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週日記 2024.06.02 - 08

06/02 Sun.

朝からコミュ協設立前のワークショップに、お昼からはNEKOkkeの取材で尾曲がり猫神社さんへ行った。保護猫、地域猫の課題はとてもデリケートなので準備にかなり時間をかけたけれど、取材に協力してくださった琴岡さんがしきりに「正解はひとつじゃないんですが…」と話されているのを聞いて身が締まる。言っちゃえばどんな社会課題もそういう曖昧さを抱えていて、僕はそういう場面に直面したとき「いやいや、絶対そうでしょ」と言い切れない。心の中で思ったとしても。これは譲歩かもしれないし、臆病ゆえかもしれない。でもきっと、みんなその曖昧さに「ああでもない、こうでもない」と藻掻きながら前を向くのだろう。あまり熱を表に出さない寺田さんが、猫のことになるといつもより楽しそうに見えた。NEKOkkeは僕にわくわくをくれる。

06/03 Mon.

迷惑メールばかりが届くしっぽ文庫のアドレスに「取材依頼」と書かれたメールが届く。僕が会社員として働きながら営んでいることも、3年前に企画した伝習所塾のことも知ってくださっていて嬉しい。「こちらこそお願いします」とお返しして、楓芽に「またしっぽ文庫の話を聞いてもらえることになったよ」と伝えると「楓芽も一緒に行きたい」と言う。たぶん、夕方のお出かけというイレギュラーに食いついた。夜は体操教室で覚えたての倒立にチャレンジしていて、それを見た蒼空が真似をしている。試しに足を持ち上げてみるとげらげら笑いながら倒立した。この子は楓芽が叩いた石橋をぐんぐん進む。

06/04 Tue.

落ち着きそうで落ち着かない夜が続いているからか、寝る前に書く日記を2日分溜め込んでしまった。ここいらが日記の潮時かなあ、そろそろやめようかなあと思うのに、いざ書きはじめると山のように書きたいことが溢れてくるからやめられない。こうして時間が過ぎて、明日の仕事中に眠気が湧いて出てきて、今日こそは早く寝ようと決めてまた夜更かしをするんだろうな。夜は自治会の役員会で夏祭りの話し合い。ひとえにまちづくりと言っても、僕がこれまで関わってきたそれとは毛色がちがっていて「なんで?」が頭の中でうごめいているからか、まだうまく馴染めない。でも仕方がない気もしている。だっておじいちゃんたちと僕の間の世代がいないのだから。今年度は理解と相槌に徹しよう。

06/05 Wed.

唯が遅番だったので、楓芽と蒼空を迎えに行ってえがわ運動公園へ行く。蒼空はもちろん、楓芽もついこの前まで赤ちゃんだったはずなのに、もうすっかり男の子が2人。今はわけもない抱っこも明日には持ち上げられなくなって、明後日には手も繋いでもらえなくて、口を聞いてくれない週末だって訪れる。気づけば何歳だとか、あっという間に何だとか、忘れものをした昨日にさようならを告げられないまま絶えず明日はやってきて、今日の僕たちを急かす。暮らしは切なくて脆い。

06/06 Thu.

課長と佐世保へ。移動中の会話で不意に「レインボーミュージックばり好きやけんねえ」と言い出すから驚いた。しかも先週の週日記でシェアしていたONEが一番好きらしく、思わぬ共通点に心が踊る。夕方は楓芽と2人、しっぽ文庫の取材を受けるために県庁へ向かう。新卒だという記者さんが楓芽のためにひらがなの名刺を手書きで準備してくれていて、そのあたたかさがとても嬉しかった。終始まとまりのない話で記事になるまで苦労すると思うけど、一生懸命質問を考えながら耳を傾けてくださる姿を見ていると、ライターを志した当時の記憶がじわりじわりと浮かんできた。僕はリライトからはじまったけど、ビクビクしながらメールを打ってたっけ。肩肘張ってちゃ持てる力をすべて出し切れないかもしれないけど、だから一つひとつのお仕事にちゃんと向き合えてきたのかもしれない。

06/07 Fri.

取材した音声を聞き直して、それからまた再生しながら文字起こしをして、構成をまとめてからデザイン。毎日ちまちま進めてきたNEKOkkeの原稿を、今日からようやく書きはじめた。尾曲がり猫神社の琴岡さんの言葉には、猫への愛と他者への思いやりが詰まっていて「どこを書くか」よりも「どこを削るか」を考える方がずっと苦しい。そんな理由でウェブライターでいたいと思っていた時期もあったけど、削る苦しみを経て届けられた言葉の重みはちがう。メディアは物事のいいところ、あるいはインプレッションが伸びそうなところだけを抽出しているように映るけれど、全部が全部そうじゃない。愛の大きさは、文字の数だけで測れるほど可視化されたものじゃないんだ。

06/08 Sat.

朝から蒼空を義実家に預けて、楓芽を病院へ連れて行く。熱はないけど咳と鼻水が続いているからだ。「喉もきれいだから大丈夫でしょう」という言葉から生まれた安心感を携えて車に乗り込んだ。それから家の掃除をして、蒼空を迎えに行った帰りにHajikko書店へ。NEKOkkeの編集の話と、掲載してもらったNEEDを受け取りに行ったのだけど、3週連続でお邪魔したのは初めてかもしれない。夜になれば片付けたはずの部屋はおもちゃだらけになっていて、吹けば飛ぶような土曜日はいつだって休ませちゃくれない。洗濯物よりも先にパソコンを畳んでしまって、家事が終われば布団に飛び込もう。週に一度の、家族の休日を健やかに過ごせるように。

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