薬剤師国家試験109-12解答解説
109-12
真核細胞の核内の DNA とは別に、
独立した DNA を遺伝情報として有する細胞
小器官はどれか。1つ選べ。
1 ペルオキシソーム
2 ミトコンドリア
3 リソソーム
4 ゴルジ体
5 小胞体
1 ペルオキシソーム
主に脂質の代謝や過酸化水素の
分解を行いますが、
独自のDNAは持っていません。
2 ミトコンドリア
真核細胞には核の中に主要なDNAが
含まれていますが、ミトコンドリアという
細胞小器官も自身のDNAを持っており、
これをミトコンドリアDNA(mtDNA)
と呼びます。ミトコンドリアのDNAは
主にエネルギー産生に関連する
遺伝情報を含んでおり、細胞の
エネルギー工場としての役割を助けます。
3 リソソーム
細胞の消化器官とも呼ばれ、古い細胞成分や
異物を分解する役割を持ちますが、
DNAは含まれていません。
また、リソソームは酸性です。
リソソーム内のpHは約4.5から5.0の範囲に
保たれており、この酸性環境は
リソソーム内の酵素が最適に
機能するために重要です。
これらの酵素は、細胞が取り込んだ
物質や古くなった細胞成分を
分解する役割を担っています。
4 ゴルジ体
細胞の輸送と分泌を担う小器官で、
タンパク質や脂質の修飾をしますが、
DNAを持ちません。
またゴルジ体から作られる小胞は、
細胞膜の成分として組み込まれる
タンパク質や脂質を運びます。
これにより、細胞膜成分は維持され、
必要に応じて修復や再構築が行われます。
5 小胞体
小胞体は粗面小胞体と滑面小胞体に
分類されますが、その両者ともに
独自のDNAはありません。
粗面小胞体はその表面がリボソームで
覆われているのが特徴です。
リボソームで覆われブツブツした
外観から粗面小胞体と呼ばれます。
粗面小胞体に付着しているリボソームでは、
分泌タンパク質や細胞膜タンパク質、
細胞小器官のタンパク質が合成されます。
合成されたタンパク質は、粗面小胞体内で
折り畳まれ、必要な場合は化学的修飾も
受けます。
滑面小胞体はリボソームが
付着していないため、表面が滑らかです。
この滑らかな外観が名称の
由来となっています。
滑面小胞体では細胞膜成分である脂質や
ステロイドホルモンの合成が行われています。
また、細胞内カルシウムイオン濃度の
調節にも関与していて、特に筋細胞での
働きが顕著です。
更に、代謝酵素も含んでいる為、
解毒にも関与しています。特に肝細胞の
滑面小胞体は、代謝酵素が豊富です。
長くなりましたが正解は
2番のミトコンドリアです。
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