76年 米国ウルバナ世界宣教大会に1万7千人の学生集う
アメリカ・イリノイ州アーバナ(ウルバナ、URBANA)で年末年始、3年ごとに開催される青年層対象の宣教大会。開始は1946年、カナダのトロント。
(一番下にクリスチャン新聞、該当記事スクラップ)
福音派系の人々には有名な大会で、日本でも、青年大会や宣教大会の代名詞のように、「日本のウルバナを目指して」というような使われ方をする。
主催はアメリカとカナダのIVCF(Inter-Varsity Christian Fellowship。「異大学間のクリスチャンの交流」。1945年創設)。日本のKGK(キリスト者学生会。1947年創設)の姉妹団体で、共に超教派(教派の壁を越えて交流する)だが、その規模はクリスチャン人口に比例して相当に違う。
ウルバナ大会の参加者も毎回1万、2万人規模。日本のキリスト教の類似の大会と桁が違う。
1976年のウルバナに、「クリスチャン新聞特派」というかたちで、当時在米中の大学教授の清水氾(ひろむ)氏(奈良女子大学、後に名誉教授、英文学、物故1997)が原稿を寄せている。
清水氏は、「15年前」のウルバナにも参加したことがあり、その時から規模が3倍になったことを述べている。
1961年ウルバナの際、宣教師として神からの「召し」を受け「献身」を受けた学生たちが立ち上がってその意志を表明する姿を見て、「ここにこの国の力があると感じ……自らも学生伝道に心を決めました」と書いている。
(清水氏は、KGKと深いつながりをもって活動した)
ウルバナの影響について清水氏は、『タイム』紙が1ページを費やして同大会のことを取り上げている事実を挙げる。
清水氏は「現在、世界には4万を超える宣教師がいます。その大半が何らかのかたちで学生運動と関係があります。米国から派遣された宣教師はそのうち3万人ですが、その身許を洗えば、皆、大学生伝道の産物なのです。この意味で、ウルバナ大会の歴史と成長は世界宣教の歴史そのものであり、ひな型であると言えます」と指摘している。
また、76年ウルバナでの聖餐式の様子などを通して、信仰の内容的に福音派で保持しているキリスト教信仰を踏まえながら、非常に洗練されたスタイルであることを紹介している。
アメリカは、各地域、地域の教会にあっても若い世代の成長につれ、礼拝のスタイルを含め、教会活動のスタイルを更新していく場合が多く、特に先端を行ったり規模の大きな教会もある。
ウルバナ大会のような大会のスタイルは、そういうものの反映といえよう。(過去のウルバナ大会の記録を見ると当然のことのように、講師の名と共に、企画の専門家である総監督(director)、礼拝企画監督(Worship Director)の名が記されている。日本のKGKの全国集会が、「学生主体」という建て前通り、集会プログラムやシステムも、主事のリードの元、現役学生によって企画されるのとはよほど違う)
アメリカ社会では「建国」以来、村や町といった地域共同体が、教会をセンターとして起こり、発展してきた歴史があるから、世俗的なさまざまなものが教会の影響を受けているといえよう。
世俗の、いろんな大きな大会のスタイルも、キリスト教の集会から影響を受けているのであって、その逆ではない。
あえて敷衍していえば、日本で見られるような新興宗教や異端の大きな集会や、日常の活動、そのスタイルも結局、アメリカの教会のやっているものを真似し、参考にし、独自の内容、かたちに(醜悪なものになっていくわけだが)したものといえよう。
信仰的、教理的にはアメリカのキリスト教のものを継ぐ日本のプロテスタント教会においては、良くも悪くも「大きな集会」のような「イベント」を指向しない気風があり、また少ないクリスチャン人口であるところに小さな教派・教団に細分化され、それを超えて組織的に協力しようという気風が乏しい中では、大規模な大会を開くことは容易ではない(それでも、1967、80年に後楽園球場や東京ドームで「ビリー・グラハム国際大会」、1992年に全日本リバイバル甲子園ミッションが開かれた)。
さて、本題のウルバナ大会だが清水氏は、アメリカにおける1700年代、1800年代の世界宣教への盛り上がり(近江八幡のヴォーリズも、その波を受けて日本に来た)を紹介。
その流れの中、「20世紀初頭は学生(世界宣教)ボランティア運動が盛んで、何百という(宣教)関係団体が生まれ」たが、それから半世紀経つと、若者の意識は薄れ、しかし「1970から71年の変わり目に1万2千人の学生がこの種の宣教大会としては史上最大のウルバナ大会に集まったのです。海外における信仰の奉仕に対する単身はかつてないほどに高まっていると言えるでしょう」と、70年のウルバナ大会に参加したクリスチャン政治家の「印象」を清水氏は紹介している。
ウルバナ(URBANA)2022。こちらの公式サイトで見ることができる。
https://urbana.org/