意外と知らない【処方箋】❶
こんにちは。薬剤師のいしまるです。
本日は意外と知らない人が多い【処方箋】についてのお話になります。医師・薬剤師はもちろん、その他の医療関係者の方もご存知の内容かも知れませんが、非医療者向けに書いていきますので、「そうなんだ!」が少しでも引き出せたらいいなと思います。
こちらが一般的な処方箋の雛形です。
※今回は東京保険医協会の雛形を参考に説明していきます。※※最近ではQRコードが印字されたものもよく見ます。
マジマジと見ることってあまりないですよね。
意外と知られていないのですが、処方箋は公文書です。
基本的には医師から調剤薬局に向け、処方を提示するための文書であり、公文書というからには書式もきちんと決まりがあります。
薬局の薬剤師が処方箋を受け取ったら、まずこの処方箋がちゃんと処方箋の形をしているかを確認しなければなりません。
「処方箋渡したらずっと紙みているけど、あの薬剤師はなにしているの?」と思われていた方、その薬剤師はその紙が本当に処方箋として扱って良いものかを確認していますよ!
では記載項目を見てみましょう。
①患者さんの個人情報(氏名・生年月日・性別)
②患者さんの保険情報(負担割合・本人or家族)
③発行した病院・医師の情報(住所・電話・名前)
④発行日(使用期間)
⑤薬の処方内容
⑥ジェネリックなどへの変更可否
⑦その他、備考
⑧薬局使用欄
(⑨分割調剤欄)→ないことも多い
…意外とたくさんありました💦
(一部ギュッとまとめて、9つになりましたね)
処方箋といえば⑤のイメージが強いです。
しかしそれぞれの項目がないといけない理由もちゃんとあるので、少しずつ紹介していきます!
長くなりそうなので、本日は【① 患者さんの個人情報】についてのみ!もし興味があったら続きの記事も読んでみてください。
処方の薬が書いてあっても、それを使用する患者さんのことがわからなければお薬を渡すことはできません。
お名前はもちろんですが、生年月日(年齢)や性別もお薬の適正判断には欠かせないものなんです。
生年月日が最も使われるのは、意外と処方薬の判断よりも個人を特定する時かも知れません。不特定多数の患者さんがいらっしゃる医療機関では同姓同名の方もチラホラ。そんな中で生年月日まで一緒の方はまずいないので、個人の特定には生年月日が多く使われています。
もちろんお薬の判断にも使われることがあります。
例えば同じお薬でも、年齢によって使用量が異なるお薬では、それを使用する方がお子さんなのか、高齢者なのか、はたまた働き世代の方なのかは薬の量を判断するのに必要な項目です。
次に性別について考えてみましょう。
性別は関係ないんじゃないかと思われるでしょうか。
実はこの項目については以前「不要説」が取り沙汰されたこともありました。ちょうどトランスジェンダーがメディアに多く取り上げられ始めたころのことだったと思います。(その前にもあったと聞いたような…だれか教えて)
たしかに当事者の方々からすれば、わざわざ処方箋に書いて欲しい内容ではありません。でもこれにも意味はあります。
性別の表記は非常に性差の大きい疾患に対する処方の判断に有用です。極端な例をあげれば、女性に前立腺肥大の処方が出た場合は間違いなく問い合わせが必要です。また逆に男性に子宮内膜症の処方が出た場合も同様でしょう。
性別も生年月日(年齢)と同様に処方の適正判断には必要であること、お伝え出来たでしょうか?
最後にこれらの複合技として、腎機能の評価にも性別・年齢が関わってきます。
薬剤師の3種の神器ともいわれる腎機能評価(ノリで言っているのであと2つは知らん)は、以下の公式によって導き出されます。
Wikipediaでごめんなさい💦
実際には患者さんの見た目で体型や筋肉質かどうかなども踏まえ判断するほか、他の判断基準も兼ねて判断しますが、この公式を用いて評価をすることは結構多いです。年齢と性別がどこに掛かってくるのか見つかりましたか?
…というわけで、本日は普段マジマジと見ない処方箋について、記載項目から薬剤師が見ている点を一部紹介させて頂きました!
一からみると意外と時間かかる処方箋😂
ではまた!