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【合唱の回復のために】合唱やろうぜキャンペーンへのご提案

合唱団Hakugaの代表の田口です。

僕の友達の陳くんがXでこんなポストをしていたので一回適当に書いてみようかなと思って書きます。殴り書きなので文章が終わってるのはご愛嬌。

もしよければ感想をポストしていただけると嬉しいです。

この合唱やろうぜ取り組み自体は、課題共有や合唱界の団結という面で大変有意義なものだと思いますので、やめろとか全く思ってなく、むしろ心から応援しています。

一方で、Hakugaも「合唱の魅力をたくさんの人に届ける」という理念で活動をスタートし、志同じくして、合唱やろうぜキャンペーンを拝見しておりましたが、合唱人口を増やせる活動はできているのかなと陳くんと同じ気持ちであったのは事実です。

合唱やろうぜキャンペーンの理念や定款のようなものは発見できなかったので、Xのプロフィールから拝見すると、「社会と合唱をつなぐこと」を目的とするという記載がありました。

社会・合唱、それぞれの定義がなんなのかによってまた別の議論となりますが、一般的に考えれば、合唱というのが全日本合唱連盟周りの合唱界、社会というのはそれ以外なのかなと感じました。

であれば、さまざまな活動をされている中で、社会と合唱をつなぐことを目的にしていて、その目的に沿った活動がなんなのか、その目的に沿っているのか、せっかくなので、Hakugaと僕が考えていることを紹介させていただくために批判させていただこうと思ってしまったのです。大変申し訳ございません。

ここで自己紹介ですが、私は本職が株式会社Zインディペンデンスというマーケティング企画・制作会社の経営者で、飲食店の売上を4倍にしたり、赤字続きのイベントを黒字化させたり、企業のSNSを当てたり、さまざまな事業のプロモーションや販促を行なってきました。合唱での企画も1時間企画が80万回を突破し、や宮城県ワカメ合唱団同盟を作りイオンモールでの合唱イベント、TikTokで合唱動画が100万回再生を超える企画など色々やってきました。

その知見をもとに、合唱と社会をつなげるためにはどうしていけばいいのか、どんなアプローチが必要なのか、この「合唱のアウトリーチ活動」にご興味のある皆様もいくらかいらっしゃると思うので、そんな皆様が喜んでくれる内容になっています。

合唱やろうぜキャンペーンの謎

「合唱やろうぜキャンペーン」は、合唱仲間を増やすキャンペーンという定義で、合唱をやっている人がやっていない人を誘うとようなことがHPに記載がありました。つまり、合唱を合唱をやっていない人にやらせるというキャンペーンと推察しました。

実際に目に見える活動は、
・チラシを渡す
・合唱祭やコンクールの日程を記載されたビラを作成し配布する
・映像を作る
・Xで合唱界向けにオープンの合唱活動を紹介する
などでしょうか。

これらは全て、誰向けにやってるのかを落ち着いて考えると、合唱界の人に合唱やろうぜをお任せする、盛り上げる役割であって、直接的に合唱やろうぜのアプローチではない気がします。

もっと具体的に言えば、これらの施策が合唱界の外にいる社会に対して行われたものではなく、合唱界の中に向けて行われている施策であることに気づきます。

直接的なターゲットが社会ではなく、社会に何かやるということではなく、この合唱やろうぜは合唱やろうぜの流れをなんとか作って、誰か合唱やろうぜをやってくれ!という感じなのだと思います。

つまり、合唱やろうぜキャンペーンの真のターゲットは、合唱界にいる人であって、合唱界の外の社会ではないように思えます。

では他の合唱やろうぜ企画みたいなものを調べると、ほとんど全てが(表向きは違いますが本質的に)合唱界向けのもので、それはただ単にオープン参加であることが合唱やろうぜの文脈になっている気がします。

ですから、合唱やろうぜの直接的で効果的な施策は誰も思いついていないのかなと。ただ、この活動を行おうとする多くの合唱人の中に「合唱人口の減少」という課題があって、「じゃあ合唱人を増やす活動をすればいいんだ!」という論理なのかなと拝見しました。

合唱人口に影響を与える要素

この合唱やろうぜと私たちの理念である「合唱の魅力をたくさんの人に届ける」というのは若干違いますが、根本は僕らHakugaの理念も同じです。

合唱人の減少に対する課題に関してはそこまで強く持っているわけではないのですが、合唱人口が増えたらいいなという気持ちはあります。つまり課題間や目的はほぼ同じなのです。

では、そのニュアンスの違いがなぜ生まれるのかをご紹介しながら、ここから僕らがどう考えて施策を行っているのかをお話ししようと思います。

まず、私たちの理念は「合唱の魅力をたくさんの人に届ける」ということであって、「合唱やろうぜ」とはニュアンスが違います。

それはなぜかというと、合唱人口を増やすスローガンの合唱やろうぜの一方で、Hakugaは直接的な動きはできないけど、そこに大きな影響を与える一つの変数に対してアプローチしているという違いからなのです。

合唱をやってもらうかどうかはまた別の誰かに任せようといえばわかりやすいのかもしれません。詳しく話します。

合唱をやるまでというのはまず「合唱の魅力に気づく」というところからだと思います。合唱の魅力に気づいた人が、偶然誰かに誘われたり、自分から始めたいと思って合唱団にアプローチしたり、こうして合唱人が誕生します。

この合唱の魅力に気づいた人に対して誘うのはとても難しいです。なぜなら誰がそうなのか気づかないからです。逆に、合唱の魅力を知らない人に合唱やろうぜ!と言ってもなかなか難しいのはご理解いただけると思います。

ですから、まずは、合唱の魅力を知る人を増やすことが大切なのです。

新規合唱人の方程式のイメージです。

新規合唱人 = 合唱界以外人口 × 合唱に興味を持つ割合 × 認知率 × 参加のしやすさ

合唱界以外人口は定数なので、合唱に興味を持つ割合と合唱団などの情報の認知、そしてそれらの合唱団や企画に参加しやすいかどうかが重要な変数であり、これらが影響を与えるものと挙げられると思います。

その中でも合唱に興味を持つ割合というのが最大のポテンシャルを持っていて、認知率と参加のしやすさがはこのポテンシャルを制限するものでしかありません。

ですから僕らは「合唱の魅力をたくさんの人に届ける」というのを理念にしており、私たちの活動理念は、「合唱に興味を持つ割合」変数を増やす活動なのです。

ちなみに認知率や、参加のしやすさも重要な要素です。この数字を増やすには、興味を持ったときにどういう合唱があるのかすぐわかるような情報があるか、そして練習時間や選曲、団の雰囲気など参加のハードルが低いかなどの要素があります。

ちなみに、Hakugaはアウトリーチする分、普通ではない活動をすることになり、合唱界から嫌われないように(認められるように)一定のクオリティを保つ必要があったため、初心者はHakugaに入れられない矛盾がありました。

そのため、合唱人口を増やすは無責任だと思ったため、合唱の魅力を届けるということにしたんです。

もう一個ちなみに、僕が元々いたFlareという団体が仙台にはあります。Flareは合唱人口を増やす活動を最前線で行なっている合唱団だと思っています。Flareは練習のたびにSNSで集合写真をあげ、初心者には優しく入団募集を積極的に行い、選曲もわかりやすく、常にオープンで雰囲気を公開し続けています。

このような合唱団があるということも(合唱団へ参加のしやすさ)という変数に影響し、新規合唱人を増やすのです。

では、合唱やろうぜの活動は、どこの変数に影響を与える活動なのか、それがわからなかった。HOW(手段=合唱)が目的化していて、ターゲットである合唱界以外の社会の解像度が全くもって低い気がしていました。

業界でいう、消費者理解が甘い状態です。

話を戻します。

僕らの理念は「合唱の魅力をたくさんの人に届ける」というもので、それは、最も影響を与えられる変数「合唱に興味を持つ割合」に対してアプローチしうる施策です。

合唱界以外の社会が持つ合唱のポテンシャル

では消費者理解についてどうすればいいのかについて軽くお話しします。

僕は総合格闘技が好きで、その中でもグラップリング(立技ではなく寝ている状態での攻防)が大好きです。その魅力を知人に伝えるというのはもはや諦めています。

ですが、格闘技はブレイキングダウンというエンタメコンテンツが爆発的な人気を博し、日本での格闘技ブームも起こる結果となり、そこからグラップリングに興味を持つ人も増えたと思います。

もし、グラップリングを広めたいとなれば、直接グラップリングの話をすることなく、グラップリングに関係があって、多くの人が楽しいと思えるコンテンツを作る必要があります。

その点、合唱にはとてつもないポテンシャルがあると思っています。

それは、合唱というのは多くの人が校内合唱コンクールを通っていて、自分の思い出をオーバーラップできる、当時の青春のノスタルジーが味わえるコンテンツを味わえます。

その数が義務教育のほとんどで通っているため、母数が非常に多い。

合唱界にいる皆さんも合唱を続けている理由がそうであると僕は思っています。僕は高校までサッカー部で、大学は東北大混声でコンクールにでる団体ではありませんでした。だからコンクールと縁はなかった人生なのですが、周りの合唱仲間はコンクール好きな人が多く、社会人になってもコンクールに没頭する人が多い。

合唱の魅力・中毒性はそこにもあると思っていて、中学や高校、大学で本気頑張ったノスタルジーを大人になっても味わうことができる。

これは、体力が衰えるとできなくなるスポーツや、機材の維持などで参加ハードルが高いオケや他の文化とは一線を画します。

これが消費者理解なのです。これらの人たちにぶっ刺さるコンテンツを作ることが、潜在的な合唱人を呼び覚まします。

提言

合唱やろうぜが進むべき道は、合唱界以外の人々をよく理解して、そこに対して合唱の魅力を届けることだと思います。

さまざまなエンタメの競合の中で、合唱というコンテンツに対する興味や好感度を上げる施策こそが、合唱やろうぜの全ての基礎になると考えています。

ここが合唱やろうぜとHakugaの大きな違いです。

だから、連盟様が主導する合唱人口を増やすアプローチは、合唱の魅力をたくさんの人に届けるという活動に変えた方がいいと思うのです。

マーケ用語で言うと、合唱のプレファレンスを向上させる。

それも一人の人の満足度をあげよう(狭く深く)ではなく、多くの人のプレファレンスを獲得する(浅く広く)方法を考える必要があります。

Hakugaは合唱の魅力を届けるため、今合唱界にいない人たちが合唱という言葉の持つイメージに対して忠実なコンテンツを作ろうと考えました。

この合唱界の外にいる人の持つ合唱のイメージはおそらく合唱界の人たちの定義(イメージ)とは異なると思っています。でもそれでいいのです。僕らは外の人たちの合唱に合わせた合唱を作り、ただどちらも合唱という言葉で同じですから、合唱という言葉で架け橋になると考えました。それが合唱への興味を持つ変数を増やす活動です。

では、もう少し具体的にお話しします。
合唱は与件なので、合唱を核の商品として考えた上で、切り口を合唱界の外の人に最適にしてあげればきっと魅力は届くと考えました。

まずあのYouTubeで80万回を超えている1時間企画は、1時間ぶっ通し・作業用BGM・校内合唱コンクールというアプローチで作っています。この需要はYouTuberのメロガッパさんが似たようなことを実践していたので確実に当たると思っていました。

TikTokで100万回を超えるたカレー屋の企画も、必ず当たる選曲をピックアップしています。そして合唱曲がメインではなく、カレー屋でフラッシュモブ的な文脈で披露されている全体のパッケージを演出しています。

ポイントは、よくYouTubeで合唱団が公開しているような曲目で魅力を届けるのではなく、そのイベントや音楽に文脈を持たせ、パッケージ全体で合唱を自然に触れてもらえる機会を作っているのです。

イオンでの合唱も大人数がいる場所で偶然若者の合唱が聞こえてくるということに重きを置いています。

今後は、企業のプロモーションとして合唱が使えると企業側に思ってもらえるような施策を行って、合唱を押しまくることなく自然に合唱に触れる接点を多く作り、先ほどの変数を増やしていくアプローチを行なっていきます。

こういうことなんだと僕は思います。

大切なのは、合唱やろうと誘うことではなく、その前の合唱の魅力を広めることだと。

でもみんながみんなそんな暇なわけではないし、合唱というのは魅力を広めるために行うものではなく、シンプルに美しいものを美しいと楽しみ、たくさんの人と楽しむことが目的であっていいわけです。

だからこれが正しいという話ではなく、もし合唱やろうぜ活動をするならこういうアプローチの方がいいんじゃないかなということくらいです。

1000文字で終わる予定が不可能だったので、急いで終わります。

もしよければ、Hakugaメンションかこちら引用リツイートして感想をポストしていただけると嬉しいです。ご批判でも何でも。

最後に参考文献。ぜひ読んでみてください。

上記は、Amazonのアソシエイトとして、田口陽大は適格販売により収入を得ています。

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