去年の秋のプレイリスト
去年の秋に作った
4曲だけのプレイリストを
久しぶりに聞いてみた。
音楽は自分にとってなくてはならないもので
それは、自分が作るとかじゃなくて、
聞いていることで安心する。
イヤホンで聞く音楽は
周囲の雑音を全て遮断してくれて
ひとりの空間にできるような気がするから
好きだ。
去年の秋は
いろんなものが不安定だったと思う。
仕事もまだバイトだったし
情緒も安定していなかった。
なんだか、そわそわしていた。ずっと。
そんな中でいつも耳にしていた音を
あらためて聞いてみたら
全然違う感覚になる。
ただ、それだけなんだけど、
自分にはちょっと特別だった。
匂いとか音とかって、
一緒に強烈な印象が残っているものほど
その時のことを一瞬で思い出させる。
昔付き合っていた人がつけていた香水とか
好きな人ができたときに
ずっと聞いていた曲とか
一人暮らししてた頃よく行っていた
コンビニの匂いとか
川沿いを自転車を押して帰りながら
悔しくて虚しくて泣いた時見た
夕やけとか夜ご飯の匂いとか
過去の積み重ねで今の私があるのだけど
消し去りたい過去も
思い出したくないことも
たくさんあるから
そういうことを
一瞬でフラッシュバックさせてしまう
音楽や匂いと共にある記憶は残酷だ。
だけれど、
その記憶さえ思い出さず
純粋に音楽を楽しめている自分に気づくと
なんだか、勝った気にさえなる。
やっと、昇華できた。
過去のこと
とはいえ本当はまだ終わっていなかった
いろんな感情の部分を
残酷な記憶として思い出さなくなったとき、
私は過去にできたんだ、と思ったのだ。
人間はきっとみんな器用なんかじゃなくて
傷ついたり
傷を隠したり
人知れず泣いたり
心の中に留めたりしながら
笑って生きている。
それで十分なんだと思う。
自分の中の醜い感情も純粋な感情も
どうにかこうにか
自分で昇華しながら生きていく。
その経験を重ねて
少しずつ強くなっていくんだろう。
秋が来るなあ。
今朝は少し涼しい。
今年の秋はどんな音楽を見つけるだろう。
今年のプレイリストは
きっと去年とは全然違うものになる。
それも、私が進んでいる証。
日々少しずつ進んでいく様を
私は私の中に記憶として刻んでいく。
2019.8.19
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