最後に残るもの【カミーノへ行こう:本編その29】
本日の歩行:23.3キロ、6時間
山道があるので7:30ごろ出発。
霧が出ているので視界が悪い。
わたしの前に二人組がライトガンガンで歩いていたので、必死についていく。
ルーメン大事。
山頂まで30分ほど。
ここには昔の茅葺屋根みたいな建物があって、そこがミュージアムになってるんだけど、当たり前の如く入れるわけもなく。
昨日登れてればなー、とは思うものの、普通に無理だから、仕方がないなあと思う。
そこから下り道。
30分ほどで明るくなったのでほっと一息しつつ、広葉樹林の日本の山道のような道を歩く。
足元が柔らかい(栗は硬い)。
山の連なる景色が美しい
歩いていると、前方に何やら不思議な物体を持った人が。
もしやあれは!!
と有名人を見つけた気持ちでてくてく追いつき声をかける。
実はここ数日、「この日本人会った?」と聞かれる人がいまして、ようやく遭遇したんですね。
一輪車乗りの日本人。
さすがに山道は転がしてましたが。
「あ、あのっ日本人のかたですよね?いろんな人から噂聞いてて……!!」
とナンパにしても酷すぎる声掛けをして一緒に歩かせていただく。
一輪車競技のプロらしく、えー一輪車って競技あるんだ!?というところから驚き。
グループの新体操を一輪車でやる感じらしい。
すごい。
5歳から乗ってると言っていて、体の一部なんだなぁ、としみじみと思う。
しばらくしたら車道に出たので、そこでお別れ。
わたしにとって、彼女の一輪車みたいなものはなんだろう。
と思って歩き続けた。
カミーノを歩き続けて20日以上。
わたしが考えるのは、好きな本とか、舞台とか、映画とか、マンガとか、そんなことばかり。
そんなことばかりがずっと残っている。
何度も何度も思い出しては心を温めて涙腺を緩めている。
わたしの最後に残るものは、物語かもしれない。
物語がなければ生きていけない。
どちらかというと、よく知らない生身の人間の話には興味がないのだが(たまにおしゃべりするのは好きよ)、ひとりひとりの背景にも物語があるのだなぁと、今回の旅で強く感じている。
あと1週間。
わたしは何を思うのだろう。