介護タクシーが来ない
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[登場人物]
・私 (都会で夫と二人暮らし)
・夫
・お義母さん(夫の母・2023年秋から同居開始、要介護3)
・お義父さん(夫の父・地方でお義母さん、弟と3人暮らしだったが2023年夏前に他界)
・弟(夫の弟・お義父さんの死後、長年の無職を経て介護施設に勤務を始める・実家暮らし)
・叔父さん(3人兄弟のお義父さんの弟・妻と同地方で2人暮らし・子供なし)
・叔父さんの妻(叔母さんが2人出てくるので叔父さんの妻とする)
・叔母さん(3人兄弟のお義父さんの妹・嫁いで同地方で夫と2人暮らし)
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予定より時間が迫っていたため、
慌てて自転車で5分程度の八百屋へ買い出しに向かったが、
自転車を停めて買い物カゴを手にした時に夫からLINEが鳴った。
「予約していた介護タクシーが来ない」
えー…
そんなことってあるの?
なんで?と困惑していると、
「電話かけたいけど番号控えてなくて、電話番号わかる?」
と夫から重ねてLINEがあった。
私も出先で確認できず、急いで帰って確認するから5分待って!
と返した。
はぁ…
私は八百屋のカゴを戻して、自転車で急いで自宅に戻った。
その介護タクシーはこれまでお世話になっていたケアマネージャーに相談した時に調べてくれた介護タクシーの会社だった。
残しておいたケアマネージャーや介護タクシーとのやり取りのメモを確認して夫に慌てて連絡した。
介護タクシーの会社に予約を入れた時、タカギという代表者がそれを受けたので、タカギというメモ書きも残していた。
予約を確実にしておいたはずなのに、なぜ現場に現れないのか…
心身ともに疲れ切っていたが、
しばらくお義母さんを置いて家を出ることを減らせるように
買い出しには行っておかないと。
私自身も受け入れに対してナーバスになっていた。
こうしなければ、とつい力が入ってしまうが、手を打たないで後からバタバタすることはなるべく減らしたかった。
私は再び疲れた体で八百屋に向かったが、買い物中も夫とのLINEのやり取りは続いた。
「電話したらそんな予約受けてないって言われた」
「ケアマネージャーの名前だしてそこからの話で間違いなく電話で予約したって言ったけど、誰ですか?っていう感じで」
「腹が立ってもう電話切った」
こんな無責任な介護タクシーの会社があるのか。
介護に関わる仕事をしている人たちはみんな誠実だと思っていたのに…落胆した。
信じ切ってしまっていたのだ。
「どうするの?普通のタクシーでもこれから呼べそう?」
そう聞くと、
「叔父さんが送ってくれるって」
一番嫌な流れになってしまった。
叔父さんにはお義父さんが亡くなってから何度も言葉で攻撃されてきて、
個人的にはこれ以上、借りのようなものは作りたくなかった。
「そっか…仕方がないけどお礼言っといて」
私は何度もその介護タクシーに電話したが、
1コール鳴っては切れてしまう、の繰り返し。
着信拒否されたのだろうか。ありえない。
その後、気になってその介護タクシーの会社を検索してみた。
ホームページは業者に委託した、著作権フリーな画像で作られたある程度は立派なホームページだった。
google mapでホームページに載っていた住所を確認してみた。
そこにはかなり年季の入ったオンボロの一軒家と、駐車スペースには1台、車椅子マークが貼られたワゴン車が停まっていた。
あぁ、きちんとした会社ではなかったんだな。
google mapの画像を見た私は諦めと落胆でまた疲れた。
ようやく夫とお義母さんは駅にたどり着き、
無事叔母さんとも会えて、電車に乗ったと連絡があった。
あと数時間でやってくる。
在宅介護の始まり。