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週日記 2024.01.28 - 02.03

01/28 Sun.

お昼からエステの予約を入れていた唯が「楓芽と蒼空は見ておくから勉強してきたら?」と言ってくれたので会社まで行く。図書館とか、コワーキングスペースとか、カフェとか、そりゃあオシャレな環境で勉強や仕事と向き合うことだってやってみたかった。けれどもそこに行くまでの時間やお金を考えたら、家から5分の会社で勉強した方が時短にもなるし、いつもの環境だから集中できる。それに近ごろの僕は「目に見える努力」よりも「こっそり努力」してる感じがイケてると思っている。お昼すぎに勉強を終えて、唯をエステに送り届けてから野母崎へ車を走らせる。きまま焙煎所さんで出店していた〈ココデ書店〉の2人(ウニスカ河原さん、ライデン前田さん)に会うためだ。河原さんから「今年のウニマキは出さないんですか?」と聞かれて「メンバーが忙しくて…」と自分に言い聞かせるように断りを入れたけれど、その言葉で火がついてしまった。〈Decchi〉での参加は難しいことが分かっていたから「〈てんびん座〉で出すのはどうかなあ」ともりきょんに相談して、相談しながら勝手に申し込んだ。僕たち2人のてんびんは大きく片寄っているけれど、互いの主観を繋ぎ合わせることでうまく釣り合っている。だからきっと大丈夫だ。

01/29 Mon.

現地工事のために朝から佐世保まで走る。エンジニアなので基本的に作業に手出しはしないけれど、誰かが働いているそばで何もしないことが気持ちわるくて資機材の搬入だけお手伝いした。1泊するために佐世保駅近くのホテルにチェックインして、5つ上の先輩とちょっぴりまちあるき。会社での僕は事務所にいて工場の人とあまり話はしないし、煙草も吸わないから雑談なんてもっとしない。だからこの時間はとても貴重だ。釣具屋さんまで買い物のお供をして、帰りにラーメンをおごってもらって、その間に先輩の生い立ちとか、会社のこととか、いろんな話を聞いた。今晩泊まるホテルに幽霊が出る話だけは聞かない方がよかったけど。けれども僕には霊感がこれっぽっちもなくて、足りないものばかりを探してしまう毎日に「なくてもいいもの」を見つけられてなんだかうれしい。気づけば朝までぐっすり眠っていた。

01/30 Tue.

工事をしている施設の都合で、午前中の作業がほとんどストップ。事前に伝えられてはいたけど今日中に終わらせたいところがあったので、午後からは急ピッチで作業を進めることにした。おかげで僕が手を動かせる機会も増えて、簡単だけれど塗装もした。作業を終えて長崎へ帰ると、家族みんなでケンタッキーを頬張っている。「今日、ケンタッキーにしない?」と言って笑う楓芽と、僕の顔を見て笑う蒼空を見ていると疲れなんか忘れてしまった……と言いたいところなのだけど、確実に疲れている。出張で溜まった洗濯物を洗いながら消防設備士の勉強をして、明日までの物書きの仕事を終わらせて、気づけば時計の針は1時を指していた。どうしてこうも上手に暮らせないんだろうと思うし、上手くいかないことの理由はだいたい自分にあると思っているけれど、思い切って何かのせいにしてしまう方が楽なときもあるかもしれない。でもそう思うことが情けなく感じて、眠っては忘れてを繰り返す。僕にとって生きることは暮らすことじゃなくて、抗うことだ。

01/31 Wed.

出張続きで溜まっていた仕事をこなしていたら、あっという間に定時を迎えてしまう。そのまま会社に残って2時間近く勉強をしてから家に帰ると、ちょうど晩ごはんの時間だった。それからまた勉強しようと考えるほど楓芽のマイペースが目についてキツく叱ってしまう。こういう日に限ってごみ捨てをしなくちゃいけないし、明日までに楓芽の洗濯物を乾かさないといけないし、期限の短い仕事が舞い込んでくる。気づけば1月も終わってしまって、家族の予算も整理しないまま2月を迎えてしまう。楓芽の風邪が蒼空に移らないように、今夜は楓芽と僕の2人だけリビングで寝る。楓芽の寝息がいつもより近くにあって、充電ケーブルはいつもより遠い。

02/01 Thu.

昨日と同じくらい忙しくて、あっという間に定時を迎える。タイムカードを切って帰ろうとすると、先輩がデスクに置かれていたお土産を指さして「カステラ食べた?」と声をかけてくれた。気づいていながら食べていなかったのだけど、それが嬉しくて1切れだけつまんだ。佐世保出張を終えてから、行く前よりも先輩たちと話しやすくなった気がする。家で子どもたちをお風呂に入れて、それから自動車保険の契約をお願いしていた州聖を迎えて一緒に晩ごはんを食べた。有里ちゃん(州聖のパートナー)は来られなかったけど、かまってほしい楓芽の話を聞いてくれたり、唯が用意してくれたごはんをたくさん食べたり、これが家族ぐるみの付き合いなのかもなあとほのぼのした。なかなか寝付かない楓芽を寝せて、それから3日後に控えた消防設備士の勉強に耽る。はじめは「試しに受けてみるかあ」くらいのノリだったけど、気づけば合格したい気持ちでいっぱい。たぶん僕が本当にほしいのは資格じゃなくて、子育てや本屋さんの合間にだって勉強ができることの証明。そしてその原動力は「受験料もったいない!」に他ならない。

02/02 Fri.

昨日の仕事終わり、バイクのミラーに養生テープがつけられていて、テープににっこり笑顔が描かれていた。たぶん課長のいたずらで、いたずらに剥がしてしまうのが少し勿体なくてボディに貼り直した。すると今日の仕事終わりにはスピードメーターの上に養生テープが貼り付けられていて、時速200kmを指したメーターの落書きと「とばしすぎぞ!」という注意書きが付け足されていた。週明けあたりに我慢できずに話しかけてくる気がするから、それまでにおもしろい返しを考えよう。重みのない宿題にちょっぴり心が踊る。晩ごはんやお風呂を済ませてからは明日の移動書店の準備。今日までまったく準備ができなかったので、今晩の消防設備士の勉強は捨てることにした。僕が仕事でばたばたしている間も快さんがいろんなところにチラシを貼ってくれたり、絵本を増やしてくれたりていて、本当に頭が上がらない。明日の出店は、快さんや支援センターのスタッフさん、来館される人たち、そして子ども店長にとって素敵なものになりますように。

02/03 Sat.

早起きできたのでのんびり身支度を整えて、子育て支援センターふるさとへ向かう。快さんたちと合流してからは一転、ばたばたと準備をして『家族をはぐくむブックフェア』を開いた。たくさんの方に来ていただいたおかげで正午を過ぎるまでがあっという間にすぎてしまって、お昼休みになる頃には楓芽が快さんにすっかり懐いていた。大成功に終わったブックフェアの振り返りは別のところでするけれど、新しい出会いや発見の連続だった。しっぽ文庫を見つけてくれて、今日が終わるまでたくさんのサポートをしてくれた快さんと、僕のやりたいことに寛容でいてくれる家族には本当に「ありがとう」が足りない。僕が抱く感謝の一つひとつはサッカーの1点ほど大それたものじゃないけれど、大切な暮らしの隙間に小さく散りばめられている。数百字で綴るハイライトでは語りきれない「ありがとう」は、直接伝えるために取っておくべきものなんだと思う。

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