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2年間ソフトウェアエンジニアとして複業(副業)してみて感じた壁

2年前に下記のnoteを書きました。

その後2年間続けてこれています。1つの事例として体験や思っていることを共有します。まず今回の記事は「感想編」として複業まわりで日頃考えていることを中心に書きます。数日後に「実践編」を公開予定です。

まず結論っぽくまとめます。私は感じている壁は以下2点です。

*  時間と場所のやりくりが難しい
* 「本業の収入だけでは足りない」という心配駆動になってないか

仕事は、本業も副業もバックエンドエンジニア

私の仕事についてざっくり説明します。まず本業ですが、2年間のうち前半1年間はサイバーエージェントでエンジニアリングマネージャーやSRE的なことをやっていました。2019年11月に転職してナイルワークスという会社でサーバーエンジニアをしています。

副業は2年間、一貫してXTechグループで業務委託契約の個人事業主としてソフトウェアエンジニアをしています。 これらのグループ会社の中でこれまで4社のプロジェクトに関わってきました。

事業立ち上げの中でのパブリッククラウドのインフラ構築・運用の仕事が多いですが、サーバーサイドのコードを書いたり、フロントエンドのコードも少し書いています。専門ではないですが初歩的な機械学習タスクも担当しました。

こだわってきたのが、手を動かすことです。コードを書いてPull Requestを作る、マージしてデプロイする、実運用環境のトラブルシューティングを行うといったことをやっています。

続けてきてよかったこと

まず収入が増えて金銭的に余裕ができます。これはかなりプラスです。

複業によってスキル向上にも相乗効果が得られ、成長実感があります。インフラ系の仕事は趣味では積みづらい経験があるのでなおさらです。例えばTerraformは副業のほうで一から取り組み使えるようになりました。本番環境のさまざまな運用ケースを知り、対応することで経験値が貯まります。似たような技術スタックでも、ビジネス要件、チームの構成、トラフィックのワークロードなどによってやるべき対応は異なり、勉強になることが多いです。

本業の現職はハードウェアを手掛ける会社で規模も小さく、ウェブエンジニアはほとんどおらず、私の業務もウェブ系とは毛色が異なる内容が多いです。ウェブ系の仕事を忘れないという意味でもメリットがあります。

また、自身が関わったプロダクトがリリースされ、安定して動いていたり成長していたりなどをみるのも大きなやりがいです。公にできるできないは別として、自分の手掛けた仕事のポートフォリオが増えていくのは、かけがえのない心の中の資産です。

壁(1)時間と場所のやりくりが難しい

コードを書いたり実環境の運用をしたりする作業はそれなりに込み入った慎重な考慮を要するので、どうしてもまとまった時間が要ります。目安としては1回あたり最低2時間くらい。

もともと性格的に数分でゾーンに入るというのは難しく、30分ぐらいはPCに向かってペースを作っていくことで集中が高まっていくタイプなので、まとまった時間をいかに確保するかは大きな課題でした。

本業では通して1日7.5時間あるのでその課題はありませんが、副業だと平日朝・平日夜・休日のどれかで時間を確保する必要があります。

最初の頃はペースが掴めなくてスケジュールを守るために土日のどちらかを仕事にあてざるをえないことが多く家族に迷惑をかけました。後に平日夜、最近は平日朝にやるパターンを確立できてきました。いまでは土日に仕事をほとんどせずに済むようになっています。

しかし逆に平日はほぼ仕事だけで1日が終わり、虚しさを感じることがないわけではありません。妻が専業主婦で(おそらく)理解があることに甘えていますが、これでいいのかという疑問が常に頭にあります。

月の稼働時間を減らすという手もありますが、時間をかけないとまとまったアウトプットが出せないジレンマもあります。細切れの時間で働いてもキャッチアップだけで精一杯になってしまう気がします。

隙間時間を有効活用するには別の問題があります。オフィスに出社していると、会社のオフィスという本業の会社の資源の中にいるので、例え休憩時間中だとしても副業の仕事はやりづらいです。そもそもやっていいのかというモラルや制度上の問題もあります。

移動中やカフェはセキュリティ上の懸念があります。インフラ関係の強い権限を持っていて秘匿性の高い情報にアクセス可能なので、基本的に外で仕事する場合は、人に見られる/聞かれる懸念がない場所に限っています。そうすると安心して仕事できる場所は外にはあまりありません。副業始めて1年は、会社の近くに個室ブースのオフィスを借りていましたが、都度移動するのも面倒でした。個室ブースだと基本月額固定なのでそんなに使うわけでもないのにお金もかかりますし。

一方リモートワークをしている場合は実質的に問題は生じない気がします。私は本業がハードウェア関係なので出社を要することも多く、副業の作業をする場所は課題です。

壁(2)「本業の収入だけでは足りない」という心配駆動になってないか

冒頭に挙げたnoteに書いたとおり、始めたきっかけは純粋にやりたいと思った気持ちでした。思い立ったらミートアップに行きその後帰ってすぐ働きたいですってメールしてたんですね。

しかし、やりたいって気持ちで始めることと、続けることは別フェーズのチャレンジであり、作業的な仕事も多いので必ずしも知的興奮を覚えることばかりではないこともあります。リリーススケジュールのプレッシャーもあるし、ヒリヒリするような本番環境対応もあります。

そうするとけっこう消耗する日もあって、別に誰かに強制されてやっているわけでもないのに疲れたなと思うわけですが、収入が積み上がってくると「これやめると収入が減るんだな」というネガティブな気持ちが芽生えてきます。損失回避性というか、もともと無かったものがあるのが当たり前になってしまい辞めると明らかに金銭的機会損失が発生するので辞めるっていう決断がしにくいんですね。でも他のことができないという機会損失も同時にしているって分かってるこそのジレンマ。

ちょっと話がずれますが、最近読んだ本で刺さった言葉があって

日本の資本主義を駆動する精神とは「心配」である

納得感のある言語化だなと思いました。これは私自身にも言えることで、

* 本業がスタートアップで不安定なので第二の収入手段を確保しないと
* 現場でコード書く技術者として生き残り続けるために人一倍努力しないと
* もともと資産を持ってるわけじゃないのでたくさん貯金しないと

っていう心配駆動になってる部分が少なからずあります。ただこれで複業続けてたって幸せは半減してるし、体力的な限界もいつか来るし、もっと他のことに時間使えば良かったって後で後悔するのかもしれませんね。

そんなことを思いつつも、今は可能な限り続けていきたい気持ちのほうが上回っています。

昨今トレンドになっている副業・複業が「老後資金が足りないから」「スキル磨き続けないと仕事なくなるから」というような自助サバイバル文脈ではなく、新しいイノベーションを生むための社会構造の変革という文脈で盛んになることを願っています。

#日経COMEMO #複業の壁

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