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週日記 2023.11.19 - 25

11/19 Sun.

唯がお世話になっている方のご実家にお邪魔してお芋掘り。僕は蒼空を抱えながらカメラを構える役で、この日を待ち侘びていた唯と楓芽はすっかり夢中になっていた。唯曰く「無心になれるから楽しい」そうで、童心に帰って夢中になれるという意味では図工カフェと似ているかもなあと思う。大きなビニール袋いっぱいの芋をトランクに載せると、ずしんと車が沈んだ。え、2人だけでこの量を掘ったの…? それから恭一とほなみちゃん(義弟夫婦)の家に届けて、お昼を挟んで僕と唯の実家に届けた。こんな日は市民農園を借りて野菜を育ててみようかなあと思い立つのだけど、空模様やイノシシに気を遣いながら毎日お世話できる気がしない。

11/20 Mon.

明後日に控えた結婚記念日のお祝いでヒルトンのディナーへ。本当は当日行きたかったけれど水曜日はやっていないらしく、2日早めのお祝いになった。僕たちの間には喧嘩もほとんどなくて、ぶつかったところで5分以内に終わる。喧嘩の理由は「その言い方が気に食わない」みたいな小さなことばかりで、怒りを伝えてしまったら喧嘩するのが馬鹿馬鹿しく思えてしまうからだ。そんな瑣末(さまつ)なことに体力を使う暇があったら、楓芽とたたかいごっこをしていた方がいいし、蒼空を抱っこしていた方がいい。子どもたちが眠った後、スイカゲームをしている唯とTOKYO MERをイッキ見している僕。金銭感覚、趣味、子育ての考え方。結婚生活において譲り合いや優しさが必要だとは思うけど、「喧嘩なんて時間の無駄」だと面倒くさがることが意外と大事だったりするのかもしれない。

11/21 Tue.

仕事をしているとiPhoneが揺れる。以前僕が書いた文章をやぎちゃんがシェアしてくれていた。「原点回帰」と振り返ってくれた彼女の言葉が僕の中にじわりと染み渡る。インタビュー記事は当時のリアルを言葉にできるけれど、人の価値観や考え方は、時間の経過や経験によって分岐するし、前進するし、時には後退する。インタビュイー(取材を受ける人)や読者、そして文章を書く僕たちにとって、暮らしや営みに迷ったときに立ち止まることのできる「しおり」であってほしい。そう願っているからこそ、とても嬉しかった。一度消費されて終わってしまう、そんな一過性のものではなくて、いつまでも宝物にしたくなるような文章を書けるようなライターでありたい。僕はやっぱり、本屋さんや本づくりと同じくらい、ライターの自分を手放したくないんだ。

11/22 Wed.

昼休みにBULL FLOWER(近所の花屋さん)で結婚記念日の花束をお願いして会社へ戻る。午後からの仕事は3.5時間なのであっという間に過ぎてしまって、夕方に花束を受け取りに行った。「いつも話していたけど、名前を聞いたのは初めてだったねえ」と言われて急に距離が近づく。昨日まで常連さんだった僕たちは、たった今から「長野さん」。名前の力って偉大だなあ。家に帰ると唯はパティスリーサンミシェル(BULL FLOWER隣のケーキ屋さん)でケーキを買ってくれていて「もしかしたら花を買ってきてくれるかもなあと思ってた」と言われた。毎年欠かさず渡していたから、5年目にもなると言わずとも分かるらしい。僕がリクエストしたフルーツケーキのフルーツは楓芽がぜんぶ食べてしまって、近ごろ調子のわるいiPhone XRだって購入からもうすぐ5年を迎えようとしている。ちょっと歩けば花屋さんやケーキ屋さんがあるこのまちは、僕を少しだけ大人にしてくれる。

11/23 Thu.

早い時間に買い物を済ませて、家族4人でおさんぽ。BULL FLOWERの前を通ると楓芽が立ち止まって手を振りはじめたので、お店の人が外までおしゃべりに来てくれた。みんながお昼寝をしている間にmakijakuさんからの郵便物に目を通しながら、お願いされている文章のイメージを膨らませてみた。夕方は実家へお届けものをしたのだけど、先週まで入院していた祖母の体調が芳しくない。明日の検査次第でまた入院になるそうだけど、母曰く「葬式のお金を準備しないと」と言いはじめたそうで、祖母の口からそんな言葉が出るとは思わなくて驚いた。誰にだってその瞬間はいずれ訪れるけれども、いざ口にされると意味はまるでちがう。楓芽と蒼空への「またおいでね」が、いつもより少し寂しそうに見えた。

11/24 Fri.

昼休みに母から「血液検査の結果良くなってたから入院はなしです」とLINEが届く。「近いうちにご飯食べに行くよ」とだけ返して、蒼空と遊んでから会社に戻ろうとすると、部屋から出ようとする僕を呼んで泣いた。唯だけに見せていた後追いを僕にもしてくれるようになったらしい。もう一度だけ抱っこして、後ろ髪を引かれる思いで会社へ戻った。夕方から唯・楓芽・蒼空は恭一とほなみちゃんの家に泊まりに行って、年に数回あるかないかの一人の夜。本屋さん行っちゃおうかなあと思ったけど、寒空の下で原チャリに耐えられる体力は残っていなかった。昨日届いた腹筋ローラーを転がしてみると割れるように痛い。でも割れないからすごい、人間のからだは楽して丈夫になれないようにできている。

11/25 Sat.

土曜出勤だと言うのに仕事が落ち着いてしまって、そういえば常務が会社のホームページを新しくしたいと言ってたなあと思い出す。事務所も3人しかいなくて、のんびりXDでワイヤーフレームを作ってみると楽しい。このまま進めちゃうとまたコーディングの楽しさにのめり込んでしまう気がする。おかげで午後はあっという間に過ぎて、仕事帰りにそのまま実家で原チャリと車を洗った。唯たちも合流してお寿司を食べて、帰り際に「また来るねえ」と言うとおじい(祖父)から「またこんばさあ」と言う。親子4代の団らんがいつまで続くか分からないけれど、いつまでも続かないことは分かっているから大事にしたい。せっかく近くに住んでいるのだから。

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