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「静寂がー 朽ち果てた遺跡によどむ闇を満たしていた。」

最近久しぶりにスレイヤーズ第三部を読み返したら非常に元気が出たので(人馬事故とノーストさん)、本棚本もスレイヤーズにしようと思いました。

こういうシリアスな前振りだと、よほど物語の佳境でない限り(9巻とか)、シリアスと見せかけてギャグ、というのがスレイヤーズのお約束です。
今回の本はこちら。

神坂一著 『ソラリアの謀略』(KADOKAWA、2008)
前回の戦い、対魔戦で全くの戦力外だったガウリイの魔力剣をどうにかすべく、あちらこちらへと旅するなかで行き着いたのが、「魔力剣を蒐集している領主の噂」。
で、ソラリアという街にやってきた2人。

そしたら前回登場のルクミリはいるわ、前回登場の黒服はいるわ、正体不明の覆面はいるわで、今回もなんだか事件の予感バシバシ。

いやでもね。
第二部のガウリイ激推し勢としてはね、ガウリイの適応力に舌をぐるんぐるん巻きまくるわけですよ。
リナのモノローグによると、光の剣を使っていた時の癖が抜けない、みたいなコメディたっちな説明がされていたのですが、多分それって、「リナだけでも問題ない」ときだけでしょ?
という邪推をしてしまう。

だってさ、今回の戦闘、最後の最後になるまで、ガウリイの手持ちは呪符がついた程度の魔法剣で、魔族にも魔法にも全く効果がないのに、バリバリ活躍してるやんけ。
相手が「黒服」という人間(もどき)だったせいもあるけど、こいつらも半分人間辞めていることがわかるわけで、そんな連中とやり合うには本当はガウリイの剣では足りないはずなんだけどなぁ。
相手の武器が普通の剣だったってだけで、ガウリイ善戦してるもんな。

リナが剣術は二の次の魔導士なので、ルークやゼルほど「剣術魔法」のストックがないのが結構ネックで、そうするとガウリイとリナは基本ワンセットの戦いをするしかないんよね。
そんなわけで常に肉盾になるガウリイ、ほんとお疲れ様です。

そして今回の戦いで、「出自不明のめちゃくちゃ強い魔法剣」を最終的に手に入れるガウリイ。
これ、光の剣よりエグいと思ってて、光の剣はさ、「必殺の武器!」て感じで、まず元の刀身を外してからじゃないと使えなかったじゃない。
でも今回の魔法剣は、通常状態で光の剣よりは劣るけどすごい効果を発揮するわけでしょ。
切れ味とかなにもかも光の剣のカバーより数段上なので、ガウリイの反射速度に剣が追いつけちゃうんだなぁ。
まさかの「光の剣」のほうがハンデ(刀身をはずす&掛け声)があったという。

あとやはり見どころなのは、ルークとミリーナの戦闘よ。
第二部になってからの戦闘描写、細かくてほんと好き。
ミリーナ一筋のルークとそれを軽くあしらい続けるミリーナ、バトルのときのコンビネーションがめちゃくちゃいい。
こういう二人組すきです。

あ、あとスレイヤーズの本編と短編集のリンクね。
これなんか、すぺしゃる5巻の『魔導士協会の陰謀』派生の話ですよ。
何年ネタを溜め込んでいるんですか先生。
あとナーガが相棒だと全部ギャグになるの、ナーガの凄さを感じるよね。
もう魔王戦もナーガを連れてこよう。
ギャグになるから。

こういうところがスレイヤーズの作品としての深みというか、小ネタの使い方のうまさだなと思います。

スレイヤーズ第二部はいいぞ。
みんな読んで。


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