見出し画像

着物録*2023年6月

さて、6月の着物まとめいってみましょう。
今回は特殊な体験が多かったので、それはまた別に記事にまとめます。

いざいざ河口湖

和式馬術&馬上武芸体験、とかいうめちゃくちゃ楽しそうなイベントを発見し、「よっしゃ袴でいったるわい」と意気揚々と男装していきました。
袴は1月にも履いていたもの。
正絹を運動着に使うという贅沢&無頓着ぶり。
いや、泥が付かなきゃ別にいいし、という感覚で。
長着は「暑いだろうな」と麻混の浴衣、麻の半襦袢を下に着込んで、いざ河口湖へ。

あ、バス移動中は長着だけで、袴は牧場で着替えました。
さすがに。

いかがでしょう。
和装で乗馬、なんだかかっこよくないですか。
この牧場では、和式馬術はいつでもできるのでぜひお出かけください。

職人技のひかる兵児帯

古布を買って兵児帯を縫い縫い。
綺麗な菊の柄に目を惹かれます。
もとは浴衣か麻着物だったんでしょうね。
古いながらも、丈夫で手触りがいいです。
兵児帯にしたのは、麻のしぼ感を出したかったため。
なかなか涼しげな、良いできになったと思います。

夏物を着る夏

夏物。
それは現代の夏場に着るにはあまりにもハードルの高い代物。
だいたい昭和中期の「夏」って、30度いかなかったじゃないですか。
そういう気温だったら夏物(絽とか紗の正絹着物)も着れますよ。
汗かかないもん。
現代は本来夏物の7・8月は35度越えがデフォ。
昔と10度近く気温差があるのだから、真夏に夏物を着たら割と死にます。

というわけで、雨模様の6月の午後、ポリの絽のお着物を着てお出かけです。
これは今年の新入り。
紫の地に、小さな扇子模様の入った小紋です。
下には昨年自分で染めた、ピンクの麻の襦袢を着ました。
やはり襦袢は麻がいいよ、暑いとね。
雨なので帯はポリの兵児帯を、銀座結び風に。

お出かけした展覧会は、あかね會という染め柄の図案を出していた商社のコレクション展。
昔の柄だろうとなんだろうと、可愛いものは可愛いですね。
わたしは白馬の駆け回る柄の訪問着が欲しくてたまらなくなりました。

いつの時代も、かわいいは正義。

紫陽花に季節はあるのか問題

紫陽花柄の浴衣です。
着物の「柄」は奥が深くていまだにわからないことがおおいのですが、一般には「季節の花が咲く前に、その柄の着物を着る」いわゆる「先取り」が主流です。
一方で、「図案化された花はいつきてもいい」(代表例:桜模様)、というのも一般的な傾向です。だから桜柄の浴衣があったりするわけで。
ただし、「枝付きの写実的な柄は先取りで着る」というのはやっぱりあるみたいで、わたしなどは江戸小紋の桜柄、毎年着るタイミングをジリジリと見計らっています。

んで、紫陽花の浴衣。
枝付きではないので、先取りでなくても良かろう(しかも紫陽花の先取りだと確実に5月だから浴衣の季節ではない)とは思うものの、これを8月に着るのはさすがにどうか、とも思ったりします。
同じ理由で、ひまわりはわたしの中では7月以降、9月になったらもう着ない。
桔梗は8月以降から9月まで、と、なんとなく季節を区切りにしています。

季節感を感じる着物の柄、いつもいつも悩ましい。
なので着物には、「架空の花模様」が結構あります。
何の花かよくわからないから、いつでも着れる、という先人の知恵です。
すばらしい。

ワタサナロマンティックチャレンジ

ワタサナ、という浅草にある「売らない着物屋さん」に初めておじゃましてきました。
店主のキャンディさんのコーディネートで、1時間着物着放題。
「自分に似合う着物」「普段着ないけど挑戦してみたい着物」を好き放題試せるという、もともと初心者向けのサービスとして開始されたものです。

今回、わたしがいつもお世話になっているカメラマンのサトウヒロコさんと、キャンディさんが「ジェンダーレス着物写真集」のクラファンをはじめられたので(そして達成率300%超えで成立しました)、せっかくだし、と以前から気になっていたワタサナさんにお邪魔してみました。

オーダーは、「いつも強い系になってしまうわたしが着れる、甘々ロマンティック系」。
いやだってほら、なんだか強くなるやないですか、わたしのコーデって。

んで、「自分が選ばないもの」を選んでいって出来上がったコーデがこちらの4つ。

どうでしょう?
どれが似合うかな?

キャンディさんは「どれもいける!」「ぜんぜんいける!!」と絶賛だったので、あとは自分が着慣れるかどうかの問題でしょうね。
でも今回の体験のおかげで、この間の催事ででっかい買い物をしてしまいましたよ……
ふふふ。

バーイベ(個人主催)

「誕生日を祝いたいんですよ!」
という熱いお声がけをいただいてしまい、はてわたしは祝われるタイプの人間ではないのだが、と思いながら、ありがたくお誘いにのるなど。
映画を見て、おすすめのバーへ。
バーにも縁がなければ、表参道にもゆかりのない人生を送ってきているので、
バー?
なにそれおいしいの?
という気持ちで向いました。
さすが表参道なので、店はおしゃれだし夜景もいい。
日本ではなかなかお目にかかることのないピムス(イギリスの夏の風物詩)を頼み、ハムスとフライドポテトを頼みます。
ダメもとで「ビネガーあります?」って聞いたら「何ビネガー?」と返されたので、「モルトビネガー」というと、それはないと思う、との返答。
そりゃそうだ、と思いながらケチャップだけ頼むと、「モルトビネガーあったよ」と持ってきてくれました。
モルトビネガーが常備されているバーis何。
だってこの店、フィッシュアンドチップスもないんですよ?
ピムスとモルトビネガーのおかげで、好感度爆あがりでした。

そしていまだにわからない。
バーとちょっといいレストランの違いが……
あんまり食べないのがバーなのだろうか。

ちょっといいお店、とのことで、着物民の本気、紗の着物に、紗の博多帯、自分で染めた麻の襦袢。
正絹の夏物は、ほんとそろそろ限界かもしれないですね。
(まだ大量にある)

江戸の粋ってこういうこと

一見、紺地の地味な浴衣。
友人のおばあさまの断捨離でいただいたのだが、紺の裂き織模様で、かっこいいがとにかく地味は地味。
なのだが、裏面がなんと、麻の葉模様なのですよ。
もちろん1枚の布。
どういう仕組みなのかわたしには皆目見当もつかないのだけれど、布の表は裂き織柄、裏は麻の葉柄、というとても通好み一品です。
上前の裏がちらりと見えるときと、袖口からちらりとのぞくくらいしか見えない麻の葉。
こういうのが粋なんだよなー!
まさに江戸好み!!

これはこれで完成されし美しさなのだけれど、これ片身を裏返しにして縫い直したら、片身替えの浴衣ができるんじゃないの?
と来年にむけて野望を掻き立てています。

1年越しの出会いは運命

去年の夏、たまたまセールで半額になっていたセオαの浴衣。
柄が大胆で可愛くて、でもいつも注染の浴衣を2000円とかでかっているわたしは、
「ポリの浴衣に3まんえん近く……」と購入を躊躇いました。
躊躇って、3時間くらい悩んで、よし買うぞ、と意気込んで通販ページをひらいたら売り切れ……。
それから散々検索し、あちこちの通販ページを開いて、最終的にメーカーに問い合わせまでしたのですが、「このシリーズは現在出ているだけでもう製造しません」との無慈悲な回答。
それ以来、メルカリで探す日々が始まりました。
だけどもちろん、元が高いものであるし(そりゃ着物は全部そうだけど)、何よりクセのあるかわいさなので、好みが個性的な人しか買わんだろ、というレベルで、中古品も絶望的。
「新品の浴衣は、この衝撃を超えない限り絶対買わない」
を心に誓い、そして1年。
そういや最近検索してないな、とメルカリを検索したら、出た。

8分前に出品されている。
状態よさそう。
値引き交渉あり、とかかれていたので一旦はコメントを送ったものの、
「数百円をけちって他の人に取られては困る」
と思い即ポチに切り替えました。

1年間待ち続けた浴衣は、それはそれは可愛らしい。
最高。
気分最高、イエイイエイ。

さっそくこれを着て、麻の葉堂さんの西巣鴨店催事に初めて出かけたところ、お店にいらした作家さんに、
「あ!それわたしもいいなーと思ってたんです!こないだメルカリで出てたけど、買えなくて」
といわれたので、本気でセーフでしたね。
同じ趣味の人は、やはりいる。
「あ、じゃあそれわたしですね。見つけて即ポチしました!」
と返したら、
「あ〜やっぱり!可愛いですよね、それ!」
と同じ趣味を持つもの同士、浴衣のかわいさについて語ってしまいました。
そう、刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる。
そういうタイプの可愛さ。
そのかたの作られているヘアドレスがあまりにも可愛かったので、いつか買いたいです。

まとめ

そんなわけで、6月は8着(ワタサナさんは1着と数えるとして)を着ることができました。
うん、優秀優秀。
だがしかし!
7月は百彩さんの催事が2度もある!
なんで!!
着たいものもたくさん、作りたいものもたくさん。

さ、7月もがんばっていこうか。

放っておいても好きなものを紹介しますが、サポートしていただけるともっと喜んで好きなものを推させていただきます。 ぜひわたしのことも推してください!