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コロナ日記⑤:周りの景色を書いてみる

※このシリーズは『ペスト』(カミュ著)の内容が出てきますので、ネタバレが嫌な方は見ないでください。

4/9。木曜日。夜勤明けで寝て起きたら夕方。
昨日歩いていて、この時期に見えてる風景とか人とか、見えたことを書いておくのもいいな。と思って、いつもと少し異なる内容で書いてみる。

ペストのような臨場感や客観性はないけど、いつか見返した時にこんな様子だったというのが少しでもわかればなと。

主観だし自分の思ったこと見たこと=自分の見た風景として書くので、
一番日記っぽくなるのかな。


日曜日の公園
日曜日。
普段なら仕事かカフェで勉強か寝てるかで、日中帯に外を散歩することは稀だ。

出勤以外で外に出るのを控えていたから、何も用なく外に出たいという欲望に負けて、少し遠くまで足を伸ばしてみようと自転車に乗って行き先も特に決めず走り出した。

走って数分、近所の公園を通ったら子供たちが元気に遊んでいた。
普段であったら見ない景色に、思わず少しペースダウンして、公園を眺めた。

無邪気に笑って駆け回る子供達。
親達は穏やかな表情で子供達を見守っている様子。

普段はどれくらい人がいるかは分からないから比較はできないが、自分には賑わっているように見えた。ウイルスとか関係なく、そんな風景になんだか暖かさを感じた。

しかし、それと併せて、親としての少なからずあったであろう葛藤についても、想像せざる負えなかった。

このような時期だが、子供を外で遊ばせてあげたいというのも親心。
かといって危険に晒したくないというのも親心。
(もしかしたら、子育て疲れで一回リフレッシュしたいという親の苦悩?)

こんな時期だからいろんなことが日々変化していくけど、
日曜日の公園の風景は、なんだか変わって欲しくないなと、
身勝手な希望を抱いてしまった。


電車とホーム
平日。
仕事柄出社しないといけないため、いつも通り電車に乗って出社する。

ふと山手線の車内を見回すと、いつもよりは人が少なくなっているような気はする。しかし、じゃあ密集していないという訳ではない。

皆、いつも通りスマホを見ながらどこかの駅に着くのを待っている。
こんな時に、一番危ないのはスマホを持っていることなのではないかとピンときたが、そんな自分もスマホに頼って生きている人間の一人なので、結局そんな危険物を所持していないと生きていけない。(だから消毒はマメにね。)

外出を自粛している分、普段あまり見ない窓から景色を見ようと思ったが、周りにはそんなことをする様子の人は一人もいなかった。

普段から、そんなにスマホで何を見ているんだろうか。
なんて疑問にも思うが、結局ブーメランで自分にも言えることかと、心の中で自嘲する。

相変わらず寝てる人もいる。
人が多くても少なくても、眠気に耐えられず寝ている人は一定多数いるんだと思った。お疲れ様です。

通勤経路では、途中池袋駅で乗り換えがあり、騒ぎの前は電車が必ずといっていいほど遅延するくらいには人で溢れていた。

だからホーム間の移動も大変だった。
ぶつかりそうになっても、相手は何も気にせず自分の行きたい方向に、好きな速さで進んでいく。こちらのことは見てない。

でも今はなんだかゆとりがある。それはそこを歩く人達全体にである。
人にぶつかる心配はだいぶ減った。

しかし、これは電車内でもそうであったが、人々は基本的に俯き、表情は暗く見えた。しかもマスクをしているから余計に暗く見え、やや重い雰囲気すら感じられた。

これはいつも通りの風景なのか。
ウイルスのせいなのか。
ウイルスのせいであって欲しいな。


東京丸の内
残業した日の帰り、ふと東京駅の周辺を散歩したいと思い、東京駅で電車を降りた。時間は22:00をまわっていたと思う。

東京駅周辺はよく散歩に来る。
開かれた場所が好きなのだ。

丸の内口から出ると、その日も相変わらず高層ビルの照明が街を彩っていた。

東京駅自体が被写体として人気があるのか、そんな遅い時間でも、スマホを持って駅の写真を撮っているサラリーマン(に見えた)がちらほらいた。
普段あまりこないから記念に撮ったのか、それとも何となくその風景を撮りたくなったのか。

丸の内口の真前にある、オリンピック/パラリンピックまで後〇〇日という電子看板。
気付いたら日付が増えていて、延期になったことをふと思い出させた。

何気なく近くにある明かりの点いているビルを見て思った。
この時期でも、遅くまで働く人は遅くまで働く。
いろんな事情があるのだろうけど、ウイルスが来ても変わらないものもあるんだなって。

皇居の方まで歩いていくと、軽トラに乗ったおじさんが車の中で寝ていた。
これから仕事なのか、明日早朝から仕事だからそこにいるのか。
普段は考えないような疑問が頭に浮かんだ。

ただ一つ、この風景も変わってないな。とも思った。

この時間になれば、普段からそうだが、人はそこまで多くない。
皇居ランナーを見つけることはあるが、その日はいつもよりランナーはいなかった印象がある。

皇居の周辺を歩いていると、突然街灯がまばらに消えた。
どうやら時間で消灯するらしいが、今までは経験したことがなかったので、とても印象に残った。

ペストでは、ペストによって封鎖された街の描写が描かれているが、流行期には、夜の時間になると街灯が一部消灯し、街全体に陰鬱な空気が漂うシーンが描かれていた。

不意に出くわした消灯は、そんな陰鬱なシーンを思い出させた。灯りが灯っていることは、それだけで救いなのかもしれない。なんだか安心するし。



今回はここまで。
この時期の風景。
またどっかで書こう。
その時はどうなってるかな。


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