いつかの街
私は地方の出身だから、東京という街には、最初は旅で訪れた。
幼い頃は、母に連れられて仙台空港から飛行機に乗っていた。
よく泊まっていたのは、芝公園にあるホテルだった。
東京は、埃のにおいなのか、排気ガスのにおいなのか、独特の匂いがしたのを今でも覚えている。
よく乗っていたのは都営三田線。都営三田線には、色々な世代の色々な職業や立場の人が乗っていて、それを眺めているのが面白かった。
働く女性の颯爽とした感じや、おじいちゃんやおばあちゃんからは生活の様子が漂い、色鮮やかな洋服を着た人たちもよく見かけた。
どの人も田舎の町にはいない、空気感があった。
そして、それを眺めているうちに「東京にいるんだ」という実感を深めて行った。
だから私には、東京にはいくつかの「はじまり」の場所がある。
初めて東京で働いたのは、赤坂八丁目にあった制作会社だった。
青山一丁目駅のあたりは、いつもおつかいで歩いていたところで、毎日、当時は銀座にあった大手広告代理店に台本を届けに行っていたりもした。
でもなぜか、ここは懐かしいという感じが身体の中に残っていない。
それはどうやら(今これを書きながら分かったのは)私がOLという仕事をしていたからかもしれない。
その後一旦仙台に戻り、再び上京して仕事を始めた新宿の方が「はじまり」の場所のイメージが強い。
そこに、NLP的に言えば「アンカリング」してあるのか、何かのはじまりが「新宿」であることが多いように思う。
声の学びをはじめた場所も、新宿だった。
これまで、東京の幾つもの街に足を運んできた。
思い出の中にある場所と、消えてしまった記憶。苦い記憶のある場所ももちろんあるし、街の移り変わりと共に消えてしまったお店もある。
暮らしが長くなると、日常に紛れてしまうけれど、それでも確かに、
誰にも必ず、「はじまりの」「終わりの」「思い出の場所」がある。
今日は「新宿御苑」に行ってきた。
お花見には肌寒い日で、温室で暖をとったけど(笑)
あの駅の界隈は、はじまりの場所の1つ。声の技を磨いた場所なので、ピリッと気持ちが引き締まる場所でもある。
そして、その後は、久しぶりにジムに行ってトレーニングプログラムを組んで貰った。さて、4月まであと少し。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
また明日、同じ場所で。