【コラム】「DAIKU」通俗的名曲?ベートーヴェン「交響曲第9番」
・「出会い」
私が初めてこの作品を歌ったのは中学一年生の時でした。音楽的に物心がつく前の出会い。この作品が何なのか、当初何語かもわからない中、先輩に発音を教わりながら歌いました。当時、母親が録画してくれた故若杉弘先生指揮(後年、指揮があの故若杉弘先生だったことを知りました)、N響&国立音楽大学合唱団のビデオテープを何度も何度も、繰り返し観たのでした。
・「DAIKU」通俗的名曲?
日本で年末に「DAIKU」が頻繁に演奏されるようになったきっかけが、プロ楽団の「餅代稼ぎ」だった、という話はあまりにも有名ですが、G大生にとっては「DAIKU」は歌う時間は15分程度の「時給の良いアルバイト」かもしれません。第3楽章入りだったら嬉しい?1楽章入りの場合は「眠気との闘い」?第1楽章入り「椅子なし」はかなりキツい?
…そこに藝術はあるでしょうか?
・「風呂出で詩へ寝る月照る粉犬」?
G大のドイツ人客員教授がG大生が歌うドイツ語を聴いて「日本語はドイツ語に似ていますね」と言ったとか。G大生はドイツ語で歌っていたのですが、客員教授にはドイツ語に聞こえなかったのです。(アマチュア合唱団ではなく、G大生の合唱を聴いての出来事です。)
…そこに藝術はあるでしょうか?
・「これ何て読むの?フレウデ?」
「冷たき手」(プッチーニ「ラ・ボエーム」のテノールのアリア)のハイCも楽々出せるようなG大大学院のテノールが、G大生の後輩に「これ何て読むの?フレウデ?」と聞きました。後輩は「…先輩、、フロイデです。。」と答えました。
…そこに藝術はあるでしょうか?
・「おお友よ、この調べではなく!」
すみだの第9の稽古で、栗山文昭先生が「オケ物として勉強するのではなく、通常の合唱の演奏会のレパートリー(しかもア・カペラ作品)のように勉強しなさい。」と仰り、雷に打たれたような衝撃を受けたことを20年以上経った今でも覚えています。『おお友よ、「DAIKU」ではなく、「ベートーヴェンの交響曲第9番」を歌おうではないか!』と、栗山文昭先生は仰ったのだと思います。
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