大切な人に贈りたいおすすめの絵本〜chot Inc.デザイナーが選んだ絵本たち
chot Inc.デザイナーユニットです。
弊社企画の「ちょっと株式会社 Advent Calendar 2023」のエントリーとして、メンバー全員で記事を書いてみました。
クリスマスっぽく「大切な人に贈りたい絵本」をテーマに1冊だけ選びました。
子供から大人まで純粋な気持ちで楽しめる絵本。その中にはアート面やビジュアルデザインが秀逸なものがたくさんあります。
選び始めるとアレもコレもと色々出てきて1冊だけってのが悩みどころでした。そんな苦悩の末、私たちが選んだ1冊を紹介していきます。
ストーリー的なネタバレは極力避けていますのでご安心を。
『スノーマン』
おすすめ担当デザイナー:モ
引き算の妙。
スノーマンを読むたびにこんなことを考えます。あえて描かないことで浮かび上がる表現というものがあるのだとすれば、これは最たる例なのではと。
この本には文字がありません。モノローグ/せりふ/オノマトペ、そういうものは一切省かれて、とつとつと漫画のように細かく分割された画面構成で物語が進みます。
物語のあらすじは上記の通り。
だけれどそれを正確に表す文字がないから、少年やゆきだるまがどんな気持ちなのか、なぜこうしようと思ったのか、その答えは読者に委ねられています。そのような余白を作ることによって、読者は物語にさらに没入することができるのです。
より強調させたい/注目させたい要素を際立たせるために何かを引く、それが結果としてより作品を強くするんだっピねえ…(真面目トーンを維持できなくなってきました)。
みなさんも大切な人とこの作品を読んで、語り合ってみるのも素敵なのではないでしょうか。もっとも、この作品に言葉はいらないかもしれませんが!
『バムとケロのおかいもの』
おすすめ担当デザイナー:おおい
この絵本を知ったきっかけは友人の勧めで、子供に毎晩読んでいるという絵本でした。
その後、実家に絵本を置いてきてしまったので改めて買い直したりしているくらいお気に入りの絵本です。
しっかり者のバムと、天真爛漫なケロちゃんが月に1度のお買い物に行くといった内容です。クリスマスマーケットのような楽しい雰囲気の市場にはへんてこなお店や雑貨や食べ物がいっぱい。アクリル絵の具で緻密に書き込まれた絵はさながら図鑑のようで、何度見ても綺麗で惹き込まれます。
私は島田ゆか先生のサックスブルーの使い方が大好きで、画面の中でひときわ輝いているように見えます。これだけたくさんの情報量がある絵本の中に、開放感を感じられるサックスブルーが見事に調和していて、ヌケ感がとにかくおしゃれなんです。
絵本の中でキャラクターたちが縦横無尽に駆け回っている描写やくすっと笑える文章も大好きで、自分で読み聞かせしていて笑っています。中でも一輪車で颯爽とマーケットに登場し、甘栗を頭に乗せてスマートに立ち去る、今川焼きがチャームポイントのいまちゃんが好きです。
私の家もバムケロの家にしたいので、もっとグッズ出してください!!
『このあと どうしちゃおう』
おすすめ担当デザイナー:久保田
子供たちも大好きなヨシタケシンスケ作品、その中から1冊選ぶとしたら『このあと どうしちゃおう』かなぁ・・・(まだ悩んでる)
優しい感じですがテーマは重め。
そんな重いテーマを独特なコミカルなタッチで描いてくるギャップ。明るく笑えるストーリーになっているけど、一番大事な部分は茶化していない。
子供にとっては楽しいワクワク物語ですが、大人にはじんわりと深い感動を与えてくれる物語です。
特にオススメしたいポイントは、お爺ちゃんにスポットライトが当たる見開きページ。
デザイン的にはよくある手法かもしれませんが、それを絵本の見開きでやってしまう大胆さ!
自分ならどうしちゃおうって脳内デザインしてみたんですが、これ以上の手法は考えられず・・・ぐぬぬ
やっぱヨシタケ先生はすごい!!
あと中表紙のさりげないイラストが最高なんですよ!
子供から大人まで、すべての人にオススメできる1冊です!
ぜひ!!
『I SPY ミッケ!』
おすすめ担当デザイナー:さや
私が紹介するのは、大好きな絵本シリーズ「I SPY ミッケ!」です。
小学生の頃、両親におねだりして買ってもらっていた唯一の絵本でした。
「I SPY ミッケ!」は、さまざまなモノで溢れた写真の中から隠れたアイテムを探し出す「かくれんぼ絵本」です。
アメリカで1992年に発行された絵本で、独特の雰囲気と世界観が味わえるのが魅力の1つです。海外のおもちゃや模型、アンティーク小物など、身近では見られないようなアイテムで溢れており、観ているだけで楽しめます。
色鮮やかな配色や、奥行きが感じられる画面構成など、全ページに「飽きさせない工夫」が散りばめられており、ドキドキワクワクが止まりません!デザイナー視点で改めて見直したら、まだまだ新たな発見・仕掛けが見つかりそうです。
シリーズには「I SPY ミッケ!」と、難易度がやさしめの「チャレンジ ミッケ!」の2種類あり、小さいお子様から大人まで幅広く楽しめます。
紹介画像には、クリスマスをテーマにした第3巻をピックアップしておりますが、各巻ごとに雰囲気が全然違うので、お気に入りの「ミッケ!」をぜひ見つけてみてください。
私も久々に「ミッケ!」したくなっちゃいました。
今年の年末、実家に帰省したら本棚から引っ張り出して遊ぼうと思います🌈
『ちいさな うさこちゃん』
おすすめ担当デザイナー:emi
たくさんの人が知っているであろうミッフィーの絵本です。
クリスマスがあまり関係ない感じになってしまいましたが、自分ではなかなか買わないと思うので大人がプレゼントされたら嬉しいのでは。ということでこの絵本を紹介します。
ミッフィー(うさこちゃん)の絵本といえば幼児向けのイメージが大きいと思いますが、大人でも十分に楽しめます。年代によって顔も違うので好みのミッフィーを見つけるのもいいですね。私はここで紹介しているこのミッフィーがいちばんのお気に入りです。
ミッフィーの絵本で使われている色、6色はブルーナ・カラーと呼ばれています。この6色にはそれぞれ意味が込められています。絵がシンプルで、一見表情のないようにもみえるミッフィーやそのほかのキャラクター達ですが、この色のおかげで感情が伝わってきますよね。
Webサイトのデザインも色によって与える印象が変わるので、色にはやはり感情を伝える力もあるんだと実感できる絵本です。
ブルーナ・カラーについて絵本の一部とともに紹介されている記事です。
『よしおくんがぎゅうにゅうをこぼしてしまったおはなし』
おすすめ担当デザイナー:ヨシヲ
私の大好きな100%ORANGEの絵本を紹介します。
この絵本は2007年、第13回日本絵本大賞を受賞している絵本です。イラストレーター、絵本作家、漫画家として活動している100%ORANGEのイラストを1度はどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか?
この絵本の魅力は少しシュールな世界観で描かれるストーリーと、手描きタッチのイラストがよくマッチしていて、子どもも大人も楽しめる絵本です。
デザイナー目線から注目してほしいところは、イラストの絶妙なカラーバランス。可愛い配色は参考になります。
またイラストの細部に感じる遊び心にも注目してほしいです。個人的には船の名前と船乗りのズボン(お尻)が好きです。シュールな世界観の中にもクスっと笑えるバランスは、デザインにも応用したいです。本を開いてすぐにストーリーが始まる構成も珍しいですね。
食べこぼし世代のお子さんや、この世界観を理解できる小学生のお子さんにも響く絵本だと思います。
クリスマスプレゼントとしていかがでしょうか?
『おやすみなさいおつきさま』
おすすめ担当デザイナー:悠
寝る時は電気、つけたまま寝ていますか?
真っ暗で寝る派ですか?
子どもの頃は、退屈だったり、怖かったりで、寝る時に部屋を暗くするのがいやでいやでしょーがなかったです(今は真っ暗にしても寝れますよ)。
『おやすみなさいおつきさま』には、物語がありません。
ベッドに入った子ウサギが、部屋にちらばる手袋や椅子に「おやすみなさい」とぶつぶつつぶやき続けるだけの絵本。1つの部屋の中を繰り返し描きながら、眠りにつくまでの時間の経過そのものを描きます。
初めて世に出たのは1948年。ファンタジーや歴史物など、夢の世界を描くことが一般的だった当時には、あまりに現実的で、直接的すぎる表現だとして、驚かれたそうです。
でも、子どもからしたら、寝ないと夢を見れないですからね。永遠不変のテーマです。
そんな『おやすみなさいおつきさま』の制作秘話を読むことができるのが、『「おやすみなさいおつきさま」ができるまで』。原作者のマーガレット・ワイズ・ブラウンさんと、イラストレーションを担当したクレメント・ハードさんを中心に、絵本を作る人びとの共同作業の様子がつづられています。
絵本を作っていくと、小さな修正(壁にかけられた絵画に描かれた牝牛の乳首)、大きな修正(主人公の変更!?)、などなど、いろいろな「仕様変更」が飛び込んできます。まいったまいった。なんだかやばいプロジェクトの予感。盛り上がります。
最終的には名作絵本『おやすみなさいおつきさま』がユーザー目線(=寝るのを怖がる子どもたち?)について思考し抜かれたプロダクトであることを再確認。
ウェブ制作、ものづくりにかかわるすべての人が感動しちゃうこと間違いなしの1冊です。
最後に。
それぞれ1冊づつオススメしてみました。
贈る相手に気を遣わせない気軽な感じで。それでいて心に残るオシャレな贈り物として。
もしプレゼントに悩まれているのであれば参考にしてみてください。
ここで紹介しきれていない素晴らしい絵本もたくさんあります。それはまた機会があれば。
それでは。