彼が姿を消した理由-あとがき-
【彼が姿を消した理由】
いかがでしたでしょうか。
動物を飼っているすべての人が 彼らに愛情を持って接しているわけではない
そんな知りたくない現実を突きつけられ
驚きと憤りが悲しみに変わり
人間とはなんと傲慢で愚かなのかと
そしてまた、多くの人々は
我が子に寄り添い、その子の一生をそばで見届けたいと思っているし
「大好きだよ」「愛してるよ」と伝えながら、想いながら
大切な 家族として 暮らしている
だからこそ、脱走した彼を見つけたいと
一途に願って探し続けた皆さんの
真摯な気持ちは
きちんと彼にも伝わっていました。
しかし
彼の最後の選択は「戻らないこと」でした。
【我慢して生きるよりも、死んだとしても自分の意思で動きたかったんだ。
だから、とっても迷惑かけたことには本当に謝りたいけれど後悔はないんだ。】
戻らないまま自分の猫生を終えたことに対しては全く後悔もなく、やり切ったことだと
彼からはすごくハッキリと伝わって来ていました。
【僕は「恩を仇でかえす」一生そのことを考えて、引きずりながら生きるのは嫌だったから。】
保護され、怪我の治療もしてもらい、終生の家も見つけてもらった
そこに費やされた沢山の人たちの想い、時間・・・
逃げ出したい程の家であっても、その飼い主へ
自分を選んでくれたことの感謝
全て理解していたからこそ、
裏切るような行動をした自分を許せないまま
生きていきたくなかった
そんな深すぎる程の理由は
こうして話さなければ到底理解できなかった
話せて良かった と心から感じました。
そして、探してあげられなかったことを今も後悔している捜索に携わった皆さんへも
【もう、誰も後悔してほしくないんだ。
これは、僕の猫生、最後に選んだ道だったんだってちゃんと伝えたかったから。】
そういう強い意思の元に帰らなかったこと
だから探せなかったことを後悔してほしくない
この真実を皆さんに知って欲しかったんだと
また、
⚪︎⚪︎しなきゃいけない
〜してあげたい
==してあげられなくてごめんね など
これらの思いは 人間の一方的なエゴに基づいた感情 だということ
現実 というのは 動物達の意思も反映されていて 起きている
少し辛辣で切なくはありますが
彼はまた、こうした事実も伝えたかったはずなのです。
今回、彼と話すことになったのは
私によって、これを多くの人に知ってもらうため だったのかもしれません。
動物が、猫なんかが
こんなこと考えるはずない
そんな風に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
でも私は彼の意見を創作できる程の想像力は持ち合わせていません。
我々、生かされている人間が
目の前で起きている全ての出来事から
何を感じ、学び、それを活かしていくか?
それを彼らはしっかりと見ているんです。
目の前にある現実をどう捉え
人間がどう成長していくのか
わたしたちは
常に試されているのかもしれません
あなたは何を感じましたか?