あと10歳若かったらの妊活

自分はアラフォーだという自覚は全くないけど、まもなく四十路に突入してしまう。
若づくりしているのでみんな私を若く見積もってくれるが、実際の年齢は正真正銘のおばさんである。
いつの間にこんなに歳をとってしまったのだろう。
30代は一瞬だった。とすると40代は秒なんだろうか。
あと半分で人生が終わってしまう。後半も前半と同じくらい、もしくはそれ以上に濃厚な人生にできるだろうか。

妊活をもっと早く本格的に考えれば良かったのだろうか。

私の友人たちはほとんど年下で、恋バナばかりしていてとても可愛らしいが、私が29歳だったら妊活してるのになと思うけど、
それは結果論で、10年前の私もそんな感じだったのかもしれない。

もし10年前の私の前が今の私に遭遇して熱弁されても、やるとすれば卵子凍結くらいで、でも当時卵子凍結するのは莫大なお金もかかったからそんな経済的余裕はなかったし、サクッと病院に行ってできることではないと聞くし、忙しい20代の私は聞く耳を持たなかっただろう。
10年前のパートナーは今考えたらとてもありがたいことに、私との子供を望んでくれていたが、私はやりたいことがあると言ってその手を払いのけ、仕事を辞めたり、海外に行ったり、まるで逆のことをしてしまった。
おじいちゃんは、そんなことをされた私のパートナーのことを可哀想だと言っていた。その通りだったと思う。
でもこんなことをしてしまっていたくらいなので、いずれにしても、当時の私は全然精神的にReadyではなかったと思う。
自分のことで精一杯で、小さな命を守る覚悟なんて微塵もなかった。

だから色々と考えた挙句、遅すぎる気もするが、ここへ来て私が妊活をするのはきっと必然だったのだ。
今でなければ、不妊治療できる貯金もなかった、自分の妊活だけに集中できる心のゆとりも時間もなかった。
一方で私の最愛の犬は若く、ありがたいことに健康であり、当面特段心配することもない。わんこは毎日の私のウォーキングや規則正しい生活、そして私を笑顔にさせることを全力でサポートしてくれている。
周りには応援してくれる友達しかおらず、親には妊娠してから言うつもりなので干渉されることはない。
精子はわざわざ精子バンクからお金を出して買っているので、状態が悪いわけがなく、問題があるとすれば私の方だけで、とにかくやるしかないだけなので、悩みは少ない。

私は若い頃病的な寂しがり屋だったので、19歳から20年間彼氏を切らしたことがなく、自分一人では何もできないと思い込んでいた。
でも一人になった途端、夢がすぐ摘めるところにやってきた。
ソロになったら人は覚醒するのか。
好きな人はいたほうが良いかもしれないが、自分を幸せにしない恋愛をするくらいなら、しないほうが良いに決まってる。
大人になってから20年経ち、やっと私は自分で自分を愛せるようになったのかもしれない。

奇跡的に季節も春で、暑くも寒くもない。
嘘みたいに気持ちの良い日差しを、毎日贅沢に浴びている。
赤ちゃんはもうすぐ私の元へやってくる。

シングルマザーは大変だよ、一人は寂しくないの？　
そんな声はもう私には届かない。

39歳での妊活。
それでも私はきっと恵まれている。