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最近クリアしたゲームの感想#2『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』

※ゲーム本編のネタバレが若干あります。

はじめに

 前回レビューしたドラクエビルダーズの続編の感想を書いていこうと思う。前作をクリアしてエンディングを見た後、私は間髪置かずにこのゲームをすぐにプレイし始めた。

 なぜなら手元にソフトがあったから。以前申し上げた通り、そもそも私がビルダーズを始めたきっかけは奥さんだったのだが、ゲームの内容を知っている彼女が私のプレイ状況を加味して、2のソフトとおまけに純正コントローラーを買ってくれたのだ。この歳になって人にゲームソフトとコントローラーを買って貰うのは若干気恥ずかしい気もするが、とてもありがたかった。

 肝心のゲームについての感想だが、傑作だった前作の期待を大きく上回る大傑作であり、非常に面白かった。少々長くなるかもしれないが、お付き合い頂きたい。

システム周りについて

 素材を集めて建材ブロックやアイテムを作り、部屋や施設を建築していく、というビルダーズの根本的な部分は前作と全く同じ。ダッシュの追加やブロックの連続置きなど、細かな操作の追加変更もあったが、利便性が良くなっており、混乱するほどではなかった。しかし大きな違いとして、今作のストーリーは章ごとの切れ目が無く、オープニングからエンディングまでが1本の流れで繋がっている。

 もう少し詳しく説明すると、見習いビルダーである主人公は、『からっぽ島』と呼ばれる無人島に漂着し、そこに住む精霊的なおおきづちと出会い、「この島を開拓して欲しい」と島を丸ごと託される。しかし素材が足りない、住人も居ないので、船を使って近くの島へ行き、そこで出会った人達の抱える問題を解決(島を支配しているボスを倒す)、そして住人の内何人かをからっぽ島に連れて帰り、皆で開拓を進める…という流れを繰り返すのだ。

 このシステムの何が良いかというと、前作では章が切り替わるとせっかく一緒に時を過ごした住人とはその時点でお別れする必要があった。しかし今作は『からっぽ島』という拠点が存在し、そこへ連れて帰ることができるため、前作のような寂しい思いをすることが無くなったのである。

 もちろん現地の住民の内、からっぽ島に来ない事を選択する者もいる。ただしゲームを一度クリアすれば、他の島とからっぽ島との間で自由に引っ越しをさせることができるので、好きな住民を自由に選んで、自分の島に住まわせることが可能なのだ。最高。

 ストーリーの合間に自由な建築が出来るというのも好きな点だ。他の島から住人を連れてきた後は、チュートリアル的な開拓パートがあり、それが終わると再び自由の身になる。そのままからっぽ島の開拓を進めても良いし、新たな住民や素材を求めて次の島に向かってストーリーを進めても良い。(新たな島に行く際、所持しているアイテムは全て回収されるので、ここは前作と同じく、新鮮な気持ちで新しい土地に挑むことができる。)

 私の場合、来てくれた住民が寝るための住居、食事を作るのに必要な農場や食堂、トイレや公衆浴場などのインフラを整えてから次の島へ向かうというスタイルでプレイした。新たな島をクリアするごとに作れる物が増えていくので、新しい施設を作ったり、作った施設をさらに上位のものにアップデートしたり、ゲームをしていない時も何を作ろうか考えるだけでも非常に楽しく、仕事中も建築のことが頭から離れなかった。

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(私の島の入浴施設。壁掛けを使えば男女で分けられる)

ストーリーについて

 前作のストーリーも良かったが、今作はさらに輪をかけて最高だった。ビルダーズ2のストーリーを語る上で絶対に欠かせない存在、それがシドー君である。(トップ画像の真ん中)
 
 彼は主人公が島に流れ着いて初めて出会う少年だ。記憶喪失状態にあるが、モノを作ることが出来る主人公に興味を持って相棒となり、2人で色々な島を巡ることとなる。性格は少々粗暴ではあるが、純粋で人を思いやる優しさを持ち、主人公に対する信頼も深い。言うなればバトゥーキの純悟である。モノ作りはできないが破壊することは得意で、戦闘が始まると真っ先に敵を倒しに行ってくれるし、主人公が素材を集めていると同じ素材を一緒に集めてくれる、どこへ行くにも後ろを着いてくる、頼もしく愛らしい存在だ。

 大まかなストーリーの流れは前述した通りだが、その中で、彼との友情物語はこれでもかという程、丁寧に描かれている。主人公とシドー君は、住人のお願いクエストを達成したり、強い敵を倒したりするたびにハイタッチをするのだ。(超重要アクション。ビルダーズ2の熱心なファンは『シドー ハイタッチ』という単語を聞いただけで号泣する。

 しかしストーリー終盤、とある事情からシドー君が離脱してしまう期間が発生し、その間はどれだけ巨大な建築物を建てようが、強大な敵を倒そうが、彼とハイタッチをすることは無い。プレイヤーは嫌でも彼が存在しないことを思い知らされる。だがその喪失感や苦しさを乗り越えた先にあるエンディングは、涙なしには語れない。これは是非プレイして体感して欲しい。本当に素晴らしいので……

 また主人公とシドー君だけでなく、人間と魔物の種族を超えた友情もテーマの一つとして描かれている。ビルダーズ2で訪れる島は、ドラゴンクエストⅡのラスボスである、ハーゴンの作った教団に支配されている。ハーゴン教団の魔物は、住民に「破壊することを良しとし、モノづくりは悪である」という教えを強制し、圧政を敷いている。しかし、教団に所属していない魔物も居れば、教えに疑問を持ち、心変わりする者も存在する。彼らの協力を借りながら教団に対抗し、目的を達成していくストーリーがとにかく激熱なのである。特に私はモンゾーラ島のシナリオが好きで、人間と魔物の友情が顕著に描かれているし、直前まで前作を遊んでいた自分はクライマックスの展開に度肝を抜かれた。

ビルダーズのやべーやつ

 ビルダーズに登場するキャラクターは、人間から魔物に至るまでどれも個性的で我々を飽きさせない連中ばかりだ。しかし、個人的にインパクトが強すぎてどうしても触れておかなければならない住人NPCが存在する。それがオッカムル島の『セルジ』という男だ。

 オッカムル島というのは、主人公とシドー君が2番目に訪れる大きな島で、かつては豊富な鉱石が採れる鉱脈の町だったが、ハーゴン教団の手によって鉱石が採れなくなってしまった島だ。しかし主人公たちがやって来たことをきっかけに、住民たちと協力して町を再興していくのだ。

 初めはこの町の住人(ほとんどが男)もやる気が無く、非協力的であったものの、町の酒場の看板娘である『ペロ』が「町が復活したらバニーガールになってあげる」という約束にモチベーションを取り戻し、奮起するというギャグ要素の強いシナリオになっている。そのため、この町の男共はペロの父親であるアーマンを除いて全員スケベ心から活動している。先述した『セルジ』もそのスケベニンゲンの内の一人であるが、こいつに関しては変態度合いが他の住人と比べて一線を画している。

 オッカムル島のストーリーを進めていると、主人公はスケベ住人共から、炭鉱で働いた疲れを癒すために色々な施設を作って欲しいと依頼してくる。例えばそれは酒が飲めるバーだったり、プールやシャワー室などだ。これはまだわかる。しかしセルジは主人公に頼んでくる。「シャワー室の壁をガラス張りにして『すけすけシャワー室』に改造して欲しい」、と。

 ・・・なんだこいつは?いや絶対覗くつもりだろ。犯罪の臭いしかしない。「ハーゴン教団の教えに背いていないか、僕が監視します!」とか言って町の住民になったくせに、その信念はどこへ行ったのか。私は犯罪の片棒を担いでいるようでこのクエストを心底受けたくなかったのだが、これをクリアしないとストーリーが進まないので仕方なく『すけすけシャワー室』を作った。(会話を聞くと分かるが、こいつは100%下心から依頼している)

 ビルダーズ2では島を支配するボスを倒した後、住民一人一人に話しかけて、からっぽ島へ来てくれるかどうかを確認する場面が存在する。オッカムル島のボスを倒した私は、「どうかこいつがウチの島に来ませんように」と、組み分け帽子を被ってスリザリンに行きたくないと祈るハリー・ポッターと同じ気持ちで話しかけた。

 結果はNO、私は心の中でヨッシャと叫びガッツポーズをした。セルジは「ペロさんと離れるのは嫌だけどまだこの島でやることがあるんです・・・」みたいなことを言っていた気がするがどうでもよかった。こんな奴がウチの島に来たら、やれ『個人マッサージ室を作れ』だの『ぱふぱふ小屋を作れ』などと言い出しかねない。(実際これらの施設はゲーム内に存在する)

 かくして、私はこの変態覗き野郎と無事別れることに成功したが、恐怖はそこでは終わらなかった。
 
 このゲームには、からっぽ島に来なかった他の島の住人から手紙が届くシステムがある。からっぽ島で過ごしていると、当然のごとくアイツからも手紙が届いた。しぶしぶ読んでみると、『僕は今、バニー服の研究開発をしています!絶対に世界一のバニー服を完成させてみせます!』みたいな内容が書いてあり、私はそれを適当に読んだ後、速攻で削除した。

 その後私は、ゲームをクリアするまでオッカムル島には立ち寄ることは無かったのだが、前述した住民引っ越し機能が解放されたあと、ふとオッカムル島のページを見ると、そいつは居た。なぜかバニーガールの姿になって。いや、世界一のバニー服を作るとは言ってたけどお前が着るんかい!

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 一応確認の為オッカムル島へ行ってみると「そろそろマイスイートハニーのペロに会いたいから僕もからっぽ島に連れて行って欲しい」などと言ってくる。バニーの姿で。今は多様性の時代なので、女装趣味のことを悪く言うつもりはないが、ペロを自分の彼女だと思い込んでいたり、アーマンを勝手に義父呼ばわりするような危険な輩を自分の島に呼ぶつもりはない。私は無言でオッカムル島から去った。こんなヤバいキャラを入れておきながら何がCERO:A(全年齢対象)だよ。ちゃんと審査しろ。

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(絶対に嫌)

おわりに

 セルジのせいで大幅に文字数がかさんでしまったが、この辺りで感想を締めていきたいと思う。初めにも言ったがこのゲームは間違いなく傑作で面白かった。ゲームシステム・ストーリー共に完成度が非常に高く、オープニングからエンディングまで、とにかくプレイヤー飽きさせない作りになっている。所持できる素材の量や、移動の快適さなど、建築のやり易さも前作と比べて格段にアップしているので、建築を楽しみたいなら絶対に今作をおススメする。登場するキャラクターも一部の変態を除いて皆魅力的であるし、セリフのセンスが半端なく良いので会話をするのがとても楽しい。他にも、今回書ききれなかったドラクエビルダーズ2の良さは、まだまだ無数に存在する。魔物の船長とか。

 私が一番好きなドラクエシリーズはドラゴンクエストⅢなので、今後Ⅲの世界を舞台にしたドラクエビルダーズ3が発売することを願いながら、私はからっぽ島開拓の続きをやりたいと思う。

ここまで読んでくれてありがとうございました。
また次の感想記事でお会いましょう。

筆者的ゲーム評価

ゲームの面白さ:☆☆☆☆☆
ストーリーの面白さ:☆☆☆☆☆
シドー君との友情の尊さ:☆☆☆☆☆
セルジの変態度:★★★★★★★★★★

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