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ちょっと田舎のホントはキケンなおじいちゃん?

私の中のおじいちゃんやおばあちゃんのイメージは、きっと経験値が何周も回っているからか、どこか人として迷いがないというか、ひとりの人として統一感がある、そんな印象を持っています。
例えば、( あの人は穏やかな人だなー)と感じれば、大体その人のすることは穏やかで、逆に( 刺激的な人だ!)と感じた人は、何をするにも目を奪われるような意外性に満ちた人だったりで…。

散歩がてら、ゴミを拾う、杖をついたおじいちゃん

私の日課である、朝の堤防散歩でたまに見かけるおじいちゃんは、時々、手にゴミを持っています。
何の気なしに、それでもよく会う人のことは、このおじいちゃんに限らず( 今日も元気だな! )と確認し、なんとなく数秒目で追ってしまう道中、そのおじいちゃんが道路に落ちているゴミを拾う姿を目撃しました。
( あー、あのおじいちゃんはゴミ拾いしながらお散歩してるんだ。すごい人だなぁ。)と、手に持つゴミが自分のものではないことが分かり、物静かに一人で歩く姿もどこかかっこよく見えるようになりました。そんな、おじいちゃんに対する私の勝手なイメージも何となく定着した頃、見てしまったんです!!

橋の上から、川を見つめるおじいちゃん

いつものように、いやむしろ、いつもより大きめのごみ袋を片手に持ったおじいちゃん、何やら立ち止まり、橋の上から川を見ています。私はちょうどおじいちゃんの反対車線側の歩道を歩いており、いつものように通り過ぎるまでの数秒、何の気なしにおじいちゃんを見ていました。
ゆっくりと動き出しすおじいちゃん…

おじいちゃん、待って!!

とてもゆっくりと、それでも迷いのないクリアな動作で、手に持つゴミを川に捨てたんです。

え? えぇ??

私にとってあまりにもその行動が想定外で、そんな私の気持ちとは裏腹におじいちゃんは迷いがなくとてもクリアな動作で。
(  あ。いつもやってんな。)
そう感じるのに時間は必要ありませんでした。
それから2回、そんな場面に遭遇しました。

ゴミ、拾う → ゴミ、川に流す
あのおじいちゃんにとって、おそらく当たり前の流れのようです。
ただ私には、"ゴミ拾う=良い事 / ゴミ、川に流す=悪い事" の感覚があり、おじいちゃんのする相反する行動につながりが見つけられず…。
(あのおじいちゃんキケンだわー。)の気持ちが忘れられないのです。

そんな一面を垣間見て、おじいちゃんの一連の行動も(あー。今日もやってんなー。)と感じ始めた頃、普段は反対車線側をすれ違うばかりだったおじいちゃんの真横を通り過ぎることとなりました。
来た道を5分くらい戻らなければ横断歩道もない、場所は橋の上、道を逸れることもできない、家に戻る時間は決まっている。
そう、進むしかない。

すれ違う時、おじいちゃんは立ち止まり、私の方を向いていました。
軽く会釈をし、それでも道いっぱいにおじいちゃんとの間合いを取り( 人が一人通れるくらいの間合いです )足早に通り過ぎます。
足を速めたせいなのか、緊張感からなのか、私の心臓は少し早くなります。
( もしかしたら、あの杖、振り下ろしてきたりしない? )
昔、読んでいた漫画、バガボンドで畑仕事をしているおじいちゃんだかおばあちゃんだかの殺気を武蔵が勝手に感じ取り、イメージの中で鍬を振り下ろされるという場面があったのですが、この時の私はまさにそんな心持ち。

もちろん、何もありませんでしたが…。


( このおじいちゃん、ちょっとキケン?)

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