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【マルコと銀河竜】圧倒的密度のエンタメ流星群、面白が脳を直撃するド傑作を今すぐ遊べ【感想】

・以前から、気になっていたマルコと銀河竜をプレイ。



ジェットコースターのような展開1000枚を超えるCG数というクオリティの物量が話題となっていたが、プレイした結果想像以上の傑作だった。

・ADVというジャンルはエンジンがかかりきるまで冗長な展開が続く序盤シナリオや、立ち絵と背景だけの変化の乏しい画面の存在から、昨今の消費スピードの速い、刺激が求められるエンタメ文化と逆行しているイメージだった。

・そんな中、マルコと銀河竜は古くからADVにあったCGを圧倒的物量で投下し、視覚的な情報を増やすことで冗長な地の文を減らして魅力的なキャラの会話劇を展開してシナリオをブラッシュアップ。同時に演出による画面の華やかさも忘れない、まさにADV文化のブレイクスルーとなりえる傑作だった。


プレイ時間は驚異の4時間強、ボイスをすべて聞いても8時間程度といったところであろう。ボリューム面に不満は一切なく、体験時間≠満足感となっている昨今のエンタメ市場におけるADVジャンルにて、ここまで短いプレイ時間で脳細胞がバチバチに満たされたのは初めての経験だった。


・ちなみにプレイしたのはセールしていたswitch版スチーム版もあるよ。


作品概要

記憶喪失の孤児・マルコと銀河を統べるドラゴン・アルコが宇宙で宝探し!?旅の途中、マルコは自身の母親の手掛かりを得る。向かう先は、生まれ故郷の地球だった!

公式HP(https://uyragnigotocr.am/)より引用

・と、あらすじだけみれば一見トレジャーハンター女子コンビが銀河をまたにかけてドタバタアドベンチャーを繰り広げるコミカルな作風を思わせる。


しかし実際には、主人公のマルコが記憶喪失および孤児となった原因は10年前に地球に押し寄せた異星人による大規模な「こども狩り」の被害者兼生き残りという経緯である。銀河で奴隷して売り飛ばされたのち、「よく肥えたのちにお前を喰らう」という約束の元、銀河竜アルコと行動を共にするという極めてシリアスな一面(いずれも序盤で明かされる)を持っており、そういった宇宙の深淵を思わせる冷徹で残酷な世界観や背景がシナリオには散りばめられている。

しかししかし実際には、トレジャーハンター女子コンビが銀河をまたにかけてドタバタアドベンチャーを繰り広げるコミカルな作品なのだ。

そんなシリアスとギャグの二面性が表裏ではなく、シェイクされた感情の気泡のように無法則に画面という水面へと顔をのぞかせ続る。そしてそんな人間味いっぱいの感情を抱えた魅力的なキャラクターたちが思いのままシナリオを縦横無尽に駆け回って生まれたのが「ジェットコースター」とも称される本作の魅力的なシナリオと展開の正体である。


・とあるゲームレビューサイトでは「ゲームが面白くなり始めるまでにかかった時間」という評価項目があるがこのゲームは10秒だった。

ちなみにプレイ1分でこれ


魅力ポイント

●圧倒的なCG数とアニメーション

・最初に特筆すべきは作品の最大の特徴でもある暴力的とも言えるCG数。プレイを始めた直後から目まぐるしく切り替わるCG表現によってグっと物語引き込まれ、そのテンポは落とされることなくプレイ終了までプレイヤーの脳をつかんで離さない


・一方でそこまでキャラと画面が動いてフルボイスならもはやアニメだし、だとすれば結局アニメの下位互換じゃんと思ってしまう人もいるはずだ。


・そこでこの作品、アニメパートでは画風(作風)を変えることによって、テキスト・CG・アニメといった複数の手法を使い分けるゲームにしかできない演出を強みに変えている。


アニメパートでは打って変わってカートゥーン調になり、キャラたちがコミカルに動き回る。通常のADV作品のアニメパートは変化の少ない通常のプレイ画面の「静」に対して、キメのシーンで一気にアニメーションが流れる「動」のコントラストが魅力だが、今作は通常のプレイ画面も充分に活動的なエネルギーにあふれているため、この作風のギャップが見事にコントラストを産み出してくれている

・このエネルギッシュな特徴が後述するシナリオの魅力と合わさることで、唯一無二のゲーム体験へと至るのだ。

●魅力的なキャラたちを一瞬でキャラ立てするシナリオ構図


・そしてそんな物語を彩るキャラクターも当然魅力的である。
主役コンビのマルコと銀河竜アルコを取り巻くサブキャラクターたちの序列に優劣はなく、皆一様に持ち味を活かして輝く。それを支えるのが前述した豊富なスチルの数々だ。


この画像のようにもののワンシーンで蕎麦屋の元気一番看板娘であることをうかがわせ主人公とお友達になっていくということがうかがえる。


画面の演出力を活かして、登場するキャラたちは、おバカ金持ちお嬢様生徒会長や冷静執事系メイド、銀河征服を目論む黒幕に母性を滅ぼされ復讐を誓った生き残りの女剣士や、銀河征服勢力の幹部でありながら地球でおでんのデリバリーに励むガイコツ兵に加え、マックス〇リュの総菜コーナーの優しいおばちゃんなど少ないキャラ数にもかかわらず極めて多岐にわたる。

そんなキャラクターが織りなす物語は関係性が縦横に交差して生まれる緻密なタペストリーのよう…などではなく。
例えるなら色も形もバラバラのレゴブロックを箱に入れてぶんぶん振り回したら組み合わさって銀河の星々のような無作為ながらも個々の個性が息づくただ一つの世界図が生み出されたかのようである。



●短時間ながらの密度と完成度の高いハイテンポストーリー

・自分が感じた印象で例えるなら、複数の4コマ漫画が集まって1話分のエピソードになっているタイプのアレだ。

・短い場面の間に常に動きとシナリオの意表を突く乱入があり、常に理外の外側に物語が転がされ続け、やがてその果てに身近で大切な場所へと落ち着き、そしてまた転がり始める。

・また、繰り返しになるが大量のCGによって視覚的・物質的な描写は充分プレイヤーに伝えられる一方で、キャラの心情的な描写、葛藤や決断、内に秘めた思いがプレイヤーの伝わるのはワンテンポ遅く、ドタバタしたコミカルなシーンに気を取られていると、ふとキャラの成長や大きな決断を目にしてハッとさせられる。これもまた激しいテンポに対する静のコントラストで作品の緩急もといコントラストを際立たせている。これは決して描写不足ではなく画面の裏で一人一人のキャラが自分の気持ちを持ち続けている証左であり、個人的にこのゲームの非常に好きなポイントだった。

・そんなジェットコースターと激しくも純粋な気持ちが帰結するラストとプレイヤーの求めるドタバタ日常のエピローグの満足感は素晴らしい。

・また余談であるが、この作品の選択肢(分岐)はたったの一つしかない。これはプレイヤーにとって非常に悩ましい選択となる、このゲーム魅力と持ち味を最大限に活かしたニ択となっているため、ぜひプレイして自分の目で確かめてほしい。

最後に

・今年一発目にプレイしたゲームだったが間違いなしの大満足作品だった。
・いつもは「人を選ぶ要素」としてネガティブな面に触れていたが今作はそういった面もなく、とにかく短く太く駆け抜けていった。
・「作品の魅力」では触れなかったがOP曲や劇半、UIの完成度も高く総じてクオリティの高いゲーム体験だった。
・シナリオ・作品ボリューム不足とはまた異なる点で、もっとこのキャラクターたちが生きている所を見たいという気持ちが強いので、何かショートエピソードみたいなのが動画とかでもいいから見れたりしないかな~と思ったり。
・あとは膨大CG数においてほかの作品で真似することは難しいかもしれないがADVで密度を詰めることでここまで作品のパワーが跳ね上がるのかと発見のあった一作でもあった。特にYoutubeに上がっているプロモーションムービーにしかないCGが存在していたりともう訳が分からない。
・とにかく遊んで損のないめちゃんこ面白いゲームだったので、時間もそこまでとられないしプレイのストレスも少ないのでぜひ遊んでほしい。

・ノラと皇女と野良猫ハートも気になるぜ…いつか遊ぼうかな 


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