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薬剤師国家試験109-29解答解説


109-29

アバタセプトの関節リウマチ治療効果発現の
標的分子として正しいのは、
3. CD₈₀/CD₈₆です。

解説:

アバタセプトは、T細胞の活性化を
抑制します。**CD₈₀/CD₈₆**に結合し、
T細胞の共刺激シグナルを抑制します。

これにより、T細胞の過剰な活性化が
抑制され、関節リウマチの炎症反応が
抑制されます。

  • CD₈₀/CD₈₆は、抗原提示細胞(APC)上に存在する分子で、T細胞上のCD28と相互作用してT細胞を活性化します。アバタセプトはこの相互作用を競合的に阻害することで、T細胞の活性化を抑制します。

他の選択肢と作用機序

  • 1.CD₂₈
    → CD28は、T細胞表面に存在する共刺激受容体で、CD₈₀/CD₈₆との相互作用によりT細胞を活性化します。しかし、アバタセプトはCD28に結合するのではなく、CD₈₀/CD₈₆に結合してこの相互作用を阻害します。

  • 2.細胞傷害性 T リンパ球抗原︲₄(CTLA-4)
    → CTLA-4は、T細胞表面に存在する抑制性の受容体で、CD28の競合相手としてCD₈₀/CD₈₆に結合し、T細胞の活性化を抑制します。アバタセプトの作用機序は、CTLA-4の働きを模倣するものですが、直接的な標的分子はCD₈₀/CD₈₆です。⚠️CTLA-4を標的にする薬剤としては、がん治療に使用されるイピリムマブがあります。

  • 4.IL-6受容体
    → IL-6受容体は、炎症性サイトカインIL-6の作用を媒介する受容体です。IL-6のシグナルを遮断する薬としては、トシリズマブがあります。トシリズマブはIL-6受容体に結合し、その作用を阻害することで関節リウマチの炎症を抑制します。

  • 5.TNF-α
    → TNF-αは、炎症性サイトカインで、関節リウマチにおいて重要な役割を果たします。TNF-αを標的にした治療薬には、インフリキシマブエタネルセプトがあります。これらはTNF-αに結合してその作用を中和し、関節リウマチの症状を改善します。

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