誰か俺にアオハルを教えてくれ
私はアオハルを理解することができない。
青春を今風にした言葉、といえばそれまでだが、
もっと決定的な差があるような気がしてならない。
私が始めて「アオハル」を見かけたのはゲームセンターのプリクラだ。はじめはそういう名前のプリクラ*1 と思ったが、どうやら違うらしい。
少し経ち、なんとなく意味がわかった。
「あー、青春を今風にした言葉か」
同時に、ひとつの事実が私を襲う。
「俺はこの人生でアオハルすることは無いんだろうな」
そう、私は歳をとりすぎていた*2 のだ。
ご周知の通り青春は人生のある時期にしか与えられない。
仮にもう一度私が青春のような体験をしても、それは「遅れてきた青春」であってアオハルではない。
仮に女子高校生*3 とお付き合いしても、私には「未成年に手を出す」という不名誉な称号*4 を与えられるだけで、アオハルではない。
タイムリープ*5 して過去に戻って恋をしても、年齢と共に年号も戻るためアオハルはできない。
私は歳をとりすぎていた*6 のだ。
この事実を突きつけられた私は枕を濡らすしかなかった。
願わくば男子高校生*7 になりたい。明日から。
あ、でも無理だったわ。そもそも俺モテないし
*1 プリクラ プリント倶楽部の略。ここではフリュー株式会社の『#アオハル』(2019年2月稼働)のこと。今考えれば「プリント倶楽部」という一昔前のネーミングが生きていることが奇跡である。
*2 歳をとりすぎていた 2019年9月現在、筆者の年齢は24歳。「すぎていた」というには若く感じるかもしれないが、筆者にとっては絶望的な年数であった。
*3 女子高校生 人の愛。人の夢。隣の席に居たのに、いつの間にか世界で最も遠い存在となった。
*4 不名誉な称号 仲間内で噂されるだけでなく、地方自治体の淫行処罰規定、児童淫行罪等で裁かれる可能性がある。このようなリスクは避けたい。
*5 タイムリープ 筒井康隆著『時をかける少女』鶴書房盛光社(1965)で、登場する造語。肉体ごと過去へ戻るのではなく、記憶のみが戻ること。
*6 歳をとりすぎていた 24歳でも泣くことはある。
*7男子高校生 うるさく、臭く、有り余る元気を外に発散しようとするため大変迷惑だが、何よりも仲間思いな種族。