😎🐦本日無料🐥❤️11月新マガジン予告編。 バスから無意識と意識の境界上のやや意識に近いあたりを撮影する。影とその実態。ライカモノクローム+オートトップコール3.5センチ
写真に関する意識と無意識と言うことで11月のノートマガジンをスタートする。
このところ東京を集中的に撮影している。1965年に高梨豊さんが東京人で東京を撮影したときの憧れがそのまま自分の写真の力になっている。当時東松照明さんの仕事に憧れていた高梨さんは、東松さんは長崎と言うテーマがあって素晴らしいけれども、自分は東京を取ることぐらいしかできない、と皮肉っぽく語っていた。なんでそんなことがあるものか。大都市東京の優れたドキュメンタリーは高梨豊でありウィリアムクラインが可能にしたことなのである。写真家の仕事の面白さは彼が最初から予期していなかった現実をさらに超えた現実が彼の構えたカメラに勝手に入ってくることにある。
すなわち視神経の無意識の領域が勝手に写真家の意識の領域に影響してくるわけだ。優れた写真家はその越境入学を面白がって大歓迎するのである。それに対してつまらない写真家と言うのは、自分の意図通りに取れましたと言って満足している連中である。
バスから撮影するというのは非常に魅力的な意識と無意識との間をやり取りするテクニックであってロバートフランクが1950年代の終わりにこの撮影技法を完成したと私は考えている。それでフリードランダーもその真似をして、彼の場合はバスからではないが走行する車の中から結構いい作品を作っている。
言うまでもないことだがロバートフランクはウォーカーエバンスを尊敬していた。グッゲンハイムフェローシップをフランクがゲットしたときその推薦者はウォーカーエバンスであったと言う。
フリードランダーはロバートフランクの仕事を尊敬していた。ニューヨーク近代美術館で私が1年間かけて写真をいろいろ見ていた時に、初期のフリードランダーの作品と言うのはそのラフなトーンがロバートフランクの作品にそっくりなのである。
後年フリードランターと寿司屋で飲んだ時に、初期のあなたの作品だけどトーンがフランクみたいだねと言ったら彼は全く臆することなく、だって好きだったんだからと言った。こういうフランク熱はいいよな。
それで私もバスに乗って東京を行ったり来たりしている。荒川土手と言うところから1時間に3本ずつ駒込を経由して東京駅北口に行くサービスがある。この時はライカモノクロームにトップコール3.5センチのレンズをExaktaアダプターを使って撮影した。日本で1番最初にできた一眼レフ用のレトロフォーカス広角レンズがこれなのである。なかなか良い描写をする。
終点の東京駅に着く前の最後のバスの走行しているときに左側になんとなく人物とその影がよぎったような気がしたので瞬間的に私はライカモノクロームのスイッチを入れて無意識のうちにNoファインダーでそれを撮影していた。
そしたらこういう映像が撮れていた。
無意識の領域の写真は取れないが、意識と無意識の境界線のちょっと内側の写真ならわれわれは撮影することができる。ベストな作例と言うわけではないがこのショットはそれにかなり近いと考えている。
光とその階調ではなくて
陰とその実態と言うわけだ。
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