最近クリアしたゲームの感想#3『幻想牢獄のカレイドスコープ』
※ ゲーム本編のネタバレが若干あります。
こんにちは。
突然だが皆様は「自分の好きなアニメのシーンは何?」と聞かれて何を思い浮かべるだろうか。
仲間と力を合わせて強大な敵を倒すシーン?
主人公がヒロインに告白するシーン?
皆それぞれ好きな場面が色々あると思う。
しかし私が好きなのは、『クソデカ感情を吐き出すシーン』だ。
具体的な例を挙げると、
『宇宙よりも遠い場所』で、めぐっちゃんがキマリに絶交宣言(無効)したり、
『異能バトルは日常系のなかで』の櫛川鳩子が中二病の概念が理解できず主人公に激昂したり、
『冴えない彼女の育てかた』の澤村・スペンサー・英梨々が主人公と小学生時代の所業で大喧嘩したり、
『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』で嫉妬に狂った上原歩夢が高咲侑に本音をぶちまけて押し倒すシーン、などである。
これらに共通するものは、どれも積もりに積もった感情が爆発し、一気にあふれ出す場面だということ。ただ単に短気なキャラがむやみにキレ散らかしているのとは訳が違う。
感情はデカければデカいほど良いし、それを心に溜めている時間が長ければ長いほど濃厚な味わいが出る。ヴィンテージワインと同じだ。私はアニメのクソデカ感情を摂取して生きる怪人なのだ。
さて、前置きが長くなったが本題に入ろう。
今回レビューするゲームは、『幻想牢獄のカレイドスコープ』。先ほど申し上げた『クソデカ感情を吐き散らすシーンが好き』という点が共感できるのであれば、非常に楽しめる作品だと思う。逆にそうでなければ、かなり人を選ぶ作品で、実際他所の感想レビューも賛否両論だ。しかし私はこの作品が好きだ。
これをプレイしようと思ったのは、月ノ美兎委員長のプレイ動画(序盤のみ)が面白くて、続きが気になったから。まずはゲームの紹介から書いていこうと思う。よろしくどうぞ。
ゲームの概要
『幻想牢獄のカレイドスコープ』、略して『ゲロカス』。ちょっとあんまりな略称だがこれが公式なのだから仕方がない。ジャンルはノベルゲーで、企画・シナリオは『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07氏、原画・キャラクターデザインは『CLANNAD』の樋上いたる氏という超豪華タッグの元制作された作品だ。
しかし、この時点で何かを察した方もおられるだろうが、このゲームはトップ画像の可愛い4人のヒロインと楽しい学園生活を送る・・・なんて甘っちょろいものでは断じてない。本作は、彼女たちがデスゲームに巻き込まれ、翻弄される様を延々と見届ける作品なのだ。
個性豊かなヒロインたち
まずはデスゲームに巻き込まれる、同じ学校に通う仲良し4人組を紹介したいと思う。個性的でちょっと古典的なヒロイン属性を持っている。
田丸 火凛(たまる かりん)・・・見た目は可愛いが性格は正義感に溢れる男勝りな女の子。「仮面ケンドーV6嵐」という特撮が好き。将来はアクション俳優を目指していて、完璧な風華に憧れている。CVは鈴木みのりさん
湯浅 水無(ゆあさ みな)・・・可愛いものや動物が好きなふわふわ系女子。その小動物的な可愛さゆえによく男子にからかわれ、その度に守ってくれる火凛のことを慕っている。CVは豊田萌絵さん
英 土麗美(はなぶさ どれみ)・・・いつも冷静スタイル抜群文学系クール美人。しかし実際はドジっ子で牛丼屋のことしか頭に無い不思議ちゃん。水無のことを可愛がっている。CVは瀬戸麻沙美さん
五条 風華(ごじょう ふうか)・・・頭脳明晰、品行方正な完璧お嬢様。皆の頼れる学級委員長だがその裏では気苦労が絶えず、土麗美にいつも相談に乗ってもらっている。CVは茜屋日海夏さん
以上がヒロイン4人の簡単な紹介である。声優さんも非常に豪華で、今まで何人ものメインキャラを演じてきた実力のある方達だ。個人的にはデレマスの藤原肇や『マクロスΔ』のフレイヤ役の鈴木みのりさんが居るのがポイントが高い。演技力に加えて至高の歌唱力を持つ彼女だが、この作品でその歌声を披露することは一切無い。残念。
余談はさておき、ここで重要なのが、ヒロイン全員にはそれぞれ好きな相手がいるということだ(友情・Likeの意味で)。火凛は風華が、風華は土麗美が、土麗美は水無が、水無は火凛が好きというように、4人で好きな相手が1巡するという関係になっている。図解すると下のようになるので、まずはこの関係性を覚えておいて欲しい。
(仲良し4人組)
デスゲームについて
次にデスゲームの内容だが、まず状況を説明すると、彼女たちは工場の一室のような部屋に閉じ込められている。窓は無く、出口は閉ざされたエレベーターの扉が一つあるのみ。正方形の部屋の四隅には、鉄製の何やらヤバそうな拘束椅子が設置されている。その椅子からは鎖が伸びていて、彼女たちに装着された金属製の首輪と繋がっている。
彼女たちはそれぞれカードが1枚ずつ配られる。カードの種類は3つで、『死刑囚』が1枚、『ピエロ』が1枚、『断罪者』が2枚となっている。誰にどのカードを配るのかは我々プレイヤーの手に委ねられており、配り方の組み合わせでストーリーが変化する。
デスゲームの制限時間は5分。
まず『死刑囚』を引いた人間は椅子に拘束される。
『断罪者』はその人間が「有罪」か「無罪」かを宣言する。
「有罪」であれば『死刑囚』は拷問にかけられて死ぬ。「無罪」であれば『ピエロ』と役割を交代する。宣言をしなかった『断罪者』が拷問レバーを引ききると、『死刑囚』以外の人間の首輪が外れ、出口のエレベーターが開いて脱出できる。ただし制限時間を超えると部屋が炎に包まれて全員が死ぬこととなる。
つまり、『死刑囚』か『ピエロ』のどちらを犠牲にするのかで、彼女たちは揉めに揉めることとなる。ルールがシンプルかつ、制限時間が短いので展開がめちゃくちゃ早い。
可愛いアニメキャラの姿か?これが・・・
ゲームが始まった途端、女子高生4人の罵倒合戦が幕を開ける。
可愛いビジュアルは豹変し、顔芸を披露しながらキレッキレの語彙力で彼女たちは相手を罵りあう。仲良し4人組だった頃は見る影もなく、ヤクザ映画の如く汚い言葉でレスバトルが繰り広げられるのだ。
(歩く下痢便!?)
この状況を作り上げたのは死への恐怖からの極限状態というのもあるが、ここは美少女をブチ切れさせるのに定評のある竜騎士07氏、彼の最高に性格の悪い設定付けにより、彼女たちが揉める仕掛けが構築されている。
ここで先ほどお見せした4人の関係図を思い出してほしい。それぞれ好きな相手が一巡しているというやつだ。実はその図は未完成であり、『好きな相手にどう思われているのか』という点が欠けている。という訳で本当の相関図をご覧いただこう。どうぞ。
(地獄の四角関係)
これである。
実は全員、「自分が大好きで親友だと思っている相手から嫌われている」のだ。この関係性があることで、嫌いな相手が拷問椅子に座っていれば嬉々として罵倒し、殺そうとするし、自分が『死刑囚』で嫌いな相手が『ピエロ』であれば容赦なくこいつを『死刑囚』にしろと喚きたてる。カードがどんな組み合わせになろうが、彼女たちは絶対に揉めるようにできている。まさに地獄の地獄である。
(ちなみに、ヒロインの名前にはRPGでよくある属性名が付いていて、好き=得意属性、嫌い=苦手属性という関係になっているので非常に覚えやすくなっている。何の配慮だよ。)
しかし、なぜ4人がこのような関係になってしまったのか?これが今作のストーリーにおいて重要なポイントの1つだ。端的に言うと、各ヒロインはそれぞれ、過去に相手から恨みを買うようなことをやらかしているからである。(中には不可抗力で本人にはほとんど非が無いものもあるが)
しかし、やらかした本人はそれを覚えていないもので、やられた側はずっと根に持って覚えている。こういった経験は皆様にも覚えがあるのではないだろうか。その恨みつらみはやがてクソデカ感情となってこのデスゲームという場で大爆発し、その溢れるエネルギーをプレイヤーの私が美味しく頂くのだ。
(言い過ぎじゃない?)
1つのシナリオが終わると時間が巻き戻り、何度も何度もデスゲームが繰り返される。カードの組み合わせにより12通りのパターンが構築され、それぞれ違ったシナリオ展開が楽しめる。
しかし面白いのが、いずれの話にもストーリーを紐解くキーワードが散りばめられていて、色々なパターンでデスゲームを繰り返すことで、歪な4人の関係性が構築されるに至った片鱗を知ることができる。カードの配り方はプレイヤー次第で、話を読む順番も違うはずだが、最終的に12の惨劇を全て見ることで、1つの真実が浮かび上がってくる構成が非常に上手くできていて、とても感心した。こんな内容のゲームなのになんでそういうところは丁寧なんだよ。
あと、このゲームの素晴らしい所は声優陣の迫真の演技もその1つだ。楽しかった日常の会話から相手への罵詈雑言、拷問を受ける際の苦痛にまみれた悲鳴等々、全編竜騎士07氏の書き上げたゲロカス並みの汚い台詞も見事完璧に演じ切っている。「仕事だから嫌々やってんじゃないの?」って思われるかも知れないが、皆さん嬉しそうにツイートしているので、まぁそんなことは無いんでしょう。声優さんって凄い。
総括
ヒロインたちの熱き罵倒合戦を聴きながら、それぞれの恨まれた原因・真実を探っていくミステリー要素もある『幻想牢獄のカレイドスコープ』、1シナリオだいたい30~40分程度で、クリアまでは8時間くらいだった。隠しルートなどは無いので1週で全てのシナリオを読むことができる。プレイ時間は短いが、非常に濃い内容となっているので個人的にはとても楽しめた。気になった方はまず実況動画を見てもらって、自分に合いそうなら是非本作を購入して彼女たちの結末を見届けて欲しい。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。
また次の感想記事でお会いしましょう。
筆者的ゲーム評価
ストーリーの面白さ:☆☆☆☆
罵倒の語彙力:☆☆☆☆☆
声優さんの演技力:☆☆☆☆☆
あと、上記したもの以外で『クソデカ感情を吐き出すシーン』のあるアニメがあれば、私に教えてください。ではまた。