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【ネタバレ無し】世界と呼ばれた少女の物語 シナリオ最強ADV 白昼夢の青写真を遊べ【ゲーム紹介】


こんなSTORYだよBOY

ジャンルは恋愛ADV、が少々特殊でプレイヤーはランダムに切り替わりつつ同時に進行する異なる三つの物語を読み進めていくことになる。いずれも男女の恋愛模様を描いたもので時代や世界観はそれぞれで大きく異なる。

CASE-1 波多野凛

🏷儚げ、上品、悪戯っぽい、影のある

舞台は現代。主人公は45歳非常勤講師有島。ヒロインは女学生の波多野凛。小説家の夢に挫折し、国語教師として繰り返し退屈な日々を送る。編集者の妻ともうまくいっていない。事務的な会話以外をしたのはいつ以来だろう。なんのための人生か自問の日々を送る有島。

既に没した偉大な小説家を父にもち、親からの寵愛を得ることも叶わず莫大な財産のみが残された孤独な文学少女、波多野凛。
人生に閉塞感やわだかまりを抱える彼らは出会い。退廃的かつ創作的な恋に溺れていく。

CASE-2 オリヴィア・ベリー


🏷男勝り、豪快、逆境、気丈

舞台は16世紀ヨーロッパ。主人公の青年ウィルは病床の父の跡を継いで場末の酒場を細々と経営している。常連客や商人の噂話や当時ブームだった劇場に勤める連中の噂話が日々の楽しみだった。
そんな彼の副業はアマチュア劇作家、常連客の噂話を膨らませて物語に仕上げるのだ。
しかし、彼はある日父の薬代のため盗みを働く。結局は失敗に終わり、彼は貴族に身請けされることとなる。そして出会ったヒロイン、オリヴィア・ベリーその美貌をもって貴族に取り入った彼女には手段を選んでいられない野望があった。“女優”になる。女性が舞台に立つことが禁じられていた当時彼女が舞台に立つことは許されるはずもない。
だがウィルとその劇作家としての才能を見抜いた彼女は男装の俳優として舞台に立つ。目標は演劇好き女王エリザベス。彼女に認められることができればあるいは。時代の常識を変えるため、ウィル、もといウィリアム・シェイクスピアの脚本とオリヴィアの演技は演劇界に挑む。そして二人は次第に惹かれあっていく。

CASE-3 桃ノ内すもも


🏷天真爛漫、陽、コンプレックス

舞台は今日より数十年先の近未来。主人公、不登校高校生の飴井カンナにはこの夏大きな目標があった。亡くなった写真家であった母親は生前、今年やってくるハレー彗星をとあるロケーションで撮影することと決めていたらしい。だからその場所を突き止め代わりに僕がシャッターに収める。学校に行っている暇なんてない。写真の練習、場所の特定、父さんにバレずに母さんの残したキャンピングカーで目的地へ向かうこと。やることは山積みだ。

ヒロインの桃ノ内すももは大学生。今はとある学校に教員免許のため教育実習に訪れている。本当はこんなことしたくなかったでも仕方ない。夜の仕事だって立派な仕事だ、それなのに私が夜職のことでお母さんの育て方が悪かったんだってみんながお母さんを酷く言う。だから教師の資格を取って見返そうと思ったのにうまくいかないし。地味なスーツも地味ボブのウィッグも窮屈。それに不登校のカンナくん?を学校に呼ばないと免許は与えないってあんまりだよ。

そして出会う二人、やりたくないことの中窮屈に生きるすももとやりたいことのために他を蔑ろにするカンナの星を探す一夏の冒険が始まる。


以上が同時に進む三つの物語。そして……

CASE-0 世凪

???

これまでの三つの物語はやがて四つ目、否0つ目の物語。CASE-0世凪に収束していく。同時進行する三つの物語の幕間に少しずつ語られる主人公、海斗彼は無機質な部屋で三つの夢を見る。そしてその横で眠る世凪もまた…

世界と呼ばれた少女、その物語とは。

因数分解された物語

こういった無関係な複数のエピソードが収束する作品はしばしば見受けられるが白昼夢の青写真の決定的な魅力はそれぞれの物語が収束点の物語への道筋などではなく独立された物語として、それのみでもゲームや小説となりうるクオリティを秘めていることだ。それぞれが無関係に思え、単体で完結しているが故にそれがどのように融合して世凪に収束するかは予想ができない。

だがその収束の仕方は恐ろしく美しく。例えるのであれば3枚の独立した名画をそれぞれをレイヤーとして重ねることで比類なき名画となる。5を3乗して125にする。オシリス、オベリスク、ラー単体で完成された三幻神が合体してホルアクティとなる。みたいな!も〜とにかく圧巻。そしてそれぞれの物語も非常に丁寧、使い回しのないそれぞれの物語専用のBGMはより世界観を独自のものとして克明に引き立てる。また各エピソードとゲーム全体にOPとEDがついていてボーカル曲はなんと9曲。そんなOPアニメも豪華で立ち絵やスチルのスライドショーではなく物語にあった演出の伴った描き下ろしムービー。そんな魅力的かつ別の系統の物語がCASE-0において美しい様々な糸がさらに美しいタペストリーを編み上げるように収束する様はとんでもねぇよ。とんでもねぇ。

そしてこの三つの物語。全て最後は別れで終わる。愛は成就すれど真の結実には至らない。
三つの物語によって補完されるCASE-0だが同時に非愛となってしまった三つの物語の救済の側面も持つ。相互に支え合い構成し合う形となっている。もうねぇ物語の黄金比よ。

ゲームが丁寧

先程のOPEDもそうだが100枚を超えるスチルや魅力的なサブキャラクター、BGM、UIなど前述の魅力的なストーリーにプレイヤーを没入させるに充分な準備を整えてくれるのも素晴らしい。

最後に

普段はネタバレ有りで既プレイ向けに感想とかをダラダラ書いてるけど今回はちょっと神ゲーすぎて未プレイ向けの紹介記事にしました。

より詳しいあらすじやキャラクターは是非公式をチェック↓
https://laplacian.jp/yonagi/

SwitchやSteamで遊べます。プレイ時間は10〜20時間とADVとしてはやや短め。それでも多層的に織りなされる物語の与える重厚感は長編に劣らないレベルです。連休に是非。

ps.後日談の出雲たんめっちゃ良いよな。


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