認知症になってから見える景色
劇団 水色革命の「一歩一歩」を見てきました。
介護サービスステーションが舞台になるストーリーですが、認知症のシニアが演じられていたので、そこから感じることを書きたいと思います。
「家族に迷惑をかけたくない」
劇中で認知症になったシニアから出てくるセリフです。徘徊などの後に自分の行動に気付き、「大好きな家族に迷惑をかけたくない」という切実な気持ち。このセリフを聞くたびに心が痛くなりました。
自分だったら耐えられるだろうか。自分が生きていることが、人の重みになる毎日に耐えられるだろうか。表面的なことを言えば、「困ったときにこそ助け合うのが社会」だろうけど、自分が「助けられる側」…しかも、自分が大切だと思っている家族の負担になっている事に耐えられるのか、全く自信がありません。
毎日確かなものが減っていく世界
自分が認知症になる姿を想像してみました。
劇中でも認知症を自覚し始めたシニアが、「確認、確認。大丈夫。大丈夫」と常に自分に言い聞かせていました。
昨日までできたことが、出来なくなってく毎日。昨日まで頭に入っていた予定がわからない、昨日まで出来ていた食事の準備ができない、目の前の話している人の名前が出てこない…。
その世界はどんな景色なんだろうか?
多分、ものすごい恐怖だろうと思います。
確かなものが日々減っていき、最後には何も残らないと言う不安。
その中で穏やかに自分を持って暮らし行くにはどうしたら良いか、考えさせられました。
「また挨拶をして好きって言えばイイ」
コレ👆は夫のことを忘れるのが怖いという奥様に対する旦那様の答えです。
今回のストーリーの中で一番好きなセリフになりました。
自分の認知症をどう受け止めるのか?
自分の生きる価値をどう考えるかは、自分が生きていることで喜んでくれる人がいるかどうかだと思います。一人でも良いから、自分が生きていることを喜んでくれる世界。そんな自分になれるのでしょうか?
ひとつ言えるのは、自分の大切な人との時間をどのように過ごすのか…今から意識する必要があると言うことです。人生は想像しているよりも、はるかに短い。だからこそ、今日(このブログを書いた今日)の大切な時間を誰と過ごすかを、しっかりと自分で選択したいと思います。
素晴らしい公演でした。一人で見に行ったのがもったいなかった。