行ったNo.12-1【深圳/上海】お茶界のスタバ tea’stoneとは?
達成日:2023年11月23日(木)
場所∶深圳市南山区桂湾四路169号万象前海1层L158号
おすすめ度∶★★★★★
日本が”食後はお茶よりコーヒー”の国になって久しいですが、中国でも同じ現象が進行しており、お茶は飲んでもタピオカミルクティーの様な所謂”新式茶”と呼ばれるもの、お茶を淹れて飲む文化は古い世代のものとして扱われつつあります。スタバやコスタコーヒーの様な大手のみならず、猿田彦珈琲的なスペシャルティ・コーヒーを出す店、更に最近日本でも繁殖している街角コーヒースタンド的な小さな店がコロナを契機にか、中国国内各地に非常に増えました。しかし、そこは誰の血の中にもお茶の遺伝子が流れていると言われる中国人、お茶勢力も巻き返しを図ろうと若い世代に受け入れられるお茶ビジネスに乗り出しています。その1つが小红书でお茶界のスターバックスと呼ばれている深セン発のtea'stoneというお茶カフェ。キーワードは"映え"。早速どんな素敵な店なのか体験してきました。
こちらは深センの第5号店である万象前海店。
ショッピングモールの一階にあり、外観は独特の目を引くデザインです。中は開放的な造りで、一般的なコーヒー主体のカフェの様ですが、カウンターに近づくと茶壶(中国語の”急須”)が並んでいます。
黒い方の茶壶はお湯を沸かすものの様でスタッフの方が杓でお湯を汲み出していました。
カウンターと茶壶の間にはなみなみの黒いボードで仕切られています。
背後にお茶ロッカー的なものが見えます。
茶葉も緑茶、青茶、白茶、黄茶、紅茶、黒茶と中国茶のすべてを網羅しており、洒落たデイスプレイがされています。
と、壁に「一人一席」の文字が。はっ?「飲茶新方式」??
この様な店の作りにすっかり慣れきっている日本人の私には気が付かなかったのですが、なるほど、元々お茶は人が集って飲むもの、この様な1人でゆっくりお茶を楽しむ事自体が中国お茶業界としては新方式だったのですね。コーヒーではなくお茶で1人で寛げる「空間」を提供しているところがお茶界のスタバと言われる由縁なのか。
私は事前に小红书で探してあった「花王牡丹」という花茶を注文しました。
しばらくして運ばれてきたのがこちら。
映え最高!
さすが清華大学美術学院視覚コミュニケーションデザイン学科出身者が設立したカフェ!
ガラスの杓ですくって杯に入れて飲みます。
味は…やはり"茶"ではないので今ひとつですが、これを体験できて大満足です。
南端の深センを起源とするTea'stoneは北上し、中国最大の都市、上海にも支店ができています。2024年5月2日に上海に行った際に訪問してみました。こちらは上海随一のオシャレエリア、新天地店です。夕方に訪れましたが、そんな時間でも人は沢山いました。さすがお茶界のスタバと言われるだけあり、若い世代の人たちがそれぞれ思い思いの時間を過ごしていました。
深センで注文しなかったこんな容器のお茶を友人はセレクト。映えますね。
私も負けじと何か映えるものを注文したいとQRコードでスキャンして開けたスマホ上のメニューを物色していると…ああっ発見!!これは…
こちら、テイクアウト用の容器に入った緑茶です。
熱々のお茶が独特の形状のガラス瓶に入って渡されました。
微信で検索してみると、瓶の名称は「山河瓶」。茶産地の美しい山河を表現したものだそう。これは…これは日本人には無い発想…日本人なら便利さと衛生を中心に考えてこんな形状にはしそうにない。デザイナーの熱い想いを感じます…
はっ!なるほど、あのカウンターと茶壶を仕切っている黒い山なみ的なボードも、茶産地の風景をイメージしていたのですね。私は山河瓶を大事に日本に持ち帰りました。よくよく調べると専用のストラップもあったみたい。次回行ったら是非手に入れたいです。
Tea'stoneは2024年6月現在中国全土で15店舗、今のところ国外支店はありません。中国にはこの店の他にも、おしゃれなお茶カフェがいくつも出来ていました。お茶の遺伝子はこの先、世界を目指すのでしょうか。私は水中にゆったりと広がる花王牡丹の姿に、「飲茶新方式」が世界にじんわりと広がっていく姿を想像していました。
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