙。そして年に1度クリスマスには遠くから汽車に乗って会いにきてくれている。今年のクリスマスも近づくなか、クリスは卒業演奏の相手を探さなければならなかった。
物語の展開
・ここで音楽学校に練習に通う中、出会う三人の少女からパートナーを選ぶ。で恋仲にもなる。
・つまり恋愛ADVでありながら遠距離で健気に便りをよこし続けるアルを無碍にしながら各ヒロインルートに突入することになる。
・そして3人の中で最も重要なヒロイン、トルティニタ(トルタ)の存在。トルタは恋人であるアルの双子の妹であり、音楽の才能がなく、故郷に残ったアルとは異なりクリスと共に音楽学校に通っている。3人は幼馴染で思いを寄せる二人からクリスはアルを選び取ったという形。スーパー三角関係。
・なかなかパートナーが決まらないと手紙でやり取りをする中アルは信用できるトルタと組むことをしきりに進める。それでももし他の女の子と組むなら正直に教えて欲しいと告げる。でトルタ以外のヒロインの二人と組むルートではクリスマスには仕事が忙しいので会えないと言われ、クリスもそのパートナーに惹かれてるとか言うのでその後ごめんなさいあなたを試しました。さようならもうお互い忘れようとなる。辛い。
・肝心のトルタルートについては後述
選び取るということ
・主人公は目下の卒業演奏。恋人との関係、そして卒業後の進路と非常に人間らしい悩みに塗れている。
・そんな中クリスが関わりを持つヒロインたちもまた同様。自分が生きるための道を模索し、その中で半ばすがるようにあるいは利用するようにクリスのパートナーとなる。皆何かを失っており、それを埋めるためクリスを得ようとする。クリスはそんな彼女たちと歩みためにアルを失い、その穴を埋めるように彼女たちを得、共に歩む。
そんなちょっと重いゲーム。雨も降り続いてるし。ずっと曇天の木曜日5時間目の音楽の授業見たいな雰囲気です。唯一無二の雰囲気で良い。
真実とトルタ
彼女の双子の妹であるトルタをパートナーとするルートで物語は加速する。トルタをアルって呼んじゃったりトルタも姉への申し訳なさもあるものの気持ちを抑えられずアプローチしてしまったりしてしまう。
がしかし。ここまで6割くらい主人公クリスの妄想です。雨も一度も降ってねぇ。
音楽学校へ行く直前クリスとアルは交通事故に遭い、アルは植物状態に。クリスは心身喪失ながらも真実には心が耐えられないと周りが判断し、音楽の街ピオーヴァへ転居。アルは故郷で無事働いていると彼は思い込み手紙のやり取りを続けていた。同じ学校へ通うトルタと。
年に一度、クリスマスに遠い故郷から会いに来てくれた。のは同じ街に住み姉の格好をしたトルタ。
失うもなにもクリスはすでにアルを失っていた。トルタと仲を深める中で徐々にアルを思い出し始めるクリス。初めは辛い事実を隠すため姉に標榜していたトルタもいつからか嘘に耐えきれず。そして何より自分だってクリスを好きでいるのにという気持ちが溢れてしまいとんでもない終わりへ。
とまあ色々胸を締め付ける恋模様や真実があり、トルタの葛藤の後、真エンドへと収束する。
(真ルート以外でED後アルは死ぬ。記憶を取り戻さないトルタ以外のヒロインルートだとその腹黒ヒロイン(真実を知っている)の提案で卒業着に故郷のアルに挨拶に行きましょうとかで挨拶にいくルートもある。死体蹴りって限度ないんだっけ?)
真エンド
真エンドはしっかりハッピーエンド。トルタの協力でクリスが記憶を取り戻し、卒業公演は全てのルートにおいてクリスを見守っていた妖精フォーニと演奏。クリスにしか聞こえないはずのフォーニの声は会場に響き渡る。クリスはフォーニと共に故郷へ戻り、あるのベットに眠ったフォーニを横たえるとフォーニは消え、アルは目を覚ます。二人は小さな音楽教室を営み平和に暮らす。ご都合かもしれないけどここまでずっと辛いので本当に良かったってなるからな!
結局何がいいのか
シナリオにあった雰囲気の演出。これに尽きる。静かな石造り。しとしと雨が降り続けるイタリアの街。雨音を塗って聞こえる楽器の練習音。そこで出会う影を抱えたヒロイン達。故郷の恋人からの手紙。卒業への不安。恋人への想いの錯綜。そしてこれからの将来はどうなるのか。そんな全ての要素が全ての要素を引き立てる。
そして音楽、卒業公演までの間各ヒロインとそれぞれが作曲した曲を練習する。音ゲーで。
この曲が全部いい。そして歌詞。全部。全部すぎる。ルート攻略後それぞれの課題曲を聴くとお前の全てを歌っとるやんけ!となる。例を挙げるならさっきあれだけ話したトルタの曲名は「秘密」すでに全部じゃねーか。
そんなこんなですごく薄暗いじめっとした雰囲気の中で水溜りの写す街のような。濡れた花のような。傘に隠れた後ろ姿のような雨の日だけの美しさがシナリオの中で醸成され、このゲームだけの味になる。そんな無限とも思える雨だからこそ最後のハッピーエンドは唯一無二の青空と虹となるのだ。
刺さったなぁ〜
「この曲めっちゃ共感できる〜」というようなアレ。アレがあった。のんびりした地方に引っ越して通い始めた芸大卒業してどうすんだよってなりながら人間関係も悩んで仕事決まんねぇ将来どうするってなってる俺に全てが刺さりすぎた。遊んだのも六月のド梅雨で雨が多かった。ただそれだけの神ゲー。
サントラがプレミアなのなんとかならんか。
終わり。一生擦りそうなゲームになっちゃった。
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