青
冬の晴れ渡る空を見ると時折、松野莉奈さんのことを思い出す。今日は月命日。あちらでもお元気でしょうか。
わたしと松野莉奈さんの話をしようと思う。私立恵比寿中学のオタクになったきっかけは、2013/06/09のラゾーナ川崎での「禁断のカルマ」フリーライブだった。当時ももクロでアイドルオタクを始めたピカピカの1年生にとって、目に映るもの全てが新鮮で刺激的で、そんな折に出会ったエビ中は、今でこそ実力派のキャリアも長いベテランアイドルの域に達していこそすれ、当時は「学芸会」と自称していたような、スキル的には粗くて、でも弾けるエネルギーとやってやるぜという気概、噛めば噛むほど味のする癖のある楽曲たちを持ったグループで、ハマるのに時間は要らなかった。
とはいえ2014年には地下アイドルを主に通うようになっていったので、実際メインで通ったのは1年ほどだったと思う。時期的にはかほりこ加入あたりで一度途切れている(かほりこですらもう10年選手のレベルなのでひっくり返りそうだ)。だが、精神的な故郷はいまも私立恵比寿中学にある。オタクとして色んなことを学んだ現場だった。「弱いやつが悪い」も真だし、「悪い子としたときはね、ごめんって、謝ろ?」もまた真だ。オタクは推しに似るんだな、とも思った。
松野さんオタクは(わたしの知る範囲内ではあるが)推しメンに真っ直ぐすぎるほど真っ直ぐで、一歩引いた目線を持ちつつ個の突破力が高い、端から見ると独特でちょっと怖い(?)人が多くて、でも話してみると優しくて温かい、そんな人達が多かった記憶がある。未確認中学生ツアーでZepp名古屋の2部がリナデビル回で、そのタイミングで10番を引き最前で見ることができたのだが、あまりにも推しメンがレスを送らないので(いつものことのようだ)、同じく隣にいた松野さん推しの方と思わず目を見合わせたのが記憶に新しい。ただ、レスどうこうより楽しそうな松野さんを近くで見られたこと、それがいちばんの僥倖だった。
縁、みたいな話でいうと、TOKYO MXでかつて放送していた永遠に中学生(仮)2で地元に来てくれたのが非常に大きかった。実家近くの、今はペットショップに変わってしまったお煎餅やさんに真山が来たり、小学校の農業体験でうどを掘った須崎農園に訪れていたり、農協の直売所に訪問していたり。みのーれ立川だよ。あんなところに来てくれたんだというね。近くには満北亭というおそらく北多摩にしか無いチェーンのラーメン屋があります。
永遠に推しメンだよ、みたいな言葉はあるけれど、あまりにも早く世界を渡ってしまわれた。2017年2月8日、この日も穏やかな冬晴れだった。と思う。第一報を通知か何かで観たときに目を疑って、信じたくなくて、校長からのリリースで現実であることを認識してから、その月末に「送る会」(パシフィコ)に行くまでどう過ごしていたか記憶があまり無い。大学を卒業する直前の時期だったと思う。まだ身内ですら、幸運なことに健在なひとが多かったので、感情を強く寄せた人が亡くなるということ、その整理がつくのにはかなりの時間が必要だった。実際このあとエビ中自体からも離れたし、またウォッチしようと思うのにここから5年くらいかかった。
直接言葉をかわしたりした回数は少ないし、あちらはわたしのことを認識もしていないだろうけれど、それでも松野さんを好きでいた時間がいまのわたしを確実に形作っている、という感触があります。オタクたちも散り散りになったけど、たぶん皆元気です。そのカケラを胸に、わたしはまっすぐこれからも行きていきます。またね。