#6 出国前の準備の話~行政手続き編~
出国当日のお昼です。これから、やっと海外挑戦日記らしい記事を書き始めます。内容としては、出国前にしておくといいかもしれない手続きの話です。この手の話は、ネットで調べればごまんと出てきますが、ここでは筆者の経験をもとに内容を構成しましたので、万人に共通するとは思いませんが、お仕事を辞めて海外に向かわれる方の参考になれば幸いです。筆者の経歴はこちらです。
海外転出届の提出
まず最初に取り掛かったのは、転出届の提出でした。これは、引越ししたことある方なら経験していると思いますが、同じ要領で海外に転出することを役所に届け出ます。市民課などの窓口で転出届を記入して、そのまま窓口で手続きを行いますが、この時の転出先住所は、渡航先の国名だけ記入すれば良いと言われると思います。また、最近はマイナンバーカードの情報更新も併せて行う必要があることから、手続きに最低でも1時間は見込んでおいた方がいいと思います。
この作業のメリットは、日本国内居住地から住民票を抜くことで、翌年以降の住民税が課税されなくなることです。住民税は、ざっくり説明すると、前年の所得額をもとに算定した納税額を、1月1日時点で住民票を置いている地方自治体(都道府県及び市町村)に対して支払う地方税です。言い換えれば、1月1日時点で住民票が存在しない場合には、住民税は課税されません。筆者の場合、令和6年1月1日時点では、まだ静岡県下田市に住民票がありましたので、今年の住民税は、静岡県と下田市にそれぞれ納めることになります。退職前は源泉徴収されていたので、自分事として全く捉えていませんでしたが、6月以降の未納分住民税を振り込むための振込用紙が実家に届いたときは、その納税額に目が飛び出るかと思いました。3四半期分の未納額で約45万円、年間にしたら60万円近くになるというのです。細かい話は、この後のお金編でまとめたいと思いますが、節税したい方は、転出届を出して損はないと思います。一方、この作業のデメリットは、国民健康保険の脱退が必要になることと、国民年金の在外継続加入手続きが必要になることです。
国民健康保険の脱退
転出届の手続きをした際に窓口で案内されるかと思いますが、自治体から住民票を抜くと、国民健康保険の脱退手続きが必要になります。これは国民健康保険の被保険者の要件が、日本国内居住者であるためです。手続き自体は、役所の国保担当課みたいなところで、手続きしてもらえると思います。
窓口に行くと、保険料未納分の支払いについて色々相談できるので、この時に色々聞いておくといいと思います。
筆者の場合、保険料の計算に収入情報を反映させるのに時間がかかると言われ、6月と7月は暫定版の振込用紙で毎月約5,500円の保険料を支払いましたが、8月分からは収入情報を反映した新しい保険料の振込用紙が届き、これもまた目ん玉が飛び出るかと思うほど高額で仰天しました。毎月約75,000円に値上がりしたのです。窓口に行った時点ですでに、5,500円の振込用紙で8月分と9月分の支払いも済ませてしまっていたために、その場では8月分の差額を清算する振込用紙(約69,000円)を作ってもらい、出国前に8月分は清算できましたが、9月分の清算用振込用紙は、9月中旬以降にならないと発送できないと言われたため、仕方なく、国内に残る母や兄に支払手続きを頼むことになってしまいました。
国民年金の在外継続加入手続き
こちらも、転出届の手続きをした際に窓口で案内されるかと思いますが、国民年金は、国外に転出している場合にも任意で継続加入することが出来ます。もちろん、脱退することも可能ですが、将来もらえるかもしれないお金を、あえて減らすのも勿体ないような気がして、筆者は継続加入するように手続きしました。これも、役所の年金担当課などで手続きしてもらえると思います。その他の気になる点は、窓口で色々相談しちゃいましょう。
筆者の場合は、令和6年度第2~第4四半期分(7月~R7年3月分)の支払いを前納で振込していましたが、窓口で6月分が未納と指摘され、慌てて6月分を振込しました。こんなこともあるので、ちゃんと役所で話を聞くのは大事だと改めて感じます。また、年金の支払方法についても、事前にマイナポータルで口座振込みを申し込んでおいたので、窓口での手続きはとてもスムーズに終わりました。以後は2年分を自動的に口座引き落としで支払いできる状態になっているはずです。ちなみに今年の年金支払いは、約165,000円くらいでした。
在外選挙人名簿への移転登録手続きと在留届の提出
ここまでの話は、全て地方自治体で完結するお話でしたが、ここからは国の行政機関も入ってきて面倒な話になってきます。まず、在外選挙人名簿への登録手続きについてですが、これも親切な窓口なら案内があるかと思います。手続き自体は、申請用紙を記入して各自治体の選挙管理委員会へ提出するだけです。これ自体は簡単なのですが、申請の際に、渡航先の住所を証明する方法として「在留届」を選択することになるかと思います。この在留届とは何ぞやということなのですが、これは外務省に対して、海外に長期滞在をしますよと届け出をする手続きになります。基本的に海外で3か月以上の長期滞在をする場合には提出が義務付けられているはず(詳しくはご自身でご確認ください)なので、提出するに越したことは無いです。提出方法も、インターネットからオンライン申請できるので、在留届で検索すればすぐに手続きできます。ここに記載する渡航先住所の情報をもとに、選挙管理委員会が在外選挙人名簿への移転登録手続きをしてくれるので、在外選挙をしようという方は、在留届の渡航先住所はこまめに更新しておくことをお勧めします。
筆者の場合は、6月1日に下田市から移転してきたばかりで、そもそもこの届出をした9月5日時点では、下田市から練馬区の選挙人名簿への移転が完了していないとのことだったので、練馬区の名簿に情報が届き次第、速やかに在外選挙人名簿への移転手続きを行いますと丁寧に説明を頂きました。どうも各選挙管理委員会が管理する選挙人名簿は、基本的には選挙実施前か、1月、3月、9月、12月などと、年に4回決められたタイミングでしか名簿情報の更新をしていないようです。このあたりとの兼ね合いがうまく行かなかったようです。まだ現地の住所も決まってないので、筆者は特に気にしてませんが、渡航先で在外選挙人証を受け取らないと選挙に投票できないので、現地住所が決まったら、早めに在留届の情報も更新しようと思っています。
納税管理人の選任届
これは、完全に地方自治体から離れて、国税の話になるのですが、税務署で納税管理人というものを選任してきました。手続き自体は、最寄りの税務署の窓口に行けば案内してくれると思いますが、個人的には役所(自治体によりけりかと思いますが)よりも税務署の方が不親切な感じです。
筆者の場合は、まず電話相談を案内されて、ここで確定申告が必要なのかどうか、確定申告には何が必要か等をレクチャーしてもらって、最後に納税管理人の選任手続きをして帰りました。相談結果としては、確定申告が必要ということになり、ダメ兄(とはいいつつも、自分の法人を持ってるので、税金関係の知識はお抱えの税理士等から色々と教わったみたいで詳しい)を納税管理人に選任しました。ちなみに、筆者のように雇われの身であるがゆえに給与から源泉徴収されていた方は、その年の収入見込み額で基本的に過徴収されていますので、退職後は必ず確定申告した方がお得です。過徴収分の所得税が還付されます(過徴収分は、基本的に年末調整で還付する仕組みになっていますので、年末調整しきれていない分は確実に還付が出ます)。出国前の時点の収入情報と、何となくの社会保険料控除予定額や生命保険控除予定額から仮計算したところ、令和6年の筆者の所得税額は約2.5万円で、約7.5万円の還付が出る可能性があります。別の側面で言えば、6月までの源泉徴収だけで既に10万近く所得税予定金としてプールされていたということです。額面だけ見ると、住民税の方がはるかに威力が大きいですよねw
結局、出国後にフォローが必要なもの
上記が、取りあえずの筆者が出国前に行った行政手続きですが、この結果、
確定申告書の提出(令和6年分は年明けの令和7年から手続き開始)
在留届の住所情報の更新と在外選挙人証の獲得
を現地で処理する必要があるということになりました。残念ながら、プレミアム会員ではないので、コメントで質問等を受付できないのですが、よっぽど気になるのであれば、InstagramのDMを送ってもらえばと思います。
令和6年9月18日