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「ホールで飛ぶ声」と「そば鳴り声」その2

前回の記事(https://t.co/zQdwsbNWgP)

では、声がよく届いてくる団体と、あまり声が届いてこない団体のあいだには音響学的な違いがあり、その答えのひとつが「歌手のフォルマント」であることを取り上げました。

【合唱と歌手のフォルマント】
たとえば合唱コンクール全国大会でも、30名ほどの合唱団のほうが100名超えの合唱団よりもホールを鳴らしているというようなことが起こります。

【歌手のフォルマントは、「鼻腔共鳴」ではない】
よくありがちな間違いとして「歌手のフォルマントとは、鼻腔共鳴のことだ」と誤解されることがあります。
これは、鼻声的な音質の時に生じる周波数帯が歌手のフォルマントの周波数帯に近いため、誤解しやすいことに起因します。
そして、この声はいわゆる典型的な「飛ばない声」です。この場合、ボイトレをすればするほど「飛ばなくなる」という悪循環に陥ります。

【弱声と、歌手のフォルマント】
テノール歌手(現在は指揮者)のジュゼッペ・サッバッティーニのピアニシモはサントリーホールの一番奥の席でも、あたかも目の前で歌っているかのようにハッキリと聴こえたそうです。

【フォルマントを調節する】
ハイレベルな合唱やヴォーカル・アンサンブルでは、あえて歌手のフォルマントを減らすことで合唱団のサウンドを作る手法を実践している場合があります。

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