#16 11ヶ月の空白
検査入院から帰り、何も変わらない日常生活がそこにはあった。
ある日の朝。
幼稚園の娘は、豆まきの日に
「きょうはおにがくるけんいかん!」
と、幼稚園バスに大泣きしながら乗っていく。
義母と私は娘を見送ると、家事をしながらよくいろんな話をする。
義母が好きな相撲や野球の話。娘や主人のこと。ご近所さんの話…話し始めるとキリがない。
気がつけば夕方。
夕飯の買い物に行き、料理を作る。
主人が仕事から帰ると、みんなで食卓を囲む。
大好きなお笑い番組を見て家族で笑い、娘と一緒にお風呂に入り、3人で川の字で寝る。
朝日が昇る少し前に起きて、朝ごはんを作る。
休みの日には家族で遊びに行き、時には県外に泊まりに行ったりする。
ごくごく普通の、家族の毎日が過ぎていく。
この日常が毎日繰り返されることがどれだけ幸せなことなのか…
病気が気づかせてくれた。
この間も私の病気の進行は止まらなかった。
病名がわからぬまま、毎日何度も筋肉のピクつきやこむら返りを繰り返し、歩きづらくなってきた。
ただただ、怖かった。痛かった。辛かった。
検査入院から11ヶ月目。
病名確定のために再度入院することになった。
非日常の日々がまた始まった。
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