給食費無償化への道(墨田区)
墨田区が大好きです。
じなんです。
朗報です。
本日、墨田区議会にて「学校給食費の実質無料化について」具体的に動き出す旨のアナウンスが山本区長からありました。
これは、胸熱のためnoteにまとめます。(少し駆け足で書きますので、記載の誤りがあった場合はお許しください)
私自身が、新人議員と言うこともあり、議会活動の中で初めて知った!ということも沢山あります。多くの方に「そういうことなのか!」と思っていただきたいので、ご紹介を挟みながら、お伝えをさせていただきます。
1.代表質問って何?
私たち区議会議員は、区長への質問権を活用して区政のチェック、提言を行なっています。その仕組みについて、私が学んだことをお伝えをさせてください。
(1)地方政治の仕組み
地方政治は、二元代表制という制度を採用しています。
予算執行権・人事権を持って行政運営をする首長(区長)と、行政の運営や公共サービスの提供に対して監督する地方議員(区議会議員)。両方ともに、有権者から選挙によって選ばれますが、その役割が異なります。
首長は、議会で区政の方針を示すため、年度の初めなどに所信表明と呼ばれる、これからの任期(4年間)で行うことや、この年度で行うことを説明します。
(2)質問とは?
質問とは、確認と提言です。
私たち、地方議員は区長が示す方針や、その方針に基づき出てきた行政の実行計画、その計画に紐づく費用などについて、質問を通して懸念点の確認や、区民の意見を集約して提言を行います。
(3)会派とは?
会派とは、議会活動を共にする部活です。
会派は、同じ考え方や目的を持つ議員が結集して作られる集団です。
学校で例えるならば、3年3組などのクラスが政党、部活が会派だと思っています。会派は、政党を超えて作ることができるため、私は日本維新の会の2人と「墨田区議会日本維新の会・国民民主党」という名称の会派を3人で立ち上げました。
他にも「墨田区議会自由民主党・無所属」という13人の会派があります。
(4)交渉会派とは?
交渉会派とは、プレゼンスの高い集団です。
墨田区の規定では、会派の人数が3人以上の場合「交渉会派」となることができ、「交渉会派」になると様々な権利を得ることができます。
下記は一例ですが…
・議案について、事前に情報を入手して交渉をすることができる。
・委員会と呼ばれる、特定の事柄について議論をする場にて「委員長」や「副委員長」という役職に就くことができる。
・会派の意見として質問することができる。
日本は民主主義のため、より多くの民意を得ている集団がプレゼンス高く活動することができる仕組みになっています。
(5)代表質問とは?
代表質問とは、会派の統合意見です。
交渉会派の代表者(幹事長)は、議会の冒頭に30分間、会派としての統合意見を述べる権利を得ます。代表者からの質問は、団体としての質問であることから、個人の質問よりも、意味合いや重みが増します。
反対に、代表者以外の質問を「一般質問」と呼びます。これは議員個人の活動として確認・提言をすることを指します。墨田区では、一般質問は20分間という定めがあります。
2.給食費無償化のハードル
代表質問の中身に行く前に、学校給食費の無償化に係るハードルを整理します。
(1)学校給食法
学校給食法第十一条二項では「前項に規定する経費以外の学校給食に要する経費(以下「学校給食費」という。)は、学校給食を受ける児童又は生徒の学校教育法第十六条に規定する保護者の負担とする。」としています。
学校給食に係る費用を自治体が負担すること(立て替えること)は、法の定めを逸脱する可能性があるというのが論点の1つです。
(2)財源論
墨田区で給食費の無償化を行った場合の予算は、少なくとも年間約7億8000万円です。(子ども1人の給食費は年間5万円~6万円)
(3)自治体ごとの差異
学校給食費に限定した事柄ではありませんが、自治体ごとに子育て・教育に係る施策がバラつきが出てしまうことへの懸念があります。あの区は無料、この区は有料、だから引っ越そうというのは、保護者や子供の負担だけでなく、行政コストの増加にも繋がります。本来、子育て・教育は日本国の成長戦略として位置づけられるもので、給食を含め、日本全体で均一に提供があるべきだと考えています。
※墨田区議会では昨年度、国に意見書として改善を求めています。
3.墨田区の代表質問
代表質問は、人数が多い会派の代表者から順に行っていきます。
本日は、自由民主党の佐藤議員、公明党のおおこし議員、日本共産党のとしま議員の3名が順に代表質問に臨みました。
3名の代表質問に共通した事項として「学校給食費の無償化」がありましたが、切り口は会派によって異なっていたと感じました。
(1)自由民主党・無所属 佐藤議員
(2)公明党 おおこし議員
(3)日本共産党 としま議員
(4)日本維新の会・国民民主党 しみず議員
少し端的に書きますが
佐藤議員は、法の定めの通り、学校給食費は保護者が負うが、墨田区が徴収をしないと定めることで、実質無償化を実現するという案。
おおこし議員は、法の定めとは別に事務次官(省庁の長)通達により、自治体が給食費の一部を補助することは認められているため、墨田区が給食費を負担することで、実質無償化を実現するという案。
としま議員・しみず議員は、23区内で無償化に踏み切った自治体に倣い、墨田区が給食費を負担することで、実質無償化を実現するという案。
(5)山本区長
山本区長の回答は、佐藤議員の案を採用したものであり、以下の通りです。
4.墨田区の給食費無償化
(1)山本区長の見解
端的に記載します。
・学校給食法を順守する
・義務教育全体の中で、その制度・財源は国が責任を持つべき
・区長会を通して、国に要望済み
・しかし、子育て世代の負担軽減、子どもの健やかな育ちの確保が必要
・給食費を徴収しない案を検討する
・9月の議会に付議する
(2)見解のポイント
(1)の見解のポイントは、給食費無償化の「方法」と「期限」が具体性を持って答弁として出てきたことです。佐藤議員の質問を通じた、提言が通った瞬間でもあり、これは給食費無償化を求めていた有権者の想いが通じた瞬間でもあります。(=代弁者として、負託に応えた瞬間です)
5.今後の課題
(1)給食の品質保持
学校給食法第二条一項一では「適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること」としています。
物価高騰により、食材費が上がった場合…
ア.仕入れの数量が減る(具材が減る)
イ.仕入れるものの品質が落ちる(安い具材になる)
という懸念があるため、給食を提供してくれる業者さんの価格弾力性を担保することは必要だと考えています。
(2)実質無償化の期限
ハードルでもあった財源論です。
各自治体では、物価高騰対策として、子育て施策に係る家計への負担減少を目的に給食費の実質無償化に踏み切っていますが、給食費を固定費とすることには限界がくると感じています。
子育て・教育施策については、国単位での実現を図るべく、その機運を高めるとともに、継続的に国政にも求めることが必要だと考えています。
(3)債権の扱い
今回の案では、法の定めに従い、給食費自体は保護者が支払う義務を負っています。給食費(債権)は有効であり、保護者の支払い義務(債務)は有効であると考えられます。少し踏み込むと、債権者が条例に則り、債務者から債権の回収を行わないということが、経理上どのような扱いになるのか、貸倒損失処理(全てが未払金として処理)になるのか、それが有効なのかという問題があると考えています。
6.まとめ
以上が、墨田区における学校給食費無償化の進捗です。
私自身も、選挙時の政策の1つとして掲げていましたので、大きく前進したことは、とても胸熱です。墨田区長から検討を進めるように区役所に指示が出ることで、1つ1つの課題に向き合い、解決していくこととなります。まだ、時間がかかるものの区民の皆様にはどうかご期待をいただきたいと思います。
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