項目応答理論の困難度と識別度って何??
暑い日が続きますが,皆様いかがお過ごしでしょうか?
なかなかアップしない日が続いていましたね.
今日は久々の投稿になります.
知人の院生より項目応答理論って何だ?
論文を見ていると,困難度とか識別度とかって用語がでてくるけど,よくわからん・・・
といったお問い合わせがきましたので,以下単的にお伝えさせていただきます.
作業療法の分野では,ROM,MMT,HDS-R,等 様々な尺度を使用しますよね.
ただこれらの尺度を使用するときに,注意する点があります.
それは,その尺度を使用することで,本当に皆さんが知りたい情報が評価できているのかということです.
例えば,患者さんのうつの程度を評価したいとします.そのときに,ある尺度を使用すると思うのですが(例えば〇〇質問紙法など),その尺度では,うつとは違う側面(楽観性,ポジティブ具合 等)を捉えてしまっている可能性があるのです.
そのため,尺度を使用する前に,尺度が臨床で役立つものかどうか吟味しなければなりません.つまり,信頼性(誰がその尺度を使用しても同じ値になるかどうか?)や妥当性(測りたい概念を適切に測定できているか?)を検証しなければなりません.
そこで,項目応答理論を用いることになります.
ちなみに,項目応答理論と似た方法にラッシュ分析があります.
項目応答理論では,困難度,識別力,(項目応答理論の上位モデルでは当て推量を含む)を数理モデルに組み込むのに対し,ラッシュモデルは識別力を一定とみなし,困難度のみを対象とする点において違いがあります 2).
最後までご覧いただきありがとうございました.
【文献】
1)豊田秀樹:項目応答理論入門編【第2版】.朝倉書店,2012
2) 靜哲人 :基礎から深く理解するラッシュモデリング―項目応答理論とは似て非なる測定のパラダイム.関西大学出版部,2007.