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あなたの知らない「下呂」(その2)

飛騨路は本日休業

メインストリートは「湯の街通り」

温泉寺を下り、次に向かうは「(下呂発)温泉博物館」。こちらは、その名の通り、全国でも珍しいテーマ博物館なのですが、なんと年末で休業。しかも31日まで連続で休業とは…、かき入れ時とか関係なくお休みなのでした。ここには、以前一度入りましたが、下呂だけでなく、全国の温泉の紹介や源泉サンプル・析出物などが陳列されていました。温泉マニアにとっては、必ず行きたいところです。残念!

本日休業 温泉博物館

この博物館のすぐ隣には、加恵瑠(かえる)神社。んんっ?カエルにまつわる何かがあるのかと思いきや、下呂のゲロゲロからの蛙なのでした。石灯篭も蛙…、お賽銭投げると蛙の声。個人的には、神社の脇にある「伊能忠敬の宿泊跡地」の方に目がいきます。

伊能忠敬も下呂に投宿

休業でややショックを受け、ここで、向かいに並んでいたちょっとした屋台で、飛騨牛ラーメン、けいちゃん(鶏ちゃん:飛騨のソウルフード)唐揚げを頂きます。脂身の多い飛騨牛にレモンが似合い、けいちゃんの唐揚げも、香ばしく、量もたっぷりで、満足。気を取り直して、湯の街通りを歩き始めます。

湯の街通り(旧飛騨街道)
やけに、かえるづいてます(^^;
かえると♨ こちらはかわいい

こちらは飛騨街道、高山、富山に至る旧街道ということで、下呂は「湯之島宿」と呼ばれていたようです。高山まで行くと、海のものは明らかに富山からのやり取りが多かったと思いますが、下呂だと太平洋側、日本海側どちらの物流が多かったのか…。

湯の街通りは「旧飛騨街道」の一部

下呂の大昔は…?「縄文公園へ」

さて、「あなたの知らない下呂」と打ったからには、普通の人はちょっと行かない場所へということで、「下呂ふるさと歴史記念館」へ。ここには、下呂の縄文文化の展示品もあるということで、楽しみにしながら、向かうものの、なんとこちらも「本日休業」orz…。幸い、縄文時代の復元住居と、縄文公園は歩けるので、こちらを散策。
この場所で発掘されたものは、縄文前期、約5800年前の遺跡と、弥生時代、約1800年前の遺跡だそうで、竪穴式住居が復元されています。

どちらも縄文前期の復元、弥生時代もほとんど変わらず

さらに、竪穴式住居跡が、そのまま保存されており、コンクリートで見事に保護されていました。中はこんな感じ。

竪穴住居跡
ここでどのように暮らしていたのか…

中央には、火を起こした後も確認され、出土品の中には、当時の食べ物と思われる「パン状炭化物」も発見されたそうで、木の実などを粉にして、食していたのでしょうか、それにしても、この住居跡は想像以上に狭いのでした。ここで家族3,4名だとしても食べるので精一杯の空間、寝る場所がない。一人で住んでいたのか…。1万年以上前の縄文人がいなければ、我々もいないわけで、何かがつながっているんですよね。

さて、ここにはもう一つ本物の「下呂石」のモニュメントがありました。湯の峰火山からできた石で、縄文人も矢じりなどを作った原石で、黒曜石までは行かないですが、割れた部分は鋭利なガラス質の断面になり昔から重宝されたものと思われます。

縄文公園 下呂石

下呂石は見たかったので、「本日休業」にもめげず、気持ちよく山を下ることができました。

        縄文橋          縄文橋から下呂市街の眺め

投宿は、つるつるの湯「みのり荘」

さて、下呂温泉の中心部からは少し離れますが、投宿はみのり荘。源泉かけ流し100%、つるつるの湯のうたい文句でPRされていて、選びました。価格も年末年始の割にはリーズナブル、湯治客も歓迎ということで2泊以上、1週間の長期滞在のプランもあり、建物はコンクリートが基調ですが、コンセプトは名泉下呂にふさわしいんじゃないでしょうか。

つるつるの湯 「みのり荘」

下呂温泉は、源泉乱掘の時期があったようで、今は、川の左岸、右岸で源泉を一括管理、どの旅館にも均等にお湯が行き渡っています。

下呂温泉の管理タンク

奥深い単純泉の妙

さて、下呂温泉の泉質は「アルカリ性単純泉」。下呂に来る前は、つるつるの湯と言っても、たかが知れているだろうと思っていましたが、こちら、入ってみたら、とんでもない。つるつるもつるつる、しかも、何日経ってもつるつる笑。ぬるぬるじゃなくて、つるつる!
「単純泉の深み」を教えてもらったのは、まさにこの下呂でした。単純泉、確かに際立った溶存物質はないのですが、単純泉と言って個性はあり、違いが分かるようになると同じ温泉地でも泉質の違いを感じることができます。
しかも、単純泉は湯あたりもせず、長期の滞在の湯治場に適しており、各地の名湯も単純泉が多い。飯坂、箱根、湯河原、修善寺、道後、宇奈月…、挙げればきりがありません。まさに単純ではない「単純泉」なのです。
ちなみに、かつて初下呂のあと、調子に乗って、肌つるつるになるアルカリ性の入浴剤なるものを買って入ったものの、その日は良いが、次の日はざらざらというお粗末な結果。やはり1000年謳われるの温泉には敵いません。日本の温泉は全国、北から南までポッポ、ポッポと涌き出でて、勤勉だが疲れやすい日本人に与えらた天の恩寵じゃないか!と思えるほど、痛く感動したのでした。
ということで、下呂温泉と単純泉の力説して、ひと風呂浴びてから、食事の前に、飛騨川右岸の銭湯に行きます。

夕暮れの下呂温泉 飛騨川河原

こちら、銭湯ですが、当然同じ下呂の源泉からで、ジャグジー、水風呂、露天風呂もありで、日帰りする方にもおすすめです。

幸乃湯

銭湯をあがれば、日は暮れて、山腹の「みのり荘」まで、湯冷めしないように、早足で戻ります。

みのり荘 全景

飛騨牛の夕食と絶賛の中浴場

夕食は、年末年始ということで、わずか!?ながら奮発して、囲炉裏のコース。炉端焼きの鮎も丸ごと行けて、締めには大きな鍋が乗って、夕食は食べられないくらいのおもてなしです。

飛騨牛メインの夕食

さて、みのり荘のお風呂は、大浴場と中浴場があり、大浴場はさすがに、放流一部循環式、日帰りの方も入れます。中浴場の方は、完全かけ流しで宿泊した人しか入れず、こちら、熱い源泉がそのまま流れ込み、下呂温泉は無色、無臭透明と思ってましたが、こちらはやや濁りがあります。

みのり荘 中浴場

PHは9.5、メタケイ酸63.9mg/kgとそこまでの含有量ではないですが、成分だけでは測ることが出来ないのが温泉なんですよね、やはり素晴らしいお湯です。下呂でもかけ流しのお湯はそんなに多くないようです。

下呂温泉分析表(幸田ポンプ所)

さらに、飛騨川の左岸、右岸でも泉質は若干違うと聞いたので、明日検証してみます。大浴場と部屋からの眺めは、山腹の宿の特権です。高山本線の夜汽車の音を聞きながら、夜が更けていくのでした。(2日目につづく)

夜汽車の音を聞きつつ、下呂の夜景

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