本当のプレイヤーは誰だったのか? ~ANONYMOUS;CODE(アノニマス・コード)考察(?)~


※本編を履修済みであることが前提の記事ですので、未プレイの方が読むことは御遠慮ください



 これから話すことは「考察」というよりは一種の「思考遊戯」ですのでそのつもりで御覧ください。

 ……というわけで、まずは前提の確認から始めてみたいと思います。
 本作の主人公、高岡 歩論(たかおか ぽろん)「セーブ&ロード」という不思議なアプリを駆使して事件解決に挑むことになります。
 さて、我々プレイヤーは「どのタイミングでロードを発動すべきか」をポロンに報せることで、彼を事件解決へと導くことになる(ハッキングトリガー)わけですが……本作における最大の特徴は、

「観測者である我々プレイヤーの存在に主人公がハッキリと気がついている」

という点にあります。これまでのシリーズでも「誰かに見られているような気がする」と感じていた者はいましたが、ハッキリと気付いた者は今回が初めて(のはず)です。つまり、
 
「世界の外からハッキングトリガーを操作して主人公を導く我々プレイヤー」

「そんな我々の存在に気付いて『アノニマスくん』と呼ぶ主人公」

 この二重構造こそが本作のシステムの根幹を成すことになると言っていいでしょう。
 ……しかし、よくよく考えてみるとプレイヤーであるはずの我々もまた「何者かの声」に導かれて「いつの間にか作られていたセーブデータ」(オートセーブ)のロードを繰り返していたような気がしませんか?

プレイヤーである我々に助言をしてくる「あんた」はいったい誰なんだ?

 本作を(攻略も見ずに)一発でクリアしたという人はまずいないでしょう。我々プレイヤーはゲームオーバーのたびに【何者か】の助言に導かれロードを繰り返していくことになります。その様子はちょうど我々の助言に導かれてロードを繰り返すポロンの姿と重なります。

 ……なんだかこれって「我々のことを外から観測している何者かが、我々に対してハッキングトリガーを操作している」かのように思えませんか?
 先ほど私はこの作品を「二重構造」と言いましたが、もしかすると実際には、

【何者か】→【我々】→【ポロン】

この「三重構造」だったのではないか? そんな疑念が頭に浮かんできます。
 我々はプレイヤーとなってポロンを導いていたつもりでいましたが、その我々も実際には【何者か】の助言に導かれていた。……だとするとプレイヤーのつもりでいた我々は本当にプレイヤーだったのか?
 もしかすると我々はコントローラを握ったその時点で「アノニマスくん」というキャラとしてこのゲームを構成する要素の一部に組み込まれていたのかもしれません。もしそうならば、我々に助言を与えて導いていた【何者か】こそが、観測者であるはずの我々をさらに世界の外から観測している「本当の意味でのプレイヤー」であったのかもしれない。

 ……ゲームオーバーのたびに【何者か】から送られてくるアドバイスの存在には、そんな想像を遊ばせる余地があるとは思いませんか?

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