冬至は鬼の節・・・中国の冬至の過ごし方
二十四節気はご存知ですか?今回は、二十四節気のひとつ「冬至」の中国での過ごし方をご紹介します。
国立国会図書館のホームページでは以下のように紹介されています。
二十四節気(にじゅうしせっき)は、今でも立春、春分、夏至など、季節を表す言葉として用いられています。1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもの 国立国会図書館 日本の暦より
立春、夏至などは比較的馴染み深い言葉かもしれません。二十四節気は、太陽の動きに合わせているため、1日程度前後します。
本来の二十四節気は、中国の中原(ちゅうげん)という場所を中心とした地域の気候がその由来です。ですから、例えば夏至は日本ではまだ梅雨が明けていなかったり、立秋に夏の暑さのピークを迎えてたりと、日本で感じる気候と名称が少し合わない部分もあるそうです。
2021年の冬至
冬至とは、北半球で太陽の位置が1年で最も低くなり、日中陽が射す時間が最も短くなる日です。太陽の位置が1年でも高くなる夏至と比べると、その日照時間の差は4〜6時間にもなります。
2021年の日本の冬至は12月22日です。冬至の過ごし方は地域差がありますが、ゆずを浮かべたゆず湯は全国的によく知られているのではないでしょうか。地域によっては、かぼちゃと小豆を煮た「いとこ煮」を食べたり、こんにゃく料理を食べる地域もあるようです。
CHReportメンバーの実体験に基づく
中国での冬至の過ごし方
CHReportの中国人メンバーBさんに、冬至の過ごし方について尋ねると、日本では聞いたことのない文化を教えてくれました。今回は、Bさんが子供の頃に体験した冬至の日をお伝えします。
Bさんの出身地は上海。生まれも育ちも上海です。中国は地域によって文化が異なるので、あくまでも冬至の過ごし方の一例としてご覧ください。
冬至は家族だんらん 外には鬼が・・・
Bさんの家では、冬至は家族が集まる日だったようです。大人数で集まるほどではなかったそうですが、家族が集まって食卓を囲んでいました。
Bさんが子供の頃、冬至の日に食事しているとよく言われたのは、「街には鬼(おばけ)がいる」ということ。あまり外を出歩かず、家でおとなしくしているように言われたそうです。中国では、冬至=鬼の節と呼ぶ地域もあるようです。確かに、冬至は日照時間が短く、暗くなるのが早いため、怖いような雰囲気はあるかもしれません。
また、中国北部では餃子を食べる習慣があったり、台湾や中国南部では「汤圆」(たん えん)と呼ばれる、白玉団子のようなものを食べる地域もあるようです。
お金を燃やして、あの世へ送る
Bさんにとって一番印象深かった冬至の行事は、家の外でお金を燃やすという行事です。といっても、本物のお金ではありません。紙幣に見立てた紙が販売されていて、あらかじめそれを購入し準備しておきます。
中には、燃やすための紙幣や必要な道具が入ったボックスも販売されています。
家族での食事を終えると、家族揃って家の外に出ます。更に歩道に出ると、地面にチョークで○を描きます。その円の中に紙幣に見立てた紙を置き、燃やすのです。翌朝見ると、その燃えカスは何故か黄色く、子供たちはその円を踏んではいけないと教えられていたそうです。
なぜ、お金を燃やすかというと、それは祖先にお金を送るため。あの世と繋がりやすくなった冬至の日の街には、祖先も現世に戻ってきていると言い伝えられています。戻ってきた祖先に、あの世でも使えるお金を贈るというのがこの行事です。ビルが立ち並ぶ都会である上海でも、このような行事が行われていたのは意外です。
紙幣の枚数は、家庭によって様々ですが、沢山用意することであの世でも幸せに暮らして欲しいと願いを込める人もいます。ちなみに、クレジットカードや衣類、故人が好きだったものなどを燃やす地域もあるようです。
危険も伴う
調べてみると、想像以上の紙幣を燃やしている家庭もあり、火事が起こってしまったこともあるようです。
2枚目の様子は、集合住宅に住む人々の様子です。都市部などの密集している地域は、どうしても距離が近くなってしまうため、このような光景になります。一瞬、火事が起きたかと心配してしまう写真ですが、火事は起きていません。
今回はタイムリーに冬至の日の過ごし方をお伝えしました。みなさん、冬至の日はいかが過ごされたでしょうか?
一年間記事を読んでいただき、ありがとうございました。2022年も中国のトレンドや行事についてお伝えしていきます。来年もCHReportをどうぞよろしくお願い申し上げます。