酒と音に酔いしれるのが幸せってタイプではないけど。
手帳をひらけば実感する。
自分がどれだけ、ひきこもりか。
むかしは手帳の空白が嫌いで、めいっぱい予定を立てていた。
でも体調が急変したりで、遅刻やドタキャンばっかりして人様に迷惑をかけまくり、予定を立てるのが怖くなった。
「双極性障害は社会的な後遺症が残る病気」という言葉を聞いたときは、耳が痛すぎて笑った。当然、離れていった人もいる。
躁鬱の波にある程度対処できるようになった今も、約束を守れないという恐怖だけが強く鮮やかに残っている。
そんな私をそとへ連れ出してくれる人がいる。
母だ。
母はとてもエネルギッシュで、趣味や推しのために、日本全国どこへでも飛んでいく。
車の運転も好きで、大阪や名古屋くらいなら車で日帰りする(関東在住)。
彼女はいつも推しのイベントに誘ってくれる。
布教しあうから、私たちは共通の推しが多いのだ。(SMAPに高橋優にSUPER EIGHT)
疲労感が強かったり、急な膀胱炎になったりパニックがでたり、泊まりの旅行がニガテだったり。
色々あるけど、理解してくれている人が隣にいるだけで不安は6割減になる。
だから母が一緒だととても心強い。
そんな私たちにとって、一年中で最大にヤバいイベントが夏に控えている。
高橋優主催、秋田キャラバンミュージックフェス(通称ACMF)だ。
ヤバいのだ。いろんな意味で。
大好きな高橋優がものすごく力を入れて頑張っているイベントだし、いろんなアーティストを見られて美味しいものがたくさん食べられる。
ただ、真夏の「フェス」だ。こういうのってたぶん、アウトドア派の元気な人が集うもの。ひきこもりが気軽に行けるもんじゃない。
フェスなんて一生無理だと思ってた。
だから2014年初開催発表のときも、完全に他人事として聞いていた。
でも母はちがう。
虎視眈々と機会をうかがい、3回目開催の知らせを聞いて動き出した。
「2日間のうち1日でいいから行ってみようよ!」
面白そうではあるけどでも…と、迷ってるうちにチケットもホテルもおさえられていた。聞けばACMFは、初心者にも優しいフェスらしい。
とりあえず、チャレンジしてみるか。
何事もやってみないとわからない。
それからチャレンジは積み重なり、今年で5回目の参加になる。
少しずつステップアップして、前々回からは2日間通しで入場できた。
難なくこなせてきたわけじゃない。
一ヶ月前から緊張してるし、色々あるけど毎回必死で乗り越えてきた。
母だってそうだ。年齢もあるし、あいだに病気だってした。
だけど終わってみれば、全部ひっくるめてサイコーの思い出。
この目で、耳で、肌で感じて、初めて知れる景色がある。
広く晴れた空のしたで飲む、ひなたエキスのスイカミルクのおいしさ。
Little Glee Monsterのおかげで、初めて「音を浴びる」体感をした。
こういう場において自分が快適に過ごすための正解が、回を重ねるごとにわかってきた。
何気ない声、日かげ探し、指先にとどまるトンボ、安堵の笑い皺。
今回は2泊に挑戦してみない?と言われた。完全に未知の領域。もはや運に任せる。
私が「夏のイベント」に参加するのはこの日だけ。
サイコーな思い出になるように、整えて整えて挑みたい。
母と一緒じゃなければみれなかった景色が、たくさんある。
いつも隣にいてくれて有り難う。
そしてひとつでも多くの明かりが灯りますように。
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