BELLRING少女ハート '22という「挑戦」

’22って?

 2022年2月23日、突如としてBELLRING少女ハート:公式Twitterアカウントより、ベルハーのサブスク解禁の一報が伝えられました。

 関連サイトも作る気合の入れようは田中さんにしては珍しく(?)ちゃんとしていたし、フィジカルで持っているとはいえベルハー曲は広く色んな人に聴かれてほしいと思っていたので、この方向性はめちゃんこ素晴らしいなと。10周年めでたいし。と思っていたのも束の間、続く2月25日にはこのツイート。

 「GRAVE ROBBERY」、直訳すると「墓荒らし」になるんですかね。この時点では誰が出るのか、どんなイベントになるのかは事前に発表されていなかったので全く分からず、運営トークイベ?現役Aqbiメンのベルハー曲ライブ?オタクが曲に乗ってワイワイする(メンバー出演なし)イベント?みたいな予想も飛び交ってた記憶があります。何もわからないけどとりあえず申し込みましたが普通に外れました。倍率すごかったんじゃないかなと。
 このタイトルのライブ「GRAVE ROBBERY」をnestでやるのは、明確にベルハー「崩壊」の際の「Shallow Grave」→「HELLO WORLD」の流れを汲んでのものだと推察されます。nestに眠ったベルハーの魂を掘り返す的な。

 そして4月8日。0時になると同時に無事ベルハー楽曲が各種サブスクに解禁されていきました。ぴったりに配信されるなんてあるのかな、、Aqbiだしな、、と正直あんまり期待はしていなかった部分もあったけれど、無事リリース。ちなみに私が最初にサブスクで聴いたベルハー曲は『Starlight Sorrow』です。

 そして同日行われる「GRAVE ROBBERY」はTwitterで状況を見守るという様相。TLから色々読み取って「なるほどね〜〜〜〜」となったのは最初の反応でしたけど、後述する「BABEL’22」を生で観たことでいくぶん整理できたので、以下はこのベルハー’22について感じたことなどをつらつらと書いていきます。


メンバーについて

 上記ツイートの様に、ベルハー'22のメンバーはNILKLYから小河原唯(小笠原唯)、MIGMA SHELTERから橘田あまね(タマネ)、新倉のあ(ブラジル)、美波美優(ミミミユ)の計4名です。なお、5月2日時点で新メンバーの募集がスタート(活動は年内限定)しているので、現時点でのものになりますが、各メンバーごとに印象と個人的に読み取った「ベルハー」的性質なんかを書いていきます。

・小河原唯
 この4人の中だといちばん「ベルハーっぽい」人だと思います個人的には。0201。オタクそれぞれの思う「ベルハーっぽい」があると思うんですけど、私としては「ベルハー」には「底知れなさ」「(いい意味の)子供っぽさが残っている所」「パフォーマンスに没入するところ」「独特の感性」あたりがあると思っていて、そうした時に唯ちゃんのそれは〜2016のベルハーを見てきた人たちだと殊更にそのへんは感じているんじゃないかなと思います。どこが初出か失念してしまったんですが、唯ちゃんがオーディションを受けた時期に関しての話で田中さんは「唯はどの時期にオーディション受けてても採ってた」的な事を言っていた的な情報を耳にしてからも、その納得感は深まるばかり。
 母体というか本来の拠点であるNILKLYはしばらく音沙汰が無いのでひたすら待つばかりではあるものの、唯ちゃんの「ベルハーで得たものを持ち帰りたい」的な発言があったと思うんですが、その心意気ならばきっとベルハー’22もNILKLYも素晴らしいものになると確信しております!!
 唯ちゃんはダンススキルが高いので身体の躍動と振り付けによって表現に説得力を持たせられる人だと感じていますし、元々NILKLYなのでいわゆるベルハー的世界観の楽曲には最初から親和性が高いので、全方位で強くなっていく未来が見えます。純粋に楽しみ。
 唯ちゃんのイメージは『ダーリン』です。

・橘田あまね
 タマネちゃんとは前髪ウィッグで別人格にしている模様。ダンスについてはもう説明不要なほど素晴らしい彼女ですけど、ベルハー’22になった時はその「声」がバチッとハマった感覚があって、’22における「ベルハー性」を担うのは唯ちゃんとあまねちゃんによるところがとても大きいのかなと感じました。4人それぞれ持っているんだけどその成分量が多い感じというか。あの技術にベルハー的表現力を身に着けたらどうなってしまうのか、末恐ろしいほどに楽しみです。この企画(企画と呼んでおく)、めちゃんこメリットあるな…とあまねちゃんのパフォーマンスを見ていて実感しました。
 あまねちゃんのイメージは『プラスチック21g』です。

・新倉のあ
 私は新倉さんの表現者としてのスタンスが結構好きで、それこそBABEL’22後のこちらのブログはとっても納得感というか、この事を考えてのあのアクトだったのかとパズルのピースがハマるあの感覚でした。この人は言葉を持っているなあと。板の上の人というか。

 上記のブログの中でもとくに以下の部分が好きです。

ミシェルは飛ぶ、入れるって感じでベルハーは入る、潜るって感じだな

 2022年4月26日更新 より引用

 楽曲ごとの強固な世界観が先にあって、そこに対して「入る」という表現は結構特徴的だと思っていて、それこそあやのさんが過去にインタビューで回答していたように演者にとっては没入してしまう魔力というか曲世界に入り込んでしまうのは非常にベルハー的特徴なのかなと思います。

 新倉さんの歌唱力、表情、ストイックな面、気迫、それら全てが今年はミシェルだけではなくベルハー’22にも注がれるということで、楽しみでしかないです。
 新倉のあさんのイメージは『憂鬱のグロリア』です。

・美波美優
 ミミミユさんは「ミミミユさんというジャンル」(引用元:小笠原唯さん)というのが答えになっている感じというか、一人でステージを、空間を掌握できるタイプの稀有なパフォーマーだと思います。それでいてグループ内でも様々な働きをするという。ミシェルのフォーメーション説明の表のやつとか解読できないレベルで複雑になっているし、あれを毎回考えてるのとてつもないなと。「底知れなさ」でいうと4人の中でもトップクラスなのでは。今でこそミミミユさんはMIGMA SHELTERのリーダーだしオリメンだしということでミシェルの歴史なわけですけれども、新グループオーディションを経てゼアゼアに入っていたら…?という世界線がいまこのベルハー’22に顕現したという見方もできなくもないのかなとかは思ったりします。
 黒い羽と黒セーラー、悔しいくらいに似合ってるな〜〜〜って思いました。
 美波美優さんのイメージは『low tide』です。

ライブについて

 上記はStoryWriterさんのライブレポート、およびギュウゾウさんによるセトリになります。オフィシャル的なものは上記の2つで賄うとして、以下は箇条書き形式で雑多に感想を書いていきたいと思います。現場での体感とアーカイブでの配信のものが混ざっています。

・新倉さんの眼力よ
・初っ端幕から照らされたシルエット→憂鬱のグロリアの流れはぶち上がる
・洗練されてるんだけどアンバランスなんだよなこの4人の組み合わせは
・カット割りが少々やかましいというか引きもう少し多くても良かった感
・小河原さんの前髪、初期感。
・羽の魔力ってやっぱりあるよね
・アッチェレの新倉さん、「「アイドル」を乗っけている」
・やっぱり最初の方の数曲は緊張が見えるわね
・現場で聴くアッチェレの鳴りは違った
・この歌唱の感じは意図的なのだろうか
・小河原さん、どの期のベルハーにいても違和感がない
・あまねちゃん、羽の使い方をすぐに習得している
・新倉さんが赤なのね〜
・「ステージは迷惑かけてナンボ」の精神、良い。板の上の人だ。
・田中さんの「次は絶対ぶち上がる曲なんでMIXとか禁止で」からのダーリンは土谷さんとのコラボキャスを観た人しかわからんネタだ
・ダーリンの振りコピ、2億年ぶりにやった
・新倉さんの低音が映える曲やな(ダーリン)
・あまねちゃんの身体の制動の見事さがベルハー的なイメージとは一見離れているように見えて実際の所ベルハー的王道からの逸脱的な意味で非常に「ベルハー的」な気がする。自分でも何を言っているかよくわからん
・1stシングルにyOUらりが収録されているアイドルグループ、本当にどうかしている(褒めている)
・練習は振り入れかで小河原さんが号泣した曲ことアイスクリーム
・NILKLYのIcecreamとベルハーのアイスクリームを両方演っているのは小河原さんだけなんだよな
・アイスクリームのアウトロでBlock Systemを構える身体になっていた
・13 WEEKS LATERは本当に名盤
・新倉さんの情感がこもる歌唱部分ぐっと来た(low tide)
・ランランラン…は美波美優さんだよなと解釈の一致
・鉄の街、〜2016で通ってた時期でも数回聴いたかどうかくらいの記憶
・ハグの部分で拍手だったのは何だったのだろうか
・タナトスはそれだけで映画
・rainyは一歩も動けなくなりました、幻追いかけてしまった。
・ROOMはみみみしぇるたーで観てたからまた観れて嬉しかった
・ROOMのみんな絵画みたいになるわね、画になる表情と構図
・asthmaはまだ辛かった。
・金髪ポニテのオタクが目立っててめっちゃいい(久遠さん)
・小河原さんが最初は「うんどう」と読むと思っていたでおなじみUNDO
・UNDOの美波美優さんめちゃくちゃかわいいな……
・Wednesdayの振りコピで隣のオタクと手を合わせて組むやつ今回もできた
・「ラズベリ〜」パートをあまねちゃんの歌割りにした人ありがとう
・田中さん絶対「アンダルシア」ってフレーズすきだろとなる
・人を殴らんばかりのサーカスの腕振りなちい
・サーカス→Edgeの地獄の流れ(最高)、細胞に染み渡っている。
・WIDE MIND、やんちー以来だ。(Timeout cafe & Diner)

ベルハー'22の位置付けや意義

 最初はベルハー’22??同じ名前を冠するの???という反応が私自身の中でもあったものの、そもそもベルハー自体がいくつもの体制の変遷を経て2016年に辿り着いているし、また楽曲から衣装、パフォーマンスに至るまでその性質が移り変わってきたグループだということを再認識すると、改めて見たときにこの10周年特別企画であるベルハー’22は意義のある挑戦なんじゃないかなあと思います。以下に考えられる理由を書きます。

・「みんなのファンをいただきます」
 現状AqbiRecのファン層の最大のパイはMIGMA SHELTERのオタクだと思います。そこに対してはミシェルからの3人が出演していることでベルハーという存在をその層に届けられるという効果がありますし、またベルハーを知っていた層はライブを通じて今のMIGMA SHELTERまたNILKLYに接続できるというか。地下アイドル界に半ば伝説として名が残っている「ベルハー」という資産を有効に活用している企画だなあと思います。ライブとしての強度も高いし色んな人に観てほしいです。

・既存グループへの「ベルハー」表現の還元
 これは上述したように再三書いていることではあるんですけど、ベルハー楽曲はジャンルを設けるなら当初は「サイケデリック・ロック」だったかと思いますが、後期になるにつれその幅は大きく拡がって多種多様なものとなっており、そうした楽曲群の表現をレッスンやライブを通して血肉としていく様はめちゃんこワクワクしません?????なんというかそれぞれのグループに呪術性が宿るというか、そういった想像をするだけでも滾るものがあります。

・ベルハーという伝説の「再現」による楽曲群の再評価
 本来(?)はベルハー楽曲サブスク解禁が本企画の第1報だったというのもありますが、これらが解禁されることは本当に重要だと思っています。楽曲は聴かれてナンボだと思うのでね…!あとサブスクで回すと収益にもなるし(重要)。ベルハーは崩壊から約5年半経ち、当時を知るオタクも割合でいうと明らかに少ない方という感覚がある為、この解禁により広くベルハーが開かれていくことは、ひいてはベルハーを残していくことに繋がっていくのではないかと。

・爆音のベルハーでしか分泌されない脳内物質がある
 ライブハウスの音響で低音の振動やメンバーの歌声、サウンドに心と身体を踊らせるというあの体験はやはり何物にも代えがたいなと思います。別にEdgeとかasthmaみたいな盛り上がり曲ばかりではなく静かな曲、暗い曲、可愛い曲など数々取り揃えているので、その感情にどっぷりと浸れる機会には足を運んでほしいなあというところです。

 上記のような理由から、個人的にはこのベルハー’22に対しては「ベルハー企画」という認識ではあるものの、メンバー当人含めて「ベルハー」というものに真剣に向き合って作っていることがライブを通して改めてわかったので、まぎれもなく「黒い羽」の文脈として認識していますし、今後も熱量高く年内の活動を見守っていきたいと思っています。

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