ゆるトレーニングにおける「気持ちよさ」と調整の話
ゆる体操をやっている人にはおなじみの、「気持ちよく、気持ちよく」という言葉。
特に、手のひらで手腕や身体をさする、「さすり」の動作では必ず言いますよね。
この「気持ちよく」という要素は、ゆるトレーニングをする上で、実にありがたく、重要なものです。この言葉のおかげで、楽しく、気持ちよく、快適に、どんどんとゆるんでいくことができるわけです。
その気持ちよさに乗ってゆるんでいける人がいる一方で、いまいちピンとこない、という人もいます。
そもそもトレーニング愛好者、特につらいトレーニングで自分を追い込むのが好きな人は「きつい、厳しい運動こそが優れたトレーニング!」という思いが強く、「気持ちよく」体操をするという方向になかなかいきません。
武術・武道、格闘技関係はそういう人が多くいるジャンルかと思われますが、私も漏れなく、そういうタイプの人間でした。
高岡先生について習い始めたときに、講座で先生が、いいトレーニングは本当に気持ちがいいんだ、快適なんだ、というような話をしていたんですが、当時は全くピンときませんでした。
「気持ちよく」ということの重要性について気づいたのは、トレーニングに対してのモチベーションが下がってやる気のなかった時期のこと。
そのころは現在の「ゆる体操」が発表されておらず、基本的なトレーニングは立ってやるものがほとんどでした。「ゆる」といえば今で言う「基礎ゆる」で、もちろん立って行うものでした。
当時は疲労感が強いときが多く、とにかく寝ていたいような状態で。当然、わざわざ立ってトレーニングをやる気力も体力もない。しかたないので寝たまま呼吸法やったりしましたが、それも続かない。
そんな感じで、トレーニング的には完全に停滞期でした。
そのころよく話をしていた仲間の一人が面白いことを言っていて、
「そもそも達人になれる人っていうのは、トレーニングが気持ちいいからどんどんやってしまうんですよ。僕らはそうじゃないからトレーニング自体がきつい。これじゃあ続きませんよね」
と。
なるほど確かにそれはそうだ、と思いましたが、それに対する解決策を思いつくわけでもなく、やる気の出ない期間をだらだらと無為に過ごしていました。
そんな状態のまま数年が過ぎたころ、高岡先生により現在の「ゆる体操」が発表されました。
ゆる体操が発表された当初、昔から高岡先生にトレーニングを習っていた人たちの中には「ゆる体操は初心者、一般人向けで、自分たちが本気で取り組むべきものではない」と思っていた人が少なからずいました。
私もその一人でしたが、そこからさらに数年たった後、あるときの武術協会の打ち上げの席で、なんの話の流れかは忘れましたが、高岡先生が突然、
「おまえら、ゆる体操をなめてるだろ? 」
と言われました。
私はその言葉に静かな衝撃を受け、
「高岡先生がそこまで言うからには、ゆる体操には自分が考えていた以上の効果があるに違いない」
と思い、ゆる体操に熱心に取り組むようになりました。
特に「寝ゆる」の黄金3点セットを中心とした、低コストの体操をやりこみました。
本気で取り組んでいくうちに気づいたことは、自分には、ゆるむのに必要な楽しさ、気持ちよさ、快適さというものが、全く不足していた、ということです。
「気持ちよく、気持ちよく」とさすったり、モゾモゾしたりしながら、
「ああ、今まではつらい、きついことがいいトレーニングだと思っていたんだなあ」
と実感したのです。
この気付きは大きな一歩となり、停滞していたトレーニングが進むきっかけとなりました。
それほど、「気持ちよく」というのは大きな要素だったのです。
話を元に戻しましょう。
調整を受けに来る方の中には、「そもそもゆる体操やってもあんまり気持ちよさがあんまり感じられないんだけど」という人がいます。
身体に対する主観的な感じかた、というものは人によって全然違います。ある程度ゆるんでいる人でも「あまり気持ちよく感じない」という場合もあるし、その逆も当然あります。
この場合いろんな対策が考えられますが、一番簡単なのは、達人調整を受けて「他者の運動によって気持ちよさを感じる、味わう」という体験・学習をすることです。
自分で自分をさするよりも、人にさすってもらったほうが、より気持ちよさを感じるものです。
それがトレーニングを受けた調整師ならなおさら。
調整を受けることによって、能動的な努力をすることなく、楽に気持ちよさを味わうことができます。
そういった体験を手がかりにして、ゆる体操における「気持ちよさ」を学習できれば、さらにゆるんでいくきっかけとなります。
また別のパターンとして、ちょっと前までは気持ちよさを感じていたのに、最近はそうでもない、ということがあります。
その原因のひとつに、脳疲労の問題があります。
この場合はゆる体操決定版に載っている「ブレインゆる」を駆使して脳疲労を取る、しばらくトレーニングを減らしたり休んだりして自然回復を待つという手段が考えられます。
しかし、この場合でも一番簡単なのは、腕のいい調整師に脳疲労を取ってもらうことです。
達人調整の中でも脳の調整は難易度が高く、様々な手技を使い、脳のいろいろな部位に働きかけ、ゆるめ、疲労をとり、使えるようにしていくものです。
(脳疲労と脳の調整については、書くことがたくさんありすぎますので、また別の機会にでも。)
調整によって脳疲労をとることにより、頭が軽く、スッキリとした感じが得られるだけではなく、身体に対する認識力、感覚も上がりますので、より「気持ちよさ」を感じられるようになるわけです。
今回は「気持ちよさ」書いてきましたが、書いているうちに、今の自分にもまだまだ「気持ちよさが足りない!」と気付きましたので、今からゆる体操をしたいと思います。
調整に興味を持った方はこちらへどうぞ。
身体調整室 https://www.chosei-shitsu.com/
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